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2016年9月4日のブックマーク (15件)

  • Internet Photo Magazine Japan

    第6章 『日常―中平卓馬の現在』展 [1]表現から遠くはなれて 中平卓馬の近作は果たして前章で私が結論したような「普通の写真」なのであろうか。普通であるはずのそれらの写真は私の頭から離れないし、普通の写真とは一体何なのかさえだんだんと定かではなくなってくる。中平の近作を見るに伴う生理的な痛みともいえるものに耐えながら、もう少し検証しなければならないだろう。 最後の写真集である『AdieuaX』以降、写真にも「あばよ」(※76)と告げたはずの中平卓馬はそこから新たに撮影行為を始め、黙々と自宅の周辺である横浜、川崎、世田谷など自転車で行ける範囲とその近辺を撮影しに出かけていた。そのようにして撮りためられた写真によって1997年に名古屋(中京大学 C.スクエア)で中平卓馬写真展『日常 中平卓馬の現在』(※77)が行われた。 中平にとって写真を選ぶというのはそうとう困難な作業であったようで、セレク

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    schrift 2016/09/04
    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
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    5章 中平卓馬は今もなお写真行為を身体化し、写真と共に生きているであろう。そのこと自体感動的である。しかし、私はどうしてもあのすばらしくも恐ろしい日記のなかに「撮影する」という動詞がなかったことを素通りするわけにはいかなかった。私は3章で写真家にとって重要なのはシャッターを切ることだと書いたが、この日記からは、その部分だけがすっぽりと抜け落ちてしまっているのである。 『Adieu a X』以降、網島の中平の自宅に散らばった写真を見た大竹昭子が「構図などを考えずに見たまま望遠レンズでとらえられている。はじめてカメラをもった子供が撮ったような、まったく作為のない、その意味でこれ以上ふつうになりようのない写真だった」(※73)と感想をもらしていた。これらの写真はかつて中平が『決闘写真論』で願った受動的な行為の結果としての写真であって、彼が子供のような純化されたまなざしを獲得したアノニマスな存在と

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    schrift 2016/09/04
    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
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    第4章 [1]カメラになった男 かつて中平は『PROVOKE』一号に掲載されたある写真(<都市へ>に収められた伊豆の海の写真)を見て、「世界はこういう風にあるんだよな」(※54)と述べたという。その写真は高梨豊によって撮影されたもので、湾に伸びる一の防波堤をロングショットの俯瞰で撮ったものであった。防波堤は水平線の彼方まで打ち寄せる波でそのほとんどが水面下であり、満潮の海を楽しんでいるのか防波堤には水着の人間が何人か立っている。海の割合に対して、防波堤と人間たちの占める割合はあまりにも小さく、海面に反射した光と高梨特有の白く淡い焼きつけによって、今にも消え去ってしまいそうな像が定着されている。 海に向かって伸びる一の防波堤とロングショットで捉えられた人間のモノクロの映像はリュミエール兄弟の『海水浴』を思い出させる。『海水浴』は海に向かって伸びる飛び込み台から何人かの子供たちが飛びこんで

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    schrift 2016/09/04
    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
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    3章 [1]写真家のパラドックス 「なぜ、植物図鑑か」以降の中平は写真から自らの「手の痕跡」を消し去ることで、表現としての写真に背を向け、そのために暗室作業を伴わないカラー写真による植物図鑑を方法として提示するが、東大安田講堂攻防戦や松永事件などによって写真を撮るという行為の暴力性、犯罪性にふれてしまい、撮影行為自体を否定せざるを得なくなってゆく。そしてのちに、彼の言葉が写真を縛り、行動をも縛っていった。彼は自らを固定された視点により遠近法的に世界と対峙する「権力」とみなした。そして、その視点は現実から断ち切られた不動の視点であり、「一点透視法にもとづいて世界を統御しようとする」権力の視点であった(※41)。ノイズだらけのこの世界、中平にいわせるなら「僕ら一人一人がめちゃくちゃに生きるこの地球上」(※42)をあたかも整然と秩序づけられた安定した場所であるかのように提示する写真を拒否し、彼自

