トヨタの危機管理は人材教育にもなる 危機管理にかかわったトヨタの人に話を聞くと、口をそろえて「危機管理に参加したり、支援に行くと、自分自身が成長する」と答える。 人に教えるには自分が勉強しなければならない。支援に行くと、現場でさまざまなくふうを考えなければならない。それは講義を聞いて知識を得るよりも、はるかに役に立つ。知識は本から学べるけれど、スキルは体に記憶させるしかない。 思えばトヨタの危機管理は人材教育にもなっている。 この点について、危機管理人の朝倉正司もうなずく。 「僕は、性善説になるかもしれないけれど、人はみんな人を助けるのが好きなんだと思う。災害や感染症の蔓延で出社できなくなる。仕事ができなくなって、ぼんやりしているスタッフに『さあ、現場に行って直してこようぜ』と言ったら、みんな目が輝くんですよ。自分の気持ちにもいいし、世の中のためになったと感じるんでしょうね。帰ってきてから