厚生労働省と財務省は地域の医療機関を対象に、増え続ける訪日客を診察しやすくする税制上の措置を検討する。具体的には、通訳や病院内の英語表記などにかかるコストについて、受診する訪日外国人の治療費に上乗せできるしくみにする方針だ。厚労省などが2019年度の税制改正要望に盛り込む。農協系の医療機関もあるため農林水産省も共同で要望する。対象となるのは社会医療法人など法人税の免除が適用されている地域の医
厚生労働省と財務省は地域の医療機関を対象に、増え続ける訪日客を診察しやすくする税制上の措置を検討する。具体的には、通訳や病院内の英語表記などにかかるコストについて、受診する訪日外国人の治療費に上乗せできるしくみにする方針だ。厚労省などが2019年度の税制改正要望に盛り込む。農協系の医療機関もあるため農林水産省も共同で要望する。対象となるのは社会医療法人など法人税の免除が適用されている地域の医
終戦時の混乱で旧満州(現中国東北部)などに取り残され、日中国交回復後に永住帰国した残留孤児らを対象に、厚生労働省は昨年度から介護施設に出向いて中国語で話し相手になる「語りかけボランティア訪問」を始めた。残留孤児の平均年齢は76歳(2015年度)と高齢化が進んでおり、介護施設で言葉の壁や生活習慣の違いから孤立感を深める人も増えている。こうした人を訪問して不安や負担を軽減し、介護サービスを利用しやすくするのが狙いだ。 8月7日昼ごろ、福岡市博多区のデイサービス施設で、中葉(なかば)日出子さん(75)は語りかけボランティアの大石れい子さん(68)の訪問に笑顔を見せ、「身内のよう。うれしい」と中国語で出迎えた。
民族差別などを助長するヘイトスピーチ(憎悪表現)に対応する相談窓口を府が設置して1年。全国初の取り組みとして注目されたが、インターネット上や街宣活動による被害が続くにもかかわらず、相談はまだ1件もない。(山本美菜子) 「全く電話がないとは、想定外だった」 京都弁護士会の浅井亮副会長は読売新聞の取材にそう話した。 府は2017年7月、相談窓口を設置した。月2回の電話相談のほか、対面でも相談でき、人権問題に詳しい弁護士から助言を受けられる。 ただ、16年6月に施行されたヘイトスピーチ対策法では、相談者から要請があっても府が路上での街宣行為を中止することや、罰則を与えることはできない。「結局、自分で訴訟を起こすしかない」(弁護士)ため、相談してこないとみられる。 府は、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」による京都朝鮮第一初級学校前での街宣活動(09年、10年)をきっかけに対策に本腰を入れ始
外国人にもわかりやすい「やさしい日本語」で、避難所での生活情報を伝えられるポスターがインターネットで公開されている。作成した弘前大学の佐藤和之教授(社会言語学)は「外国人だけでなく高齢者や子どもにも分かりやすい表現」と活用を呼びかけている。 「やさしい日本語」は阪神大震災をきっかけに、命を守るための言葉として佐藤教授らが作った。当時、災害情報から取り残された外国人が多く、死傷率が日本人より高かったという。 今回の豪雨災害で、インターネットサイトへのアクセス数は通常の2~3倍に。西日本からが目立っており、外国人向けの支援情報が求められているようだとしている。 ポスターは、避難場所や病院で使える「ライフライン」、「飲食物・日用品」、「病院・健康」、「衛生・避難所生活」について、豊富に言葉をそろえている。 「水(みず)を 無料(むりょう)で もらうことが できます お金(かね)は いりません」、