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    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
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    2章[1]中平卓馬とユジューヌ・アジェ 中平は『決闘写真論』の中でユジューヌ・アジェやウォーカー・エヴァンスの写真に見る者の遠近法をもゆるがしてしまうような世界(対象=事物)の側の眼差しを垣間見て、写真家である「私」の世界への突出である凸型の視線ではない別の眼差しの在り方を見いだしたのだと書いている。『決闘写真論』(※18)のなかに収められている「ユジューヌ・アッジェ 都市への視線あるいは都市からの視線」という評論のなかで、彼はアジェの写真集『PARI DU TEMPS PERDU』を見ていたときに、以前「事物が眼につき刺さってくる」と感じて入院したときのことを思い出したと述べている。それは中平がアジェの写真の中に白昼の事物の恐怖や、光の触覚性のようなものを感じてしまったからであるといえるだろう。 ユジューヌ・アッジェの写真集『PARI DU TEMPS PERDU』の第一章はREGARD

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    schrift 2016/09/04
    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
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    序章 1968年10月、多木浩二、中平卓馬,高梨豊,岡田隆彦を中心に写真同人誌『PROVOKE』が創刊された(2号から中平に誘われた森山大道も加わる)。「PROVOKE」は「挑発する」という意味で、彼らは言語と写真表現、さらには見ることに対してラディカルに問題提起をしていった。そして、その巻頭には次のように書かれていた。 言葉がその物質的基盤,要するにリアリティを失い,宙に舞う他ならぬ今、ぼくたち写真家にできることは、既にある言葉ではとうてい把えることのできない現実の断片を、自らの目で捕獲してゆくこと、その言葉に対して、思想に対していくつかの資料を積極的に提示してゆくことでなければならない。 彼らの目指したのは「既にある言葉」=「リアリティを失った言葉」からはみ出すような現実を新たな映像として提示すること、硬直化した言葉と映像の関係を解体し、「たしからしさの世界」(それらしさを装うよな意味

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    schrift 2016/09/04
    挑発する写真家・中平卓馬 by 小原真史
  • IPMJ Gallery Backnumber

    映像のオントロギーが書籍になりました 好評連載され、遂に最終回を迎えた「映像のオントロギー」が書籍になりました。 長谷正人著「映像という神秘と快楽 〈世界〉と触れ合うためのレッスン」 連載から厳選し、さらに大幅に加筆した全28章。 以文社より、2,500円(税別)ISBN4-7531-0214-9 出版記念公演の模様はこちら 長谷正人 カメラの存在論(No.74掲載) '97春に行われた写真とメディア 特集 No.22 作品とデジタル No.20 プリント No.19 High-School Photographers No.18 なぜ若者は写真を撮るのか No.17 写真集 No.15 ミニギャラリー Gallery No.144 YAMAI Hajime No.134 IO Akira No.133 MATSUMOTO Ayako No.132 AkiraK No.131 SANO H

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    schrift 2016/09/04
  • アレ・ブレ・ボケ」の現在――中平卓馬と森山大道 - フォーカス 03年10月

    今から30年以上も前に『provoke』という写真誌があった。小部数しか発刊されなかった同人誌で、ごく短命に終わった文字通りの「3号雑誌」であったが、当時の写真ジャーナリズムや批評に与えた影響は大きく、その名は若い世代にも伝説的に知られている。この写真誌の同人だった写真家といえば中平卓馬、高梨豊、森山大道の3人だが、くしくもこの秋、同人のリーダー格であった中平と2号からその活動に参加した森山の個展が横浜と川崎の美術館で、それもほぼ同時期に開催された。長年の友人・ライヴァルとしてしばしば同列視され、また何かにつけて比較されてきた両者の相似と相違を確かめるのに、これ以上の好機もまたとないであろう。 意外な展覧会の構成 まずは横浜美術館の中平卓馬展「原点復帰――横浜」の方から見ていこう。中平展の展示は5部構成によって為っているが、特に近年の仕事が重視されているようで、順路の先端部分には、この数年

