ルポ『だれが「本」を殺すのか』で、ノンフィクション作家佐野眞一氏が書店業界の構造問題を明らかにし、出版不況の現実を読者に突きつけたのは、2001年だった。同じ年、福岡では大型書店の出店ラッシュがピークを迎える中、逆風に立ち向かうように、わずか13坪の書店が誕生した。18年が過ぎ、その書店は今も元気に本を売っていた。 だれが「本」を殺すのか 同書によると、取次と呼ばれる問屋からの「自動配本」に頼る本屋が増えた結果、金太郎飴状態になったことを始め、いくつかの複合的な理由により年間千軒以上もの書店が廃業に追い込まれた。「自動配本」とは、書店に届ける本のラインナップや冊数を取次が書店の意向を反映せずに決める配本方法のことだ。 また、一方で、大型書店が全国展開する流れが加速した。例えば福岡市では、1990年代後半、商業の中心地区天神に丸善、リブロ、八重洲ブックセンター、ジュンク堂が相次いで出店し、