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季刊労働法の検索結果1 - 16 件 / 16件

  • 児童手当は何のために作られたか、誰も記憶していない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    最近、政治方面で児童手当をめぐって騒がしいようですが、どうも出てくる登場人物の誰も、児童手当というものがどういう趣旨で作られたのかという歴史的経緯をさっぱりと忘れ去っているようなので、やや迂遠ではありますが、旧稿の関連部分をお蔵出ししておきたいと思います。 ただ、その前に、十数年前に当時の民主党政権が子ども手当を打ち出したときにも、肝心の彼ら自身がその意義を的確には理解していなかったことについて、当時『世界』の座談会で述べた一節を引用しておきます。 座談会 民主党政権の社会保障政策をどう見るか(宮本太郎・白波瀬佐和子・濱口桂一郎)(『世界』2010年8月号) 濱口 私は昨年、政権交代のときに書いた文章の中で、子ども手当を非常に高く評価したんです。ただ、高く評価した理由は労働政策の観点からで、子ども対策という観点からではない。 どういう趣旨か。いままでの日本の雇用システムでは、成人男子の正社

      児童手当は何のために作られたか、誰も記憶していない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    • 1985年以前は公務員に定年はなかった件について - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

      人はみんな自分の生きてきた時代、より正確に言うと社会人となってそれなりのことが分かるようになってからのことしか本気では覚えていないということのいい実例が、今やや異なるトピックが原因で話題となっている国家公務員の定年引上げに係る法案をめぐってもよく現れているように思われます。どういうことか?みんな、民間企業と全く同様に、公務員にも定年制があるのがあまりにも当たり前だと思っているんですが、実は国家公務員法に定年制が導入されたのは1981年改正によってであり、それが施行されたのは1985年3月末からなんです。それまでは、公務員には定年制はなかったんですよ。 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/09419810611077.htm 法律第七十七号(昭五六・六・一一) ◎国家公務員法の一部を改正する法律 国家

        1985年以前は公務員に定年はなかった件について - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
      • hamachanブログ2023年ランキング発表 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

        まだ年末までに半月ありますが、そろそろ今年の総決算ということで、本ブログの2023年ランキングを発表します。 まず第1位は、これは正直やや意外でしたが、7月の「ナチス「逆張り」論の陥穽(再掲) 」でした。これはそもそも昨年のランキングで第3位になった記事ですが、昨年は朝日新聞の耕論に対するコメントだったのを、今年田野さんの本が出て話題になっていたので再掲したものです。 私はそもそもこの問題をナチス側からではなくナチスに叩き潰された社会民主党や労働組合の側から見ているので、こういう感想にならざるを得ないのです。 ナチス「逆張り」論の陥穽(再掲)(ページビュー数:5,905) 最近、田野さんの本が話題になっているということなので、この点はきちんと明確にしておかなければならないと思い、昨年のエントリをそのまま再掲することにしました。 http://eulabourlaw.cocolog-nift

          hamachanブログ2023年ランキング発表 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
        • メンバーシップ型公務員制度をそのままにした弥縫策としての改正案 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

          コロナ禍のさなか、なぜか検察官の定年ばかりに政治的注目が集まる国家公務員法改正案ですが、本ブログの観点からすれば、これこそ、もともと純粋ジョブ型の職階制で作られながら、それを完璧に放り捨ててメンバーシップ型でもって長年運用してきてしまった公務員制度を、そこのところはそのままにしながら、とにかく定年を60歳から65歳に引き上げなければならないからといって、ますます筋の通らない仕組みでもって何とか弥縫策としようという、まあそういう改正案であるわけです。ところが、残念ながら、そういう批判の声はこれっぽちも聞こえてこない。まあ、コロナ禍の真っ最中なので仕方がないとも言えますが、検察官の定年というしっぽが犬を振り回しているかの如き状況は、なんともはやではありますな。 https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou1.pdf 1 現行60歳の定年を段階的に引き

