崩壊家族をどう救うか(1) ひきこもり、幻覚や妄想、アルコール依存症……本来であれば、精神科医療が必要なのに本人に病識がなく、家族はもちろん、行政や警察でも対応できない人たちを医療機関につなげ、自立更生支援を続けている押川剛さん(47)が今年、「『子供を殺してください』という親たち」(新潮社)を出版した。多くの実例に接し、精神保健福祉の現状に詳しい押川さんに、家庭という密室の中でいま何が起きているのかを聞いた。【聞き手、構成・大川内麻里】 北九州市生まれの押川さんは1992年、神奈川県で警備会社を創業。96年、精神疾患を持つ人を医療機関に移送するサービスを始めた。強制拘束ではなく、家族や本人への対話と説得で、福祉・医療機関につなぐスタイルを作り、多くの患者や家族を救ってきた。2002年、自立・更生支援施設「本気塾」を設立。現在は、塾生の募集は停止しているが、患者の社会復帰に関する支援を続け