日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が、大枠合意に向けて交渉のヤマ場を迎えている。現在の焦点は、チーズ、ワイン、牛肉・豚肉などの農産物と自動車・自動車部品の関税引き下げを巡る攻防だ。もちろん国内産業に与える影響は大きく、また消費者の生活に直結して分かりやすいこともあって、メディアの報道はこの点に集中している。しかし、それだけに目が行って、日欧EPAの持つもっと本質的な意味合いを見失ってはならない。 米国が環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を表明して、日本の通商戦略における日欧EPAの重要性はますます高まっている。 米国、中国のように自らの巨大な市場規模を背景にパワーゲームを展開できる国々と違って、日本にはルールに基づいて公正な競争が行われる環境が不可欠だ。つまり、ルール作りで主導権を発揮することが通商戦略の基本スタンスとなる。 TPPはまさに、それを今後成長が期待されるアジア市場
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