(前回から読む) 今回から実存する企業の財務諸表を分析していきましょう。まずは日本航空(JAL)の分析です。第1回と第2回のコラムで、会計の初心者が財務分析をする場合は、同業他社比較や期間比較が不可欠だと言いました。JALの競合会社である全日本空輸(ANA)のデータと同業他社比較をしながら期間比較をしてみましょう。まずは損益計算書(PL)からです。 図1はJALとANAの最近の5年間の売上高を比較したものです。JALは2007年をピークに売上高が下がっています。一方ANAは2009年3月期を除けば、概ね増加傾向にあったことがわかります。 両社の「営業総利益」を比較してみましょう(図2)。この営業総利益というのは一般の会社では「売上総利益」といっているもので、私たちが通常「粗利」と呼んでいるものです。一貫してANAの粗利の方が高いのがわかります。営業総利益率(粗利率)を表にしたのが表1です。