今年3月、全国の警察が児童相談所に虐待の疑いがあると通告した子どもの数は04年以来13年連続で増加していると警察庁が発表した。保護者と子どもに一体何が起きているのか。長年、虐待をはじめ、家族や子育てをテーマに取材を続け、『児童虐待から考える』(朝日新書)を上梓したルポライターの杉山春氏に「虐待をしてしまう親の特徴」「虐待を減らすためには」「虐待が社会に訴えるもの」などについて話を聞いた。 ――今回の本に限らず、これまでにも『家族幻想:「ひきこもり」から問う』(ちくま新書)など家族や子育てをテーマにした取材をされています。その理由や、その中での本書の位置づけを教えてください。 杉山:バブルが崩壊した1990年以降、それまで育児誌などのメディアであまり目にしなかった「子どもを叩いてしまう」といった読者投稿や、うまくいかない子育てをテーマにした漫画などが度々掲載され、子育ての大変さが注目されるよ
熊本県に寄せられたアルコール依存症に絡む相談件数が2017年度は211件に上り、熊本地震(16年4月)前の15年度の58件に比べて3・6倍と急増していることが、県への取材で分かった。最大震度7の激震が2度襲った地震では自宅や仕事を奪われた被災者が多い。過度のストレスを解消するために酒に頼ったという相談もあり、県は専門のソーシャルワーカーを窓口に配置するなど態勢を強化して相談に応じている。 県は県精神保健福祉センター(熊本市東区)で保健や福祉に関する相談を受けている。その電話相談のうち、アルコール依存症についての相談は地震前の5年間は年間50~80件台で推移していたが、熊本地震があった16年度は149件と15年度の約2・6倍となり、17年度は211件に増えた。
厚生労働省は、「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」を作成した。都道府県や保健所設置自治体が対象で、退院後の支援が必要な精神障害者に関して、医療などの支援内容を記載した退院後支援に関する計画を作成する必要性を指摘。本人や家族などの支援者に対しても「計画作成に参画できるよう十分な働きかけを行う必要がある」としている。【新井哉】 ガイドラインでは、措置入院について、都道府県知事などが退院の決定を行うことに触れ、「退院後支援についても、自治体が、入院中から入院先病院と協力しつつ検討を行う必要性が高い」との見解を示している。 退院後の支援対象...
「塀のない刑務所」として知られる松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治市)から受刑者の男が8日夜に逃走した事件で、愛媛県警などは単純逃走容疑で指名手配し、捜索を続けている。法務省は開放的施設の更生効果を強調しつつ、警備の検討を始めた。 逃走したのは窃盗罪などで服役中の平尾龍磨容疑者(27)。2015年3月から服役し、昨年12月にこの作業場へ来た。刑期は20年1月までだった。 作業場は民間の造船会社の敷地内にある。受刑者は敷地内の寮で暮らし、日中は従業員とともに溶接などの作業に当たる。夜間は寮内を刑務官が巡回するが、鉄格子や周囲を囲む高い壁はなく、「開放的施設」と呼ばれている。 愛媛県警などによると、平尾容疑者は8日夕、夕食後に走って逃げたとみられる。当時、20人の受刑者が服役中で、川に面した作業場のフェンスを乗り越えた可能性がある。その後は民家で盗んだ車に乗り、瀬戸内しまなみ海道を逃走。車は
楽器やゲームなどが備えられたAYA世代専用病棟=大阪市都島区の市立総合医療センターで2018年4月9日午前9時33分、望月亮一撮影 大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)に9日、「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる思春期から30代までのがん患者専用の病棟がオープンした。専用病棟の設置は全国2例目で、西日本では初。ゲームや音楽、学習設備などを備え、小児と中高年のはざまの患者に適切な医療を提供し、医療ソーシャルワーカーらと連携して、心理的・社会的側面の支援も行う。 AYAとは「Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)」の略。15歳から30代のがん患者は全国で推定約2万人。治療時期が進学や就職、出産・育児など人生の転機と重なって、小児や高齢の患者とは異なる悩みを抱える場合が多いが、同世代の患者が少なく、精神的に孤立するケースもある。
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