ハメリンプールのストロマトライト 満潮時に水中カメラを用いて撮影したもの。地上の樹木のように、光を多く受けるために上に向かって広がっている。 オーストラリアには、多くの魅力的な生物が生息している。卵を産む哺乳類カモノハシ、カンガルーに代表される有袋類の数々、恐竜の生き残りともいわれる飛べない鳥エミュー、巨大サンゴ礁等枚挙にいとまがない。これらはすべて、生物進化の生きた「見本」である。私は、一昨年11月か昨年4月までの半年間、オーストラリアに滞在する機会を得たので、そこで出会った「ストロマトライト」と呼ばれる生物進化と地球史を物語る構造体について紹介してみたい。 ストロマトライトは、光合成バクテリア(以前はラン藻類と呼ばれていた)のコロニーが水中で構築したドーム状あるいは柱状の構造体である。光合成バクテリアが分泌する粘液に細かい堆積物が海水中の炭酸カルシウムとともに沈着される。光合成バクテリ