2016年2月、内閣府によってアイヌ民族に関する初の全国調査結果が公表された。それは驚きの結果であった。アイヌへの現在の差別や偏見について、回答者がアイヌの人々の場合には72.1%が「あると思う」と答えたのに対して、国民全体を対象とした同様の質問では、「あると思う」が17.9%と低く、両者の間にかなり大きな意識の差が見られたのである。 さらに見過ごせないのは、差別や偏見があると思うと回答するアイヌの人々のうち、実際に差別を受けたという割合は36.6%であった点である。差別が「あると思う」という割合からは低下するものの、今現在も、決して少なくはないアイヌへの差別が実際に「ある」様子がうかがえる。 しかし現状では、その具体的な不利益や不平等の内実について十分に明らかにされていない。アイヌの人々をめぐる差別の問題は、和人(アイヌ以外の日本人)からアイヌ民族への差別というかたちで語り継がれ、認知さ
焼津市で日本語が苦手な外国人の子どもたちの学習支援をしている市民団体「多文化共生を考える焼津市民の会・いちご」(谷沢勉代表)が、市内で暮らす外国人の子どもたちにアンケートを実施した。日本語の学習意欲を問う設問(複数の選択肢を回答可)では84・8%が「もっと日本語を学びたい」と回答した。【松岡大地】 一方で、「学校で嫌なことは?」(複数回答可)との質問には、65・2%が「勉強が難しい」とした。焼津市では水産加工工場などで働く外国人やその子どもが増えており、谷沢代表は「市全体で外国人の子どもの学習支援状況の調査につながってくれれば」としている。 アンケートは外国にルーツを持ち焼津市内で暮らす小中学生(6~15歳)を対象に5月7~28日に行い、49人から回答を得た。ルーツはフィリピンの73・5%が最多。全体の46・9%は7~12歳で来日し、日本生まれは22・4%だった。
川崎市教育文化会館の前に集まり「レイシストは帰れ」などと声を上げ、ヘイトスピーチに抗議する市民ら=川崎市川崎区で2018年6月3日、後藤由耶撮影 ヘイトスピーチ対策法は2016年6月に施行され、差別的表現の解消にむけた理念をうたい、国や自治体にその取り組みを求める。だが、施行2年の今月、川崎市の公共施設を舞台にヘイトスピーチが発せられ、大阪府北部で震度6弱を記録した地震でもネット上で在日コリアン差別をあおる言説が拡散した。対策の現状を見た。【井田純】 「不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない」。対策法のこの理念もむなしく、法施行2年の今月3日、川崎市川崎区の市教育文化会館で、在日コリアンらへの差別的主張を続ける政治団体関係者が「時局講演会」を企画。差別反対を訴える地域住民ら約400人の「カウンター」が「レイシスト帰れ」と抗議の声を上げ、結果、講演会は開催されなか
訪日外国人客の医療費未払いが相次いでいる問題で、政府は14日、総合対策を公表した。訪日客の受け入れに関する医療機関向けのマニュアルを今年度中に作成。未払い歴のある訪日客に対し再入国を拒否するといった厳格な方針も打ち出したが、意思疎通に難がある訪日客への医療通訳が不足しているという課題もある。 訪日客が増える中、医療機関でトラブルが増えていることから、政府は3月、内閣官房を中心に厚生労働省、法務省、観光庁などでワーキンググループを設置し、旅行、保険などの関係業界からヒアリングした。 対策では、訪日客とのコミュニケーション不足を解消するために、医療コーディネーターを養成するほか、医療通訳の認定制度を来年度に試行することが盛り込まれた。 平成27年度の厚労省の調査によると、医療通訳を利用したところは約13%にとどまる。医療通訳の配置に一人当たり年間2千万円前後の費用がかかることもあり、通訳の配備
川崎市の公園などで6日から8日にかけて、在日コリアンらに対する差別的な落書きが計26か所で見つかり、市は一部について神奈川県警に器物損壊容疑で被害届を提出した。 市によると、6日に高津区の久地円筒(くじえんとう)分水広場を清掃していたボランティアらが、ベンチに油性ペンのようなもので民族差別をあおる内容の落書きが書かれているのを見つけた。市が7~8日、各区を調査したところ、川崎、中原、高津、多摩の4区の計26か所で、公園のベンチや橋の手すり、転落防止柵などで計46件の被害を確認した。 市は、分水広場の落書きについて高津署に器物損壊容疑で被害届を提出。ほかの被害も警察に相談しており、今後も調査を続ける。