            メンバーシップ型公務員制度をそのままにした弥縫策としての改正案 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
          • フランスにおける最低所得保障制度改革―活動的連帯所得手当RSAの概要―

            国立国会図書館調査及び立法考査局 外国の立法 253(2012. 9) 33 (allocation de parent isolé:API)という 2 つ の最低所得保障制度に代わるものである。この うち、RMI は、最低所得保障に就労支援を中 心とする社会参入のための支援である参入政策 (politique d'insertion)を組み合わせた制度で あった。しかし、この参入政策は適切に機能せ ず、批判が多かった。そこで、新たに RMI と API を統合して参入政策を強化した RSA が創 設された。 本稿第Ⅰ章では、フランスの最低所得保障制 度と RMI から RSA へと至る改革の経緯を紹 介する。その上で、第Ⅱ章では、RSA 法にお ける最低所得保障制度の概要について、第Ⅲ章 では、RSA 法における参入政策の概要につい て解説する。 また、 末尾に RSA 法の抄訳を付す。

            • ジョブなきメンバーシップ型公務員制度運用の帰結としてのスレイブ厚労省とポエム経産省 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

              最近の本ブログのエントリで比較的バズったのが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-692577.html (若手官僚二題:スレイブ厚労省vsポエム経産省) と、つい先日の http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/05/post-978e1a.html (ジョブなき社会の公務員減らしの帰結) ですが、実はこの二つのトピックは論理的に密接につながっているんですね。 日本の公務員法制は、終戦直後にGHQの命令でできたときは、職階制というもっとも純粋かつ極端なジョブ型公務員制度として作られたにもかかわらず、その後の運用は民間企業以上に徹底したメンバーシップ型でもって運用されてきたということについては、去る3月に刊行された『季刊労働法』2020年春号に掲載した「職階制-ジ

                ジョブなきメンバーシップ型公務員制度運用の帰結としてのスレイブ厚労省とポエム経産省 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
              • 雇用調整助成金に業種限定がなくなったのは・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                石原伸晃元自民党幹事長が、自らが代表を務める党支部の雇用調整助成金受給を理由に内閣官房参与を辞職したというニュースを見て、 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211210/k10013383721000.html そもそもなんで、企業活動をしているわけでもない党支部が雇用調整助成金を受給できるような立て付けになっているんだろうと思った人はいないでしょうか。 確かに現行制度上は、およそ人を雇っている以上はその適用対象に含まれるので、支給要件に該当する限り申請を拒否することもできない立て付けになっているのですが、始めからそうだったわけではないのです。 雇用調整助成金については、『季刊労働法』2013年冬号(243号)に「雇用助成金の半世紀」を書いたことがあるので、それを引用していきますが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.c

                  雇用調整助成金に業種限定がなくなったのは・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                • 職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折@『季刊労働法』2020年春号(268号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                  というわけで、『季刊労働法』2020年春号(268号) が刊行されました。中身のラインナップは既に9日に紹介していますのでそちらを御覧頂くとして、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-3c7f27.html ここでは、私が書いた「職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折」の冒頭の部分と小見出しをチラ見せしておきます。 日本の公務員制度についての労働法からのアプローチは、長らく集団的労使関係制度の特殊性(労働基本権の制約)とその是正に集中してきました。それが国政の重要課題から消え去った後は、非常勤職員という非正規形態の公務員が議論の焦点となってきています。しかし、正規の公務員については、終身雇用で年功序列という日本型雇用システムのもっとも典型的な在り方を体現しているというのが一般的な認識でしょう。最近話題となった小熊英二