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    schrift 2016/09/04
  • Internet Photo Magazine Japan

    TopMenu 写真集を作ろう 写真集の制作を印刷を頼ることはない! 自分で焼いたオリジナルプリントをまとめて一冊にすれば、それは立派な写真集である。(この際、ポートフォリオという言葉は却下する) ルーズリーフに綴じるもよし、クリアーファイルに綴じるもよし。 しかぁあし! わたくしが、もっと美しく、格好よく、素晴らしい写真集を作る方法を紹介しよう。(実は横木安良夫さんに教わったんだけど) 簡易製機というのをご存知だろうか。 東急ハンズなどでデモを見られた方もいらっしゃるかも知れないが、ご家庭で手軽に製出来てしまう、というアレである。 以下に、横木安良夫氏直伝の簡易製機による写真集制作を掲げる。 ささ、作られたし!(AK) これが写真制作セット。上の四角いのが卓上製機「ホームとじ太くん」 まずは写真を選ぶ。RCペーパーの方が作業が楽。イルフォードのペーパーなら40ページ以上いける 写

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    schrift 2016/09/04
  • 「反ファスト・ファッション」で世界を変える、北欧ジーンズメーカーの奮闘 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

    大量生産・大量消費のファスト・ファッションが世界中に広がる一方で、ここ数年、人と環境に配慮した生産・流通を行う“エシカルファッション”が脚光を浴びている。 中でもスウェーデン発のデニムブランド「ヌーディ・ジーンズ(Nudie Jeans)」は、サプライチェーン(原材料の調達から生産管理、物流、販売までの全プロセス)の改革と商業的成功の両方を実現している注目株だ。 ヌーディ・ジーンズは2001年、スウェーデン第二の都市、ヨーテボリで誕生。2006年、創業者のマリア・エリクソンは取引のあるサプライヤーを集め、方向転換を宣言した。その当時20%だったオーガニックコットンの使用率を100%に引き上げると表明したのだ。これによりいくつかのサプライヤーが同社から離れたが、エリクソンらはポリシーを貫き、2012年に目標を達成した。 企業が倫理を守りながら利益を出すことは可能かとの問いに、同社のパレ・ステ

    「反ファスト・ファッション」で世界を変える、北欧ジーンズメーカーの奮闘 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
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    schrift 2016/09/04
  • 世界が仰天した「日本車の変な名前」ワースト7 名前が男性器の車も (Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース

    筆者は過去約30年間にわたり、日の自動車業界を中心に執筆活動を行なってきた。日車の車名にはオデッセイやランドクルーザー、MX-5など、他のどんな言語に訳してもクールな響きを持つものも多い。 しかし、なかには「一体なんでこんな名前をつけてしまったんだ?」と思わざるを得ない名前があることも事実だ。ここでは、筆者が独断と偏見で選ぶ日車の珍名・奇名リストを7車種挙げてみた。 7. 三菱・ディンゴ ディンゴはオーストラリアに生息する野生動物。外見は犬とそっくりだが、非常に猛禽な性質を持っており、過去に人間の赤ちゃんをべてしまったことが広く報道された。三菱自動車のマーケティング担当はこのニュースを知らなかったのだろうか。 6. マツダ・ラピュタ マツダの担当チームはおそらく、「ガリヴァ旅行記」で主人公が訪れた空に浮び自在に移動できる島、ラピュタに因んでこの名前をつけたのだろう。しかし、

    世界が仰天した「日本車の変な名前」ワースト7 名前が男性器の車も (Forbes JAPAN) - Yahoo!ニュース
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    schrift 2016/09/04
  • 与謝野晶子肉声 - YouTube

    与謝野 晶子(正字: 與謝野 晶子、よさの あきこ、1878年(明治11年)12月7日 - 1942年(昭和17年)5月29日)は、日の歌人、作家、思想家。 名与謝野 志よう(よさの しょう)。旧姓鳳(ほう)。ペンネームの「晶子」の「晶」は、名の「しょう」から取った。夫は与謝野鉄幹(与謝野寛)。 1921年(大正10年)、夫・鉄幹と共に文化学院創設。 https://www.facebook.com/literaturaja...

