「作り手への迷惑行為が急増している」と語るアニメ監督の幾原邦彦さん=東京都三鷹市で2023年9月13日、宮本明登撮影 「私の作品が盗用されています。深い傷を心に負いました」――。有名アニメ監督の元に、SNS(ネット交流サービス)を通じて心当たりのない「抗議」が寄せられた。相手は見ず知らずの女性で、仕事仲間にも同様のメッセージが届き、事態は関係するイベントの中止にまで発展した。監督は女性に賠償を求める訴訟を起こし、法廷に立った。胸中にあったのは「京アニ事件」と、業界の未来への危惧だった。
2020年夏以降、SNS投稿をきっかけとしたとみられる死亡事件を契機に、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷を取り締まるべきだという声が急速に強まった。もちろん、その前からネット検索の前歴表示やヘイトスピーチなどに対して訴訟が起こされてきたし、実際、いくつかの事案では発信者やプラットフォーム事業者に賠償や削除措置を命じる判決も出てはきている。しかしその手間や費用が膨大であるなど、被害者救済が不十分だという認識は一定程度社会に広まってきていたといえるだろう。 しかし一方で、SNSの手軽さや自由さがゆえに、多様な言論が生まれてもいるし、最近ではツイッターデモといった言葉も生まれるなど、社会を動かす力にもなりえている。まさに、市民にとって時の権力や大企業など、大きな存在に対し対抗する新たな手段として、極めて有効なものとしても存在している。しかも一度手にした、世界に向けての発信力は、もう手放すこと
新型コロナウイルス感染症は、通常の風邪を引き起こす既存の4種類のヒトコロナウイルスのように定着するまでに10年程度かかるとの試算を、米エモリー大などの研究チームがまとめた。論文が米科学誌サイエンスに掲載された。10年後には3~5歳程度でほとんどの人が感染し、高齢になって感染しても重症化を防ぐ免疫を得られるため、死亡率は低下し、インフルエンザを下回る可能性があるという。 風邪を引き起こすヒトコロナウイルスは世界中で定着しているが、症状は軽度で重大な問題となっていない。過去に問題化した重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)もコロナウイルスによる感染症だが、封じ込められるなどしたため世界的には拡大しなかった。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請を巡り、大阪府は要請に応じない府内約10カ所のパチンコ店について、24日にも改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき公表する方針を固めた。府関係者への取材で判明した。パチンコ店は大型店舗が多く、大規模なクラスター(感染者集団)が発生する危険性が高いことなどを踏まえ、業種を限定して公表に踏み切るという。 府関係者によると、府は店舗名と所在地を明らかにする。約10店舗については休業要請を始めた14日以降、電話や文書通知で休業を再三求めているが、いずれも応じていない。府は公表直前まで説得を続ける予定で、実際に公表される店舗が減る可能性もある。
新型コロナウイルスの感染者が多発したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の内部に入り、感染防御の甘さを動画で告発した神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授(48)。生々しい内容に賛否両論が巻き起こり、教授は2日後に動画を削除した。しかし、陰性とされて下船した乗客がその後に陽性となるケースが国内外で相次ぎ、教授の警告どおり船が「ウイルス培養器」と化していたことが明らかになった。我々はどこで間違ったのか。政府や自治体が取るべき対策は何か。2月27~29日、岩田教授に電話とメールで聞いた。【國枝すみれ/統合デジタル取材センター】 全国一斉休校は「科学より政治」の悪い例 ――安倍晋三首相が全国の小中高校に3月2日から春休みまでの臨時休校を要請しました。これは感染拡大を防ぐために有効でしょうか。 ◆小児の発症、重症化が少ない中で、学校だけ休むのは合理的ではありません。小児患者が発生している北海道は理
首都大学東京(東京都八王子市)は24日、大学院の入試問題を親しい受験生に漏らすなどしたとして、健康福祉学部の竹井仁教授(53)を懲戒解雇とした。理学療法士の竹井氏は、2016年参院選の比例代表で日本理学療法士協会副会長として初当選した小川克巳氏(自民)に投票するよう、学生らに呼びかけていたという。 首都大によると、竹井氏は17年5月、大学院人間健康科学研究科の国際徒手理学療法学コースを受験する知人男性と宴会で同席した際、翌日の入試の英語や小論文の出題が類推できる情報を伝えた。 男性からの依頼や金品の授受はなく、竹井氏は「受かってほしかった」と話している。同コースの入試問題は竹井氏が作り、漏らした情報は250点満点中計115点分。男性は合格したが自責の念で大学院を中退し、漏えいがあったと昨年申し出ていた。
全国大会に出場した大分県日出町の小学生女子バレーボールチームで発覚した男性監督の体罰問題。監督が女児を平手打ちしたにもかかわらず、県小学生バレーボール連盟(県小連)は、被害女児やその保護者に聴取せずに「体罰なし」と認定した。一方で、一部の保護者は7月、体罰の事実を外部に漏らさないよう保護者全員に誓約書への署名を迫っていた。指導者、連盟、保護者。強豪チームで起きた問題に、三者がそろって蓋(ふた)をしようとする“隠蔽(いんぺい)体質”が透けて見える。【田畠広景、河慧琳】 関係者によると、誓約書への署名が求められたのは、連盟に被害が訴えられた後の7月16日。保護者会は町内の公民館で開かれ、チームに所属する女児の保護者や、OGの保護者ら約40人が集まった。
