日本経済新聞朝刊の最終面(文化面)に掲載されている連載「私の履歴書」から生まれた自伝には、意外と佳作が多い。 というより、「あの自伝」が、実は「私の履歴書」として連載されていた、と後から知ることが、自分にとっては多かった。 たとえば、誰がどう考えても傑作としか言いようのない、笠智衆『俳優になろうか』や、大来佐武郎『東奔西走』、J.W.フルブライト『権力の驕りに抗して』がそうである。 「柳田國男、折口信夫という巨星の流れをくむ最後の在野の民俗学者」谷川健一の『妣の国への旅』や、ある意味「在野」としか言いようがない田辺聖子『楽天少女通ります』といった快作もそうだ。 今少し並べてみたが、『私の履歴書』というタイトルのまま、まとめられているものがある一方で、それだと区別がしにくいのと書き手の個性が「著者名」にしか出てこないので、独自のタイトルをつけたものが結構ある。 「え?これ、元は『私の履歴書』
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