September 21, 2022 知られざるコンピューターの思想史 小山虎さんの『知られざるコンピューターの思想史 アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』は、いろいろな意味で刺激的な本である。もっと話題になってもいいと思うのだが、今のところあまり話題に取り上げられている様子がない。それは理由がないことではないだろうと思う。以下、この本を読んで思ったことをつらつらと書き留めておきたい。 1 学術的な思想史の本として いきなりであるが、この本を学術的な思想史の本として扱うのは現時点ではむずかしいと思う。「学術的な思想史の本」でないとしても、あとで述べるように、ある種の歴史観についての学術書として、あるいは思想史に関する一般むけの著作としてはまた評価が異なってくると思う。しかし、歴史そのものを学術的に扱う場合にはそれなりの作法があり、本書がその作法に従っているとはいいがたい。あとがき(p