安倍晋三首相が、異例のトップ人事を決断した内閣法制局が注目されている。「法の番人」と呼ばれ、歴代長官は役人でありながら恣意(しい)的な法解釈によって、首相や内閣の判断までしばってきた。その唯我独尊的な内向きの論理と、たらい回しや順送りが横行する人事慣行に迫った。 「内閣法制局長官が恐れるのは首相でも国民でもない。月に1回行われる参与会だ」 法制局の「ムラの論理」の一端について、政府高官はこう語った。 気になる「参与会」は後述するとして、安倍首相は先週末、次期長官に集団的自衛権の行使容認派である小松一郎駐仏大使を起用する方針を固めた。日米同盟を修復・強化し、中国や北朝鮮を牽制する狙いとされる。 さて、参与会とは、現役長官と歴代長官、学識経験者が集まり、毎回テーマを決めて意見交換を行う会だ。東京・五反田の長官公邸が2001年に廃止されるまでは公邸食堂で行われ、現在は、霞が関の法制局庁舎