外国人技能実習制度に昨年11月に追加された介護職種で、監督機関「外国人技能実習機構」が初めて実習生の受け入れを認定した。第1号は中国人女性2人で、手続きが順調に進めば6月にも入国する見通しだ。日本の多くの介護施設は人手不足にあえいでおり、今後、中国や東南アジア各国からの介護実習生の受け入れが加速しそうだ。 認定は5月1日付。受け入れ窓口の監理団体で1カ月間の研修を受けた後、宮崎県延岡市の「メープルウェルフェアーサービス」が運営するグループホームと、介護付き有料老人ホームで働く。現制度では来日後1年以内に、日本語能力試験N3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル)に受かれば、最長5年働ける。不合格なら帰国となる。 同社の小野真介社長(39)は「将来の中国での事業展開を見据えて受け入れた。中国事業の幹部になってほしい」と話す。 国内の介護人材不足は深刻だ。厚生労働省の推計では
川崎市に住む外国人の代表として市が選任する「外国人市民代表者会議」の委員らが、1年間の活動内容をまとめた平成29年度年次報告書を福田紀彦市長に提出し、災害時対応や子育て環境充実の必要性を掲げた。市に対し、多言語版の各種記入用紙の活用を求めるなど、外国人市民が増え続ける川崎市で、共生にかかわる諸課題を解決し、住みよいまちづくりを目指す取り組みが進んでいる。 (外崎晃彦) ◇ 「川崎市は外国人市民にとって住みたい、働きたいまちとして魅力的に感じられている」。年次報告では、外国人市民が市に抱く感想がこうまとめられた。 多言語版シート作成 同会議の委員長を務めたヘイ・ジャフィさん(24)は市について「私自身は住みやすいと感じている。ただ、人や環境によって、求める政策は異なる。時代に合わせた対応をしていかなければならない」と話し、同会議が意見を吸い上げ、市に提案していくことの意義を強調した。 同会議
群馬県南東部に位置する人口約4万2千人の地方都市、大泉町。SUBARU(スバル)をはじめ大手メーカーの工場が立地する同町は、バブル期の人手不足を機に外国人の受け入れを拡大し、現在は住民の約18%を外国人が占めている。一方、同町の生活保護受給者のうち外国人は23%と人口比率を上回る。リーマン・ショック後の景気悪化などで解雇された後、日本語能力がないため仕事につけないといったケースも多いとみられる。現地をルポした。(山口暢彦、写真も) 「日本人は優しいよ。うちの娘も大好き」。町内のブラジル料理店に入ると、来日20年という店員の女性は、ニコニコ笑いながらこう話した。 町を歩くと、南米系とおぼしき男女に何回もすれちがう。飲食店、小売店、教会…。至る所にポルトガル語の看板があり、中心部の大通りには「TATTOO(タトゥー=入れ墨)」ショップが立ち並んでいた。 同町の中小企業などが外国人労働者の受け入
「日本語ぐるりっと」が運営する教室で、指導員から日本語を教わる外国籍の子ども(手前)=東京都大田区で、大久保昂撮影 改憲論議の焦点の一つが、高等教育を含めた教育の無償化を巡る憲法26条の改正だ。教育を受ける権利や義務教育について定めた条文だが、政府は適用対象は日本国籍を持つ「国民」に限られるという立場を取る。国内に住む外国人が増える中、憲法の「外側」にいる子どもたちと、どう向き合うかが問われている。【大久保昂】 「今日は何曜日ですか?」「水曜日!」 東京都大田区の山王会館では平日の昼間、元気な声が響く。NPO法人「日本語ぐるりっと」が、外国にルーツがある学齢期の子どもを対象に開く日本語教室だ。就学を目指して朝から基礎を学ぶ子もいれば、午前は小中学校で授業を受け、午後から来る子もいる。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く