その昔、安田南というジャズ・シンガーがいた。 1960年代の前半から米軍キャンプなどで歌うようになったが、一時は俳優座養成所に籍をおいていたこともあった。 アングラ演劇の勃興期だった1960年代後半になると、自由劇場や演劇センター68/71(現・劇団黒テント)の舞台にも立った。 人気小説家だった瀬戸内晴美(現・寂聴)が連載エッセイで、「はじめて安田南の存在を知ったのは、歌手としてではなく、役者としてでもなく、とてつもなくチャーミングな女の子としてであった」と、雑誌に紹介したのは1971年のことだった。 つきあった男(もちろんセックスで)は七十人だとか八十人だとかケロリとして口にしているけれど、色情狂でもない。 横で見ていると、ちょうど靴でもはきかえるように男を変えているだけの話だ。 まだ宵の口に六本木を男の腕にすがってはだしで歩いている南に逢ったことがある。 新しい靴が痛くていやだからはだ
キャリア10年、tofubeatsはいかにして「唯一無二」となったのか 本を読み、曲を作り、社会に問いかける ニュータウン生まれ、インターネット育ち。 そんな出自から頭角を現しメジャーデビュー5周年を迎えたtofubeatsは、いつの間にか、似たポジションの人が他に誰もいない、とてもユニークなアーティストとなっていた。 肩書きは「音楽プロデューサー/DJ」。クラブミュージックの最新の潮流をキャッチアップしつつ、これまで森高千里や藤井隆など多彩なゲストを迎えJ-POPの楽曲を発表してきた。 しかし、作品を重ねていくうちに、tofubeats自身が歌うシンガーソングライター的な楽曲が徐々に増え、そしてその音楽には「社会への問いかけ」が内包されるようになってきた。 昨年に発表されたアルバム『FANTASY CLUB』のテーマは「ポスト・トゥルース」。そして先日リリースされた4枚目のアルバム『RU
ドラムやベース、ギターにヴォーカルなど合計で1000人を超えるメンバーが一斉に演奏する世界最大のバンドイベント「Rockin'1000」が2018年も開催されました。いったいなぜ世界中の30カ国から1000人を超えるミュージシャンが集まって演奏するのか、その意味についてイベントを立ち上げて主宰している人物が語っています。 This Rock Band Has 1000+ Members From 30+ Countries - YouTube Rockin'1000が開催される場所は、イタリアのフィレンツェ。 そしてこのイベントを立ち上げ、主宰している人物がファビオ・ザッファニーニ氏です。 Rockin'1000は実に約1000人というメンバーから構成される一つの「バンド」で、参加を希望するメンバーは世界各国から集まってきます。 世界最大のバンドが演奏するステージを用意する必要があるという
蒸気波の歴史について ポスト・モダニズム ジャンル純粋性の夢 Vapormemeとは何か ①ありがちなイメージやエフェクトをテキトーに貼り合わせただけのもの ②過去のVaporwave作品を、パロディ化したもの ③Vaporwaveと一切関係ない画像/音源で、#vaporwaveを名乗っているもの Fashwave(ファッショウェイヴ) まとめ:今後のVaporwaveについて NEO GAIA PHANTASY 蒸気波の歴史について Vaporwaveは錬金術だ。 それは方法論からして、ジャンク音楽を集めたサウンドコラージュである。時代遅れのポップソング、毒にも薬にもならない商業用BGM、耳障りなCM音声……それらをこねくり回した先に、ありもしない架空のノスタルジーを生み出してしまった。 ほどなくしてVaporwaveは”死んだ”。具体的にはVektroidとINTERNET CLUBと
既存の曲からボーカルや特定の楽器だけをきれいに抽出できる新しい技術を、「End-to-End学習」によるニューラルネットワークを用いて開発したという論文が発表されています。 [1810.12187] End-to-end music source separation: is it possible in the waveform domain? https://arxiv.org/abs/1810.12187 楽曲からボーカルやギター、ドラムなど、特定のパートを分離して抽出できるニューラルネットワークとして、「DeepConvSep」と呼ばれる畳み込みニューラルネットワークが存在していました。これは、楽曲の周波数に応じてどの音がどれぐらい強くなっているかを示す「マグニチュードスペクトログラム」を分析してから抜き出すという手法もの。しかし、DeepConvSepでは、抜き出したパートの精度
