液晶パネルなどの基幹部品では韓国メーカーに圧倒されているものの,それに使う高機能フィルムなどの材料については日本メーカーは圧倒的な強さを誇っている。上流に遡るほど強さは増し,日本メーカーでほぼ独占状態といった材料も少なくない。需要が旺盛なのにもかかわらず,こうした寡占状態が続いている背景には,そう簡単に他社がまねできない参入障壁がある。 日本メーカーが強い理由を探る上で参考になるのが「アーキテクチャ論」である。材料の場合には,要求される機能と生産工程を結びつける「工程アーキテクチャ」が適用できる。その観点で見ると,機能材料は汎用材料と違って,各生産工程を調整しながら統合管理する「擦り合わせ型」であり,日本メーカーが培ってきた組織能力と相性が良いことが分かる。加えて重要なのは,開発時には擦り合わせで高付加価値を狙うものの,製品時には標準グレードを中心とする「中擦り合わせ・外組み合わせ」の戦略
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