出版業界に衝撃が走った。新潮社の論壇誌『新潮45』が廃刊になったのだ。自民党衆院議員の杉田水脈氏が『新潮45』に寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」に端を発する今回の騒動では、文芸評論家を名乗る小川榮太郎氏が書いた「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」が、瞬く間に炎上。差別を助長する文章ではないかと大きな社会問題になった。新潮社社長は異例のコメントを発表し同誌は廃刊の運びとなった。『新潮45』が安倍政権を礼賛するネトウヨ路線に急激に舵を切ったことは出版業界でも話題になっていたが、今回の件は、いったい何が問題だったのか? 小川榮太郎氏とはどのような人物なのか? 『新潮45』はどこで道を間違えたのか? 最新刊『もう、きみには頼まない 安倍晋三への退場勧告』(KKベストセラーズ)を刊行予定の作家適菜収氏が、事件の真相を語る。(前編) 原因は文芸評論家を自称する小川榮太郎という男(51歳