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 「キモいけどかっこいいんだよ!!! わかってないんですよみんな!!!!」 NUMBER GIRL、eastern youth、the pillows、amazarashi、GRAPEVINE、ゆらゆら帝国……1997年以降の日本のオルタナティブ・ロックの精神を愛し、そのよさを世間にわからせようと男子高生が奮闘する。漫画『ロッキンユー!!!』(石川香織)が、"ロック漫画”としては過去にない「日本のオルタナ推し」な内容で新たな魅力を放っている。集英社の漫画アプリ「ジャンプ+」で連載中、11月2日にコミックス2巻が発売された。 『ロッキンユー!!!』コミックス1巻、2巻 主人公の高校1年生、真神たかし。周囲と仲良くやっていけるコミュ力はあるけれども、心底好きなものに出会えたことはない。モテる部活に入りたいなーと部活動紹介をかったるそうに眺
ちょっと前に、英国のヘビメタバンド、ブラック・サバスのメンバーを請求人とする拒絶査定不服審判がありました(特許情報プラットフォームの審決公報DBメニューに審決番号2017-650015を入力すると審決文を参照できます)。 これは、「BLACK SABBATH」という商標登録出願(マドリッドプロトコル国際登録経由)が、商標法4条1項8号違反で拒絶されていたのに対して、出願人であるブラック・サバスのメンバーが不服を申立てた審判です(他にも論点はありますが、補正により解消したので説明省略)。 商標法4条1項8号 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。) 特許庁のもともとの拒絶理由は、 本願商標は,イギリスのヘビーメタルバンドを表すところ,同バンドは3名で構成されているものの,出願人は,その
完全に自業自得、アホとしか言いようがないんですが、左耳に音響外傷による後遺症が残ってしまいました。 今では自分の耳を過信していたことを猛省しています。 発端となったライブから約1ヶ月経って、 ・高音が2、3種類混ざって響いてる感じの耳鳴り ・耳の閉塞感(詰まった感じ) ・些細な音が鼓膜にボソボソっと響く聴覚過敏 の症状が治っていません。 これらに加えて、ストレスからか重い片頭痛も。 1ヶ月といっても、もう耳へのダメージは何年も蓄積されていたと思われる。 右耳が無事なのが不幸中の幸いといったところでしょうか。 今はとにかく精神的につらいですが、そろそろこの後遺症と付き合っていく覚悟をある程度しないとな、と思っています。 ちなみに私の簡単なプロフィールとしては ・現在大学4年生の22歳 ・ヴィジュアル系のライブ大好き ・去年のライブ参戦数は30回以上 ・ライブ行き始めてから8年 ・好きなバンド
By Photo Phiend 音楽を志す人にとって、音の違いを正確に聞き分けられる能力は欠かせないものです。生まれながらにして備わると言われる「絶対音感」に加えて、後天的にトレーニングで手に入れられる「相対音感」を鍛えることが大事と言われているわけですが、なかなか環境の整わない人にとっては実際にトレーニングを行うことは難しいもの。そんなトレーニングの環境を提供してくれるサイトが「Ear Training」なのですが、このサイトは基本的な音の聞きわけに始まり、コード進行の判別、そしてソルフェージュなどの高度な耳トレをスマートフォンでも行うことができるという驚きの内容を備えています。 Ear Training http://tonedear.com/ Ear Trainingのサイトでは、「Intervals(音程)」、「Chords(和音・コード)」、「Scales(音階)」、「Chord
by Jack Sharp 単独で音を聞いた時にその音の高さを絶対的に認識できるという「絶対音感」は、1万人に1人といわれる非常に珍しい能力で、モーツァルトを初めとする有名音楽家が持っていたことで知られています。絶対音感は遺伝的なものに加え、幼い時期に音楽の訓練を行うことによって確立されると一般的には考えられていますが、新たな研究で「絶対音感は大人になってからでも身につけることができる」ということが示されました。 Acquiring absolute pitch in adulthood is difficult but possible | bioRxiv https://www.biorxiv.org/content/early/2018/07/03/355933 香港城市大学のYetta Kwailing Wong氏らの研究チームが発表したのは「Acquiring absolute
以前から何度か書いているのだけど、ここのところ10代の中高生がつくる音楽がとても面白いことになっている気がする。10代だからという将来性があるよね、ということでもなく単純に現時点での作品として良いものが多いと言うこと。 今回取り上げている人たちは自分たちの音楽ルーツに明確で、サウンドプロダクションに対してかなり意識的であるという点で選んでみました。作詞作曲だけではなく録音物としてどうだというプロセスにより興味があるという点でもはや学生だからどうのこうのなレベルではないのです。 ANNA ANNAさんは東京の現在17歳。BIG LOVEより7インチレコードをリリースしています。BIG LOVEは90年代に渋谷系音楽を牽引したレーベルの一つESCALATOR RECORDSを主宰されていた仲真史さんのレコードショップ/レーベルです。小山田米呂さんはじめセンス溢れる同世代が集まるこのお店で磨かれ