                    職階制-ジョブ型公務員制度の挑戦と挫折@『季刊労働法』2020年春号(268号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                  • だからいわんこっちゃない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                    毎度当たり前なことを報じる記事ですが、これが当たり前だと感じられない人がいるから困るんですね。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230214/k10013980391000.html(“部活指導は労働時間” 未払い残業代支払うよう是正勧告 千葉) 千葉県にある私立の中学・高校で、休日などに教員が行った部活動の指導などの時間について、労働基準監督署は労働時間として認め、学校に対し、未払いの残業代などを支払うよう是正勧告を行いました。 これは千葉県浦安市にある東海大付属浦安中学・高校で、非正規の教員として働いていた20代の男性が会見で明らかにしました。 それによりますと、男性は去年3月までの2年間、休日や勤務時間外に部活動の顧問としての指導や大会の引率、学級の担任としての準備や生徒の対応などにあたっていたということです。 これについて、労働基準監督署は労働

                      だからいわんこっちゃない - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                    • 言いたい(であろう)ことには賛成なんだが、言ってることは完全にナンセンス - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                      為末大さんのこのつぶやきには、何というか、言葉を失う。 https://twitter.com/daijapan/status/1668801359993536513 ワークライフバランスも、兼業副業も、ジョブ型も、その本質は公私の切り離しだと思いますが、日本で実現するのは難しそうです。 広末涼子を無期限謹慎処分、所属事務所が発表「鳥羽様との関係は記事のとおり」本人が報道認める いや、為末さんの言いたいこと、と言うかたぶん言いたいのであろうこと、というかおそらくこういうことを言いたいんじゃないのかな,と想像されることに対しては、ほぼ完全に賛成なのだ。女優が不倫したからと言って無期限謹慎処分とか、日本はいつからイランやアフガン並みの道徳警察だらけの嫌らしい国に成り果てたんだと言いたいんだろうと思う。 でもね、それとワークライフバランスも、兼業副業も、いわんやジョブ型も、何の関係もない。ちょび

                        言いたい(であろう)ことには賛成なんだが、言ってることは完全にナンセンス - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                      • JILPTリサーチアイ第74回「職場における感染防止をめぐる法政策─ドイツにおけるコロナ労働保護規則の変遷を追う」|労働政策研究・研修機構(JILPT)

                        Ⅱ.コロナ労働保護規則制定までの過程 ドイツでは、新型コロナウイルス感染症は2020年初頭に流行の兆しがみられ、3月上旬には感染者が1,000人を超えるに至った。このような状況下において、まず同年4月16日に、「コロナ労働保護基準(SARS-CoV-2-Arbeitsschutzverordnung)」[注7]が公表される。これは、連邦労働社会省(BMAS)が労災保険制度の運営機関(Unfallversicherungsträger:以下、労災保険機関という)[注8]と共同で策定したものであり、そこでは職場(事業所)内での新型コロナウイルスへの感染を防止するために有効とされる措置が示されている。この点、ドイツでは労働保護法(ArbSchG)[注9]によって、使用者は、職場等におけるリスクアセスメント(Gefährdungsbeurteilung)の実施(5条および6条)と、かかるリスクから

                        • 建設安全と派遣禁止問題 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                          一昨日の産経新聞が「多発する建設現場の死亡事故 「安全軽視」脱却を」という記事を載せていて、全国紙がこういう記事を載せること自体珍しいので、大変いいことだと思うのですが、中にちょっと気になる記述がありました。 https://www.sankei.com/article/20210902-MZW42XNSFNI2XNOBM6DP66QVG4/ ・・・構造的な問題もあるとされる。建設業では労働者の派遣が禁止され、元請けが下請けに対して作業の手順など細かい指示を出すことは認められていない。蟹澤教授は「会社を超えた情報や知識の共有が難しいことも背景にある」と話す。 いや、派遣との関係で指揮命令したら偽装請負だというのが流行したのは2000年代の製造業であって、建設業ではずっと長い間労務下請が普通に行われてきたし、労働基準政策もその実態を前提に、労働安全衛生法において、元請会社が下請やその労働者に

