久しぶりに彼が参加するというので楽しみにしていた。その会合は仕事がらみで成立した集まりではあるけれど、参加者の年齢が近くて直接的な利害関係が薄いので、行って話すとなんとなく元気になる。 彼はずいぶんと多忙な職場にいて、子どもが生まれて一年くらいで、それだから、まだ来られないかと思っていた。彼は頭の回転が速く私の毛嫌いするたぐいの偏見を持たず言葉遣いが快く、時おり抑制された毒気を含み、話していてたのしい。 今日はカナツさんが来るって聞いたから来ましたと言うと彼は衒いなくほほえみ、どうもありがとうとこたえた。もてるねえと誰かが言い彼は苦笑してマキノさんは僕と話すのが好きなだけですよと説明する。色恋沙汰じゃなくってももてるって言う用法が広がればいいのになと私は思う。 ひとしきり互いの近況を話して、カナツさん忙しいですねえと私は言った。彼は視線を落としてから、持ち時間はあまり多くないですね、とこた