1.はじめに コンピュータやその他の電子通信手段を媒介とするカウンセリングやソーシャル・サポートの試みは今日多様な形態で試みられている。カウンセリングにおける媒体のそのような変化は、従来のダイレクトな面談とは異なる様々な効果を生むことが指摘されている。しかし、コミュニケーションの媒体は変わっても、システムの両端に人がいる、すなわち、最終的には人と人との間で営まれる活動であることに変わりはない。それでは、人でなく、コンピュータ自身にカウンセリングを代行させることはできないだろうか? 実はそのような構想は最近出てきたアイデアでなく、意外に古くから考えられていた。まずは、そのあたりの歴史から眺めてみよう。 2.コンピュータ・カウンセリング研究事始め コンピュータにカウンセリングを代行させる。このアイデアが生まれたきっかけは1960年代に遡る。それは、MITの人工知能研究者であったWeizenba