監督は「犯人」。僕は「刑事」。宣伝で「犯行」防ぐ ― 「千と千尋の神隠し」、アカデミー賞候補ですね。 鈴木:自分たちで作った映画が日本だけじゃなく、世界の人に見てもらえるのは、素直にすごくうれしい。特に、場面となる日本のお風呂屋さんの雰囲気を紹介できる機会は、めったにないし。それって、ちょっと痛快なんですよ。 大借金ゆえ正気 ― 徳間書店にとって、スタジオジブリはドル箱ですね。 鈴木:いや、一出版社としては信じられないほどの借金があるんです。(元社長の)徳間康快(やすよし)が遺していったものですけど。だから次の「ハウルの動く城」も頑張らなきゃいけない。でも借金があるから、かえって、血迷わない、正気でいられる、っていうこともあります。とはいえ、経営責任を持たされれば、きっと人間がケチになります。だから、ジブリを始める時、宮さん(宮崎駿監督)に「徳間と別にやるの?傘下でやるの?」と聞かれ、僕は