1970年代にニュータウンとして開発が進んだ大阪府池田市の伏尾台地区。高齢化が進み、廃校となった小学校の旧校舎に2年前、不登校の子どもたちが通うフリースクールが入った。地元の住民は、にぎわいが戻ったと歓迎。校内の食堂などで交流が芽生えている。 旧伏尾台小学校の跡地(池田市伏尾台2丁目)の校庭で26日、地域の夏祭りが開かれた。地元の住民による屋台が並ぶ一角で、旧校舎を使うフリースクールも店を出した。せんべいに目玉焼きをのせた「たません」を販売。生徒たちも手伝った。 同小学校が廃校になったのは2015年。その後、旧校舎を利用したのが、NPO法人「トイボックス」(大阪市西区)運営のフリースクール「スマイルファクトリー」だ。不登校や発達障害の生徒ら、主に小学生から高校生まで80人ほどが利用している。 市の委託を受けた「公設民営」。スタッフが学習進度に合わせて勉強を教えている。小・中学生はもとの学校
大阪市は30日、放課後などに小中学生に勉強を指導するボランティア活動に継続的に参加した大学生を対象に、市の教員採用試験で加点する特例制度を新設する方針を明らかにした。同様の制度は全国でも珍しく、大阪市は数年以内の実施を目指す。 市が昨年度実施した実態調査では経済的な困窮度が大きい世帯ほど子供の学習理解度が低く、授業以外の勉強時間が少ない傾向が明らかとなっている。 特例制度の創設は、こうした子供の貧困対策の一環で、無料や低価格で子供たちに食事を提供する「こども食堂」などで勉強を教えるボランティアに学生らの参加を促したい考え。指導経験を積んだ学生を教員として積極的に採用していく狙いもある。 30日開かれた子供の貧困に関する対策会議で、吉村洋文市長は「子供が貧困の連鎖から抜け出すきっかけは教育だと思う。学生らが参加しやすい制度を作っていきたい」と述べた。
政令市、正答率高い傾向=地域差の縮小続く-全国学力テスト・文科省 文部科学省は28日、小学6年と中学3年を対象に4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を発表した。初めて政令市別の成績を公表。全体的には、同じ道府県の他地域より高い傾向が見られた。調査は10回目で、文科省は「地域間格差の縮小傾向が続く一方、知識の活用力は引き続き課題」としている。 全国の国公私立小中計2万9627校の約204万人が、国語と算数・数学の基礎知識を問うA問題と活用力を試すB問題に解答した。 政令市20市の平均正答率は、公立小中の国語、算数・数学の各A・Bを合計した160のうち、93(58%)が同じ道府県の政令市を除いた地域より高かった。同率は27(17%)、低かったのは40(25%)だった。 ただ、札幌、仙台、さいたま、横浜、川崎の5市が国語と算数・数学のA・B全てで上回った一方、大阪、広島の
日本における教育改革の必要性が叫ばれるようになって久しいが、2020年の大学入試改革が目前に迫り、昨今ではこども保険や教育無償化が政策としても現実味を帯びている。しかしここで一度、我が国の教育政策を改めて考えてみる必要があるのではないだろうか。 この連載では、半年間のサバティカルをとり渡米した筆者が、米国の最先端の教育事例や専門家との対話を通じて、日本の教育改革に如何なる示唆を得ることができるのかを考察していく。 第1回は、教育格差を埋める施策として注目される教育の無償化について。筆者が2004年〜05年、スタンフォード大学修士課程時代に学んだ同学重鎮であり、世界銀行やOECDなどの教育政策アドバイザーも務めるマーティン・カーノイ教授に聞いた。 全員一律無償化の落とし穴 教授との12年ぶりの再会は、キャンパス内にあるCERAS(Center for Educational Research
子供の発達障害を早期に発見するため、文部科学省は小学校入学前に行う就学時健康診断の実施方法を見直すことを決めた。 問診を含む検査内容を充実させるとともに、同意を得た保護者から乳幼児健診の結果を学校へ提出してもらうことなどを検討している。文科省は年度内に就学時健診の手引書を改訂し、2019年度入学者からの実施を目指す。 発達障害は学習につまずいたり、不登校やいじめにつながったりする恐れがあるため、早期の発見と支援が必要とされる。しかし、これまでは就学時健診と乳幼児健診の連携がなく、発達障害を見逃す可能性もあると指摘されていた。文科省が12年に実施した調査では、公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒の6・5%に発達障害の可能性があることが判明した。
JASSOに推薦できる1校当たりの生徒数 国が創設し、来春から本格実施される「給付型奨学金」について、高校などが実施機関の日本学生支援機構(JASSO)に推薦できる1校当たりの生徒数(推薦枠)に都道府県間で最大約5倍の差があることがわかった。大学や専門学校に進学を希望する住民税非課税世帯の子らが対象で、来年度の推薦枠は全国5830高校などの計2万2903人。最も多い沖縄県が1校当たり10.51人、2位が大阪府7.69人、3位が福岡県6.30人--。東京都は2.86人で、最少の富山県は2.13人だった。子どもの貧困率と一定の相関関係が見られるが、教育現場からは、推薦枠の配分が実態に合っていないとの指摘が出ている。【林由紀子】 機構が毎日新聞の取材に明らかにした。給付型の配分について都道府県ごとの実態が明らかになるのは初めて。