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                          • 労働問題研究者 戸塚 秀夫 自選集

                            自撰小論集―私の道標―(1) 戸塚秀夫 2011年4月 はじめに 東日本大震災に直面して、私の研究者生活の「総括」の作業を急がなければと痛感する。そのための準備として、これまでの仕事のなかから、悩みながら生み出したエチュード類を俎板に載せてみたい、と思う。「小論」に絞るのは、実証的な仕事を重ねてきた自分の逃げ場を狭くしたい、という考えからである。読み易いものにしたい、という気持ちもある。 去る2月中旬にHamilton Libraryで、“Academic Questions”(Fall 2010)に掲載された一論(The Glut of Academic Publishing・・)を手にしたことも、一つの刺激になった。いま、人生の最後を迎えて、自分自身の軌跡を総括するためには、鬱蒼たる密林に身を隠す退路を絶って、時代と対話した自分の思想の質を露出しているような、あえて稚拙な作品をふりかえ

                            • 中教審の議論の一番弱いところ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                              去る5月13日に、文部科学省の中央教育審議会が「審議のまとめ」というのを公表し、教師の職務は特殊だから給特法は合理性がある云々と述べて色々と批判を浴びています。 https://www.mext.go.jp/content/20240524-mxt_zaimu-000035904_1.pdf https://www.mext.go.jp/content/20240524-mxt_zaimu-000035904_2.pdf その批判で「定額働かせ放題」というのがけしかるとかけしからんとかいう話があり、文部科学省の国会答弁によると、立派な給特法を、こともあろうに極悪非道の高度プロフェッショナル制度を形容する「定額働かせ放題」と呼ぶのがけしからんとのことで、あれだけ高給の労働者を手厚い健康管理で守りながら、未だに適用労働者が600人あまりしかいないという情けない制度と一緒にされるのは、確かに不本

                                中教審の議論の一番弱いところ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                              • 花見忠『労働問題六〇年』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                花見忠先生より、『労働問題六〇年 ― 東と西の架け橋を夢見て』(信山社)をお送りいただきました。ありがとうございます。 https://www.shinzansha.co.jp/book/b552174.html 労働法学者・中労委会長・IIRA会長・弁護士として多面的に活動し、60年にわたり東西の架け橋をめざして戦後の国際労働法学の発展に注力してきた花見忠先生の卒寿記念論考集。旧制静岡高校在学中の1964年から現在に至るまでの32論考を収録し、花見労働法学の全体像を示す。縁の深い山口浩一郎、小杉丈夫、梅谷俊一郎、ハラリ、マンフレート、ヴァイス各氏が花見忠のエピソードを語る。 中身は下の目次の通りですが、その大部分を占める労働法学人生のその前とその後に書かれた政治的な文章がいろんな意味で面白く、1940年代後半という時代と、2010年代という時代の日本を象徴しているような気がしました。 論

                                  花見忠『労働問題六〇年』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                • 労働者協同組合のパラドックス@『季刊労働法』2021年夏号(273号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                  『季刊労働法』2021年夏号(273号)に書いた「労働者協同組合のパラドックス」は、例によって立法運動と立法政策を歴史的に辿ったものであり、失対事業由来のワーカーズ・コープと生活クラブ生協由来のワーカーズ・コレクティブの双方の動きをかなり細かく取り上げています。 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2021/06/post-aecc1f.html その初めのところと終わりのところだけを、ちらりとお見せしておきましょう。 去る2020年12月11日、労働者協同組合法が成立しました。まだ施行日も未定の法律ですが、労働法の観点からも興味深い点があり、今回はその制定に至る経緯を概観しつつ、その逆説的な性格を考察していきたいと思います。 1 労働者協同組合とは何か? 今回制定された法律の第3条第1項は、労働者協同組合の基本原理をこう規定しています。 ・

                                    労働者協同組合のパラドックス@『季刊労働法』2021年夏号(273号) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
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