『地名字音転用例』(ちめいじおんてんようれい)は、本居宣長が著した語学書。古代日本の地名を『古事記』『万葉集』『六国史』『和名類聚抄』国郡部『延喜式神名帳』から諸例を抜き出し、法則を見出して分類例示したものである。 概要[編集] 宣長が本書の中心に据えているのは「いかにして漢字の韻尾を地名の表記に利用したか」である[1]。 寛政12年(1800年)刊。宣長の晩年の著作である。版元は名古屋本町通七丁目永楽家東四郎。 初めに宣長は「古代日本の地名表記に漢字音との不一致が著しいのは、主に和銅6年(713年)好字二字令周辺の政策によって諸国の地名が半ば強引に漢字2字で書き表された結果に由来しており、一見すると不審な表記も一定の法則によって転用されている」と説いており[2]、その上で転用の具体例が示されている。なお、古代の地名については『古事記雑考』でも取り上げており、それからは少し遅れて『地名字考