2018年10月で誕生10周年を迎えるSpotifyが、過去10年間で最も多く再生された曲やアーティストのトップ10を発表しました。 Celebrating a Decade of Discovery on Spotify — Spotify https://newsroom.spotify.com/2018-10-10/celebrating-a-decade-of-discovery-on-spotify/ Spotifyが発表したインフォグラフィックには、過去10年において年ごとに最も多く再生された曲と、10年総合のトップ10ソングとトップ10アーティストが示されています。 ◆毎年最も多く再生された楽曲 2008年:ザ・キラーズ「Human」 2009年:ブラック・アイド・ピーズ「I Gotta Feeling」 2010年:エミネム feat.リアーナ「Love The Way Y
投稿日 : 2019.11.14 更新日 : 2023.09.05 【スティーヴ・ガッド/インタビュー】「もっと学びたい」ドラムの神様が明かした創作への執念 2018年9月27日の記事を再掲 “ドラムの神様” たる所以 スティーヴ・ガッドとは誰か。たとえばフォーク/ロックのファンにとって彼は、ポール・サイモン「恋人と別れる50の方法(50 Ways To Leave Your Lover)」(1975)のドラマー。あの有名なイントロを創った(叩いた)人だ。 ロックファンならあるいは、スティーリー・ダン「エイジャ(Aja)」(1977)のドラムを挙げるかもしれない。 一方、ヒップホップ愛好者に耳なじみなのは、Run-DMC「Peter Piper」(1986)だろうか。 この Run-DMCのトラックは、ボブ・ジェームス「Take Me to the Mardi Gras」(1975)のイン
ファンク・ギターとはなにか。 僕は学部生のころ、ブラック・ミュージックを専門に演奏するサークルに所属していた。 ファンク・ギタリストとして4年間活動し、改めて思うことがある。 「ファンク・ギターってなんだ?」 折しも分析哲学という「言葉遣いや概念の定義を扱う学問」に携わっている身として、この問題を一身に引き受けようと思った次第。 それから数日、メインで研究している作者性だとかサブで研究しているVaporwaveを放り投げ、驚天動地の熱意でもって書きあげたのが本稿である。*1 私見を言わせてもらえば、ファンク・ギターとはベースやドラムやホーンよりもずっとずっとずっと過小評価されているジャンルである。キーボードよりは幾分マシだ。 過小評価でなければ、こう言ってもよいが、だいぶ誤解されているジャンルでもある。あとで後述することになるが、カッティングひとつ取っても、その奏法の本質はだいぶ勘違いされ
本当にそれだけ電気は重要な生活のライフライン、電気がなければほんとナニも出来ないのが実証された これだから残念な反原発派は、そういえばあんた、日産リーフを真っ先に所有して絶賛もしてたんじゃ?電気自動車でしょ?それ。
「客引きは100%ぼったくりです」。そんな物々しい看板が立つ東京・新宿の歌舞伎町。ここで開催されているクラブイベント「Soi48」。DJブースに“彼ら”が立つと、フロアの空気が変わります。やがてスピーカーから、どこの国のものともわからない不思議な音楽が大音量で流れてきました。 実は日本の民謡なのですが、注意深く聞かないとそれが日本語であることすらわかりません。“彼ら”の名は「俚謡山脈(りようさんみゃく)」。民謡でフロアを湧かす「民謡DJ」のユニットです。 「俚謡山脈」は民謡を専門とするDJとして、おそらく日本で唯一の存在です。彼らの民謡に対する思い入れは深く、背景や歴史を探るうちに「ジジィババァの声は最高だな!」という境地に達したのだとか。そんな「俚謡山脈」の佐藤雄彦さん(42)と斉藤匠さん(38)に、なぜいま民謡なのか、どうして民謡をクラブでかけようと思ったのか、聞いてみました。 建築関
エレクトロニック・ミュージックとクラブ・カルチャーについて痛烈に批判しているスティーヴ・アルビニのメールを使った、エレクトロニック・プロデューサーであるパウエルのミュージック・ビデオが公開されている。 パウエルがニュー・シングル“Insomniac”に、スティーヴ・アルビニがビッグ・ブラック時代に残したライヴ音源のヴォーカルをサンプリングする許可を求めたことを受け、スティーヴ・アルビニは返事を送っている。 パウエルのレーベルであるXLレコーディングスは“Insomniac”の宣伝のため、そのメールの全文を冒頭に掲載した写真の通り、イースト・ロンドンのショーディッチの屋外広告に使用している。 パウエルは同じ文面を動画として取り入れ、新たにグリッチーなミュージック・ビデオに仕立てており、その映像はこちらから視聴することができる。「やっぱりどうでもいい(still don’t care)」もこの
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