同性愛が罰せられた第二次世界大戦後のフィンランドで、ゲイの男性の姿を描き、後に世界的なゲイカルチャーをけん引した画家トウコ・ラークソネン(1920~91年)。彼の人生を描いた映画「トム・オブ・フィンランド」が8月2日に公開される。フィンランドではラークソネンの勇気がたたえられ、記念切手にもなっている。この作品の配給会社「マジックアワー」代表の有吉司さんは、彼の雄姿を「若い人に見てほしい」と意気込むが、日本では「映画倫理機構」の審査で「R18+」に区分され、18歳未満は鑑賞できない。1度目の審査では、「R18+の基準を超える過激な描写」だとして区分も与えられず、無修正では上映できない恐れもあった。映倫と話し合いを重ね、上映にこぎつけた有吉さんは、「映倫の規制は、映画文化を守るためのものではなくなっている」と訴える。【中嶋真希】 体にフィットした革の服を着た筋肉質な男性たちが、バイクに乗ったり
国を持たない最大の民族といわれるトルコ国籍のクルド人が多く住む埼玉県川口市で、クルドの子どもたちへのいじめが深刻化している。市内北西部の市立小学校で、いじめを受け不登校になった女子児童(12)は、卒業後にいじめを避けるため学区外の中学に入学した。日本には約2000人のクルド人が居住し、このうち1500人ほどが川口市を中心に生活している。中学生以下の子どもも300人以上いるといい、学校や周囲の大人の配慮が求められている。 支援者らによると、女子児童は昨年、複数の同級生から女子トイレに閉じ込められるなどのいじめを受けた。今年に入ってからも、体育の授業のサッカーで男子児童に倒されたり教室で背中を蹴られたりして、2月から不登校になった。加害生徒側は謝罪と治療費負担などを申し出たが、誓約書の提出などを巡って折り合わず、最終的な和解には至っていない。
埼玉を見事に「ディスっている」と話題になった漫画「翔(と)んで埼玉」が実写で映画化され、22日から全国で上映される。大ヒット作「パタリロ!」(コミックス100巻)で知られる原作者の魔夜峰央さん(65)は「笑って受け入れてくれるのは埼玉だけ。その鷹揚(おうよう)さは日本一」という。【松下英志】 --この漫画を描いたきっかけは? 三十数年前ですから全く記憶にございません。ただ後付けで考えると、東京へ出たいと思って当時の編集長に相談したら、じゃあ所沢にしなさいと。住みやすく西武線沿線は結構、漫画家も住んでいて出版社からのアクセスも良い。行ってみたらすぐそばにその編集長と、もっと怖い編集部長が。監視のためと分かった時は手遅れで、脱出に4年掛かりました。多分そういう鬱憤をどこかで晴らしたかったんじゃないかと。
消費税率引き上げはアベノミクスにとって鬼門である。せっかく軌道に乗りかけたアベノミクスによるレジームチェンジが頓挫したのも2014年4月の消費税率引き上げ(5→8%)によるものだった。 安倍首相の決断 来年(19年)10月の引き上げ(8→10%)も危ない。 そこで私は、今年(18年)の5月に「アベノミクスを成功させる会」として「再延期すべきだ」との提言をまとめ発表しようとした。 初代会長の安倍晋三首相に打診したところ、安倍首相からは「理論的には山本さんが正しいと思うが、政治的には上げざるを得ない状況だ。思い切った財政出動等あらゆる手段で対処しようと思うので、上げる前提で考えてほしい」旨の回答があった。
寸断された幹線道路の端から、大量の泥に覆われていた村を指さす住民ら=インドネシア中スラウェシ州シギ県ジョノオゲ村で2018年10月6日、小泉大士撮影 スラウェシ島、液状化現象による地滑りが発生 【シギ県(スラウェシ島中部)小泉大士】「大量の泥が津波のように押し寄せ、村が消えた」。インドネシア・スラウェシ島で9月28日に発生した大地震で、液状化現象による地滑りが発生したとみられるシギ県ジョノオゲ村。幹線道路沿いにあったはずの民家や教会、モスク(イスラム礼拝所)、食堂などが数キロ先まで流され、想像をはるかに超える惨状を呈していた。7日現在の死者数は1763人だが、犠牲者がさらに増えるのは確実だ。 無数の陥没や地割れができた道路は、小さな橋を渡ると突然消えていた。目の前に広がるのはトウモロコシ畑。のどかな農村風景に見えるが、村で家畜を飼っていたマデ・ウィダナさん(52)は「このトウモロコシ畑はあ
メインメディアセンターに入場するメディア関係者を手を合わせて出迎えるボランティアスタッフの女性(中央)。そろいの赤色シャツを着用した人たちはボランティアスタッフ=ジャカルタで2018年8月17日、宮間俊樹撮影 【ジャカルタ倉沢仁志】第18回アジア大会は18日午後7時(日本時間同9時)からインドネシアの首都ジャカルタのブンカルノ競技場で開会式を行う。大会を支えるのが約1万5000人の地元ボランティアだ。大会組織委員会によると、ボランティアには交通費と食費を含め30万ルピア(約2300円)の日当が支給される。ジャカルタの最低賃金を大きく上回る破格の待遇だ。 「前回の1962年大会以来の歴史的な国際イベント。一翼を担いたいと思った」。ジャカルタ郊外の自宅から約1時間かけ、同競技場に通う大学生のリナ・ウランダリさん(19)は観客らの案内役をする。着用しているTシャツはもちろん、靴やバッグなども組織
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