屋上の神 都心で電車に乗って、なにげなく窓の外の景色を見ていると、並んでいるビルの 屋上に、場違いな感じの物が見える。 古ぼけたビルの屋上に、小さな箱状の物。電車の窓から目をこらして、走り去っ てゆくそのものをよく見ると、赤い幟(のぼり)や鳥居をつけた社である。ビルの上 の小さな神社。なんとも奇妙なものである。 コンクリートでできた現代の建築と言えども、神事と無縁とは言えない。地鎮祭が あり、上棟式があり、時には落成祈願も行われる。事務所の壁に大きな神棚を据 えているところも多い。資本主義の真っ只中に存在するビルの中にも、ふと人知を 超えた存在に頼む隙間がひそんでいる。 だが、神棚を据えればいいものを、なにゆえに、わざわざ屋上の 一角に社を構える必要があるのか。 ひとつは、祭っている神に対する一層の敬意からである。いくら豪勢とは言え、 神棚とはしょせん家具である。屋上に

