「恍惚(こうこつ)の人」から「希望の人びと」へ:1(マンスリーコラム) 「認知症」「アルツハイマー」。この言葉を聞いて、あなたはどんなことを思いますか? 今年4月、国際アルツハイマー病協会国際会議(認知症の国際会議)が京都市で開かれ、65カ国・地域から4千人以上、認知症の本人も約200人が参加した。 オープニングに登壇した丹野智文さん(43)が語った。 「ここで私が話をしようと思った理由は、認知症になったら(人生は)終わりではない。全国にいるまだまだ不安のある当事者へ、認知症でも笑顔で元気で楽しく過ごせることを知ってもらいたかったからです」 丹野さんは、39歳でアルツハイマー型認知症と診断された元トップ営業マンで、いまも仙台市で事務職として働きながら講演活動を続けている。 こうして人前で話すと「特別な人」と思われがちだが、丹野さんは診断後、「認知症=終わり」だと思い、不安や恐怖から、夜は泣
大阪・堺市にある社会福祉法人・稲穂会の高橋義之理事長(47歳)が、介護報酬の引き下げの流れにより経営環境が厳しくなる中で、地域とのつながりを重視しながら、保育園から高齢者までを受け入れ、障がい者を施設のスタッフとして働いてもらうなど将来を見据えた新しい取り組みを実践、高齢者施設の職場を変えようと努力している。 稲穂会が運営するのは特別養護老人ホーム、ユニット型特別養護老人ホームの「やすらぎの園」と保育園等で、高齢者を受け入れるベッド数は100ある。 1975年に高橋理事長の祖父が「つくし保育園」を開園、これを継いだ父親が病気になったことから、高橋理事長が93年ころから特養老人ホームも始めた社会福祉法人の経営に参画するようになった。その後、理事長代理を経て2014年に理事長に就任した。堺市で育った高橋理事長のモットーは「稲穂会の施設を、社会を築き上げてきたお年寄りと、これからを担う子供たちと
「知的障害者の自立生活 なぜ必要? どう実現する?」イベントチラシ=知的障害者自立生活声明文プロジェクト提供 知的障害者の1人暮らしなどについて考えるイベント「知的障害者の自立生活 なぜ必要? どう実現する?」が6月3日午後6時、東京都大田区の区消費者生活センターで開かれる。 国連障害者権利条約は、居住地や誰と生活するか、障害者が選択できる重要性をうたっている。しかし、国内では軽度の知的障害者なら1人暮らしをしている人はある程度いるが、重度の人たちは本人が望まなくても施設やグループホーム、家庭で生活していることがほとんど。 2014年から知的障害者も長時間の見守りができる重度訪問介護を利用できるようになったことから、制度上は自立生活がしやすくなった。しかし、知的障害者の支援者の間からも、1人暮らしへの不安や、サポートする人材の不足を懸念する声が出ている。その結果、自立への提案をしなかったり
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)修了。新聞・雑誌・書籍などでヘルスケア、および、社会保障全般(特に、医療・介護や障がい者など社会福祉領域等)の記事を執筆。著書『がん闘病とコメディカル』(講談社)『チーム医療を成功させる10か条-現場に学ぶチームメンバーの心得-』(中山書店)、スペイン語翻訳書『きみは太陽のようにきれいだよ』(童話屋) News&Analysis 刻々と動く、国内外の経済動向・業界情報・政治や時事など、注目のテーマを徹底取材し、独自に分析。内外のネットワークを駆使し、「今」を伝えるニュース&解説コーナー。 バックナンバー一覧 施設では朝昼2回、全員ミーティングで、一日の行動を自分で決める。この日は、洗車のほか「スーパーで物品調達」「竹製の調理用箸づくり」の3グループができた 「喫煙可能な店で無理して、がん患者は働かなくていいのではないか」と
国立京都国際会館(京都市左京区)で4月に開かれた「第32回国際アルツハイマー病協会国際会議」で、認知症に関わる国内の当事者組織5団体が、各都道府県にある拠点を記した日本地図を発表した。各団体は「同じ立場の人とつながることで、希望がみえることもある。困っている人は、どこかの団体に連絡してほしい」と呼びかけている。(加納裕子 スタートラインに 5団体は、認知症の人と家族の会▽レビー小体型認知症サポートネットワーク▽男性介護者と支援者の全国ネットワーク▽全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会▽日本認知症ワーキンググループ。地図を見れば、すべての都道府県にいずれかの団体の拠点があることが一目で分かる。 国際会議では4月27日、5団体の代表がセッションを開き、それぞれの活動を紹介した。会場の男性から「5団体が連携し、国家的な政策をまとめられないか」との声が上がると、「全国若年認知症-」の代表者が「5
認知症で徘徊(はいかい)する高齢者をスマートフォンのアプリを使って捜す試みが始まっている。協力者のスマホに捜索対象者の特徴などの情報を送ることで、地域全体に一気に「捜索網」を広げる。愛知県春日井市では4月、全国初の実証実験があった。 捜索協力システムは、認知症サポーターを養成する「全国キャラバン・メイト連絡協議会」(東京)や大手通信会社、研究者らでつくる全国ネット「オレンジセーフティネット」構築委員会が実用化に向けて開発を進めている。 同ネットのアプリをダウンロードし、捜索に協力する意思のある人(オレンジ協力隊)や、徘徊が心配される家族の情報を登録する。捜索依頼があると対象者の年齢、性別、最後に確認された場所が流され、協力を申し出た人だけに氏名や身体的な特徴などの詳細情報が提供される。 協力者同士の位置情報がアプリ…
民生委員の4人に1人が、社会的に孤立した人に対応した経験があることがわかった。支援対象者の2割以上には認知症や障害があった。民生委員制度の創設100周年にあたる12日、全国民生委員児童委員連合会(全民児連)がこんな調査結果を公表した。進む高齢化の中で、公的支援が届きにくい実態が浮かび上がる。 調査は全民児連が昨年7~9月、全国の民生委員23万1551人を対象に実施。20万750人(87%)から回答を得た。3年間の任期中に社会的孤立の世帯を担当したことがある民生委員は、5万3454人(27%)に上った。そのうち、最も対応が困難だった対象者について分析した。 対象者の6割近くが65歳以上の高齢者で、75歳以上は42%。40~50代の比較的若い層も13%いた。疑いも含めて28%に障害があり、25%に認知症の症状があった。一人暮らしの高齢世帯が34%で、同居人も含めて54%に仕事がなかった。 民生
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