<子どもの7人に1人が貧困という現代社会の裏で進む格差の再生産――貧しさの連鎖を食い止めるカギはどこにあるのか。模索が続くなかで「21世紀型スキル」という能力観が注目を集めている> 2016年に厚生労働省が行った国民生活基準調査の結果が先日公表され、「こどもの貧困率」は12年ぶりにやや改善されるも、いまだ7人に1人が貧困の状態であることが明らかになった。 2013年6月に政府が「子どもの貧困対策法」を制定したことも手伝って、「子どもの貧困」という言葉が広がるとともに、日本国内の6人に1人の子どもが貧困状態という数字(当時)も世間に衝撃を与えた。あれから4年、状況は改善されたとは言い難い。特に、ひとり親世帯(貧困率50.8%)、母子家庭(同82%)は切実だ。 【参考記事】日本の貧困は「オシャレで携帯も持っている」から見えにくい 貧しさは次の世代に受け継がれる 子どもの貧困という問題が抱える重
すずき・かん/元文部科学副大臣、参議院議員。1964年生まれ。東京大学法学部卒業後、86年通産省入省。2001年参議院議員初当選(東京都)。民主党政権では文部科学副大臣を2期務めるなど、教育、医療、スポーツ・文化を中心に活動。党憲法調査会事務局長、参議院憲法審査会幹事などを歴任。13年7月の参院選で落選。同年11月、民主党離党。14年から国立・私立大の正規教員を兼任するクロス・アポイントメント第1号として東京大学、慶応義塾大学の教授に就任。同年、日本サッカー協会理事。15年2月から文部科学大臣補佐官として大学入試改革などを担当する。 鈴木寛「混沌社会を生き抜くためのインテリジェンス」 インテリジェンスとは「国家安全保障にとって重要な、ある種のインフォメーションから、要求、収集、分析というプロセスを経て生産され、政策決定者に提供されるプロダクト」と定義されています。いまの日本社会を漫然と過ご
子どもの貧困の現状を検証する指標について、内閣府は現在の25項目から33項目に増やす方針を決めた。追加するのは「朝食を食べない割合」や「ひとり親家庭で養育費を受け取っていない割合」など8項目。きめ細かく把握し、各省の対策づくりに生かす。 2019年に見直す「子どもの貧困対策大綱」に盛り込む方針。毎年度公表している「子供の貧困の状況と子供の貧困対策の実施状況」に反映させる。子どもが貧困に陥る背景は複合的で見えにくいとされており、より幅広い原因をすくい取ることを目指す。 いまの指標は14年の大綱で定められ、25項目のうち21項目が「ひとり親家庭の子どもの就園率」「生活保護世帯の大学等進学率」など教育の機会に関する調査だった。新たに追加する8項目のうち6項目は、子どもが成長する環境に関わるものとする。(西村圭史) 子どもの貧困調査に関する新しい8項目【健やかな成育環境の確保】 ・朝食欠食児童・生
厚生労働省は、生活保護受給世帯から大学に進学した子どもに対する給付金創設の検討を始めた。併せて、子どもが大学生になると家賃相当の保護費が減額される仕組みも廃止する。経済的負担が進学を妨げ、親から子への貧困の連鎖を招いていると指摘されてきた。来年度からの実施に向け、年末の予算編成段階で制度設計し、使途や金額などを決定する。【熊谷豪】 生活保護を受けながら大学に通うことは認められていない。大学に進学すると、子どもは同居していても別世帯として扱う「世帯分離」が行われ、親の保護費が減額される。東京23区内の母子3人家族の場合、生活費に相当する「生活扶助」と母子家庭への加算が計約4万4000円、家賃に当たる「住宅扶助」が約6000円それぞれカットされ、月額約22万円になる。
NPO法人「キッズドア」が高校中退者などのために開いた勉強スペース。子どもがいる若い女性の利用もあるという=東京都新宿区で、黒田阿紗子撮影 「高校生が妊娠したら即退学、でいいのか」。シングルマザー支援や貧困問題に取り組む関係者らから、そんな声が出始めている。妊娠した生徒の多くは自主退学の扱いで高校を去るが、国や自治体は実態を把握していない。専門家は「そのまま放り出されれば生活に行き詰まる可能性が高く、生まれる子にも貧困が連鎖する」と対応の改善を訴える。【黒田阿紗子】 昨年春、NPOの立場で政策提言に取り組む「全国子どもの貧困イニシアチブ」の世話人3人は、議論するうち、日々の活動で同じ問題意識を持っていることに気付いた。
「課題多過ぎ」「格差拡大も」=英語の民間試験活用-大学入試改革・高校の現場 2020年度から始まる「大学入学共通テスト」では、英語で民間試験が活用されることになった。現行の「読む・聞く」に加え、新たに「書く・話す」技能が正面から試される。入試英語の方法が大きく変わることになり、高校の教育現場では懸念や不安も強い。 公立屈指の進学校として知られる埼玉県立浦和高校(さいたま市)の杉山剛士校長は「4技能を高めることは重要で、それを評価する方向性は理解できる」と話す。 一方、民間試験の活用には「課題が多過ぎる」と指摘。出題内容が学習指導要領と必ずしも整合していないほか、大学入試センターが各大学に国際的な語学力基準「CEFR」に基づく段階別成績を提供することの妥当性も疑問が残るという。 民間試験は高3の4~12月に2回まで受験可能となる見込みだが、杉山校長は「英語だけ前倒しして教える必要が生じ
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