大阪地裁で27日から始まる放火事件の公判で、裁判員が裁判官3人とともに現場を検証する。無実を訴える男性被告(65)を現場付近で見たとする証言の信用性を検討することが主な目的だが、裁判員が審理中に現場に出向くのは異例。 被告は昨年8月、大阪市此花区の住宅の2階部分に灯油をまいて火をつけたとされる。検察側は1階の飲食店の経営者が「店のすりガラス越しに、出火当時に被告が階段を上り下りするのを見た」と説明した証言を立証の柱としている。 これに対し、弁護側は公判前に証拠などを絞り込む非公開の手続きで「すりガラスは外側が見えにくく、被告とは特定できない」と主張。畑山靖裁判長は第2回公判(28日)で裁判員と一緒に現場検証することを決めた。弁護人の中村真二弁護士は「裁判員に適切に判断してもらうためにも、明るさなど当時の状況を正確に再現してほしい」と話している。(平賀拓哉)