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    schrift 2016/09/04
  • Intel、「Apollo Lake」こと低価格PC向けの新プロセッサーを静かに発表 | スラド ハードウェア

    Kaby Lakeこと第7世代Coreプロセッサーが注目される陰で、Intelは低価格PC向けの新プロセッサー(開発コード名: Apollo Lake)も発表している(Intelの製品情報、 AnandTechの記事、 Neowinの記事、 Ars Technicaの記事)。 Apollo LakeはPentium/Celeronブランドで販売されるAtom系のプロセッサーで、Braswellの後継となる。プロセスルールはBraswellと同じ14nmだが、マイクロアーキテクチャーはGoldmontに変更され、内蔵グラフィックスはSkylakeプロセッサーに搭載されていた第9世代のIntel HD Graphics 500/505を採用している。2コアのモデルと4コアのモデルが用意され、いずれもL2キャッシュは2MB、TDPはデスクトップPC向けが10W、ノートPC向けが6Wとなっている。

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    schrift 2016/09/04
  • 「誂える、設える、拵える」に「躄ると躙る」: ポジタリアン イエロー

    Country Home / RambergMediaImages 久々に辞書からです。 似たような言葉を集めてみました。 パッと見ても読みにくい漢字ですが、 意味の区別も難しそうなので、並べてみました。 1.誂える、設える、拵える なかなか読めないですよね。言葉自体はご存じだと思うんですが。 誂える(あつらえる)、 設える(しつらえる)、 拵える(こしらえる)なんです。 普段でも使う言葉ですよね。誂えた着物やごはんを拵える…。 でも、意味の違いは??というと、あやふやに。。 誂える(あつらえる)とは、 自分の思い通りに作らせる。注文して作らせること。 あつらえる【誂える】の意味 - 国語辞書 - goo辞書 オーダーメイドと同じ意味ですかね。 設える(しつらえる)とは、 こしらえ設ける。備えつける。部屋などを整え、飾りつけること。 しつらえる【設える】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

    「誂える、設える、拵える」に「躄ると躙る」: ポジタリアン イエロー
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    schrift 2016/09/04
  • カリスマ性はこう磨け! 田中角栄の人事管理と戦闘術 | ダ・ヴィンチWeb

    『田中角栄の「経営術教科書」』(小林吉弥/主婦の友社) 田中角栄ブームが続いている。なぜ今から20年以上前の1993年に亡くなった政治家が、今もこれほど人々を惹きつけてやまないのだろう? その答えは今回紹介する『田中角栄の「経営術教科書」』(小林吉弥/主婦の友社)にすべて書いてある、と言っても過言ではない。 角栄が首相になる前の1969年から23年間、角栄に取材を重ねた政治評論家の小林吉弥氏が30年前に出版した書籍に一部手を加え、復刻したのが『田中角栄の「経営術教科書」』だ。このは角栄の発言はもちろん、角栄の周辺人物への取材も盛り込み、いかにして角栄が人々の心をつかみ、どう強大な権力基盤を築いていったのかの秘密を解き明かしてビジネスに活かそう、というのが狙いだ。 書はリーダーはいかに行動し部下を掌握すべきかという「リーダーの『帝王学セミナー』」から始まる。続く第2章の十か条にわかりやす

    カリスマ性はこう磨け! 田中角栄の人事管理と戦闘術 | ダ・ヴィンチWeb
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    schrift 2016/09/04