かなかな 「お詫びいたします。昨日、あなたさまの『時間』をこちらの手違いでお渡しできませんでした。その埋め合わせとして、一日分の『時間』をあなたさまだけに本日お渡しいたします。このようなミスがないよう我々【時間猫組合】はこれからも誠心誠意お勤めいたします」 朝起きると、自分は『時間猫』だと喋る一匹の猫がいた。普通のとら猫だ。猫いわく、人々の一日という時間はこの時間猫たちによって毎晩枕元に届けられているらしい。時間の配達ミスにより、私の昨日という時間だけがすっぽり抜けたようなのだ。そこで帳尻を合わせるために今回このような方法に出たという。 「それでは。どうぞ今日という一日を存分にお楽しみください」 猫は消えた。 私はとりあえず時計を見て、今が七時だと知る。普段通り朝食をとって八時には家を出た。バス停へ行くが、誰の姿も見えない。おかしいなと思いつつバスを待つ。予定時刻を二十分過ぎても来ない。
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