2016年10月10日21:48 カテゴリ経済 ハートの契約理論の超簡単な解説 今年のスウェーデン銀行賞は、Oliver HartとBengt Holmstromが「契約理論に関する研究」で受賞した…と聞いても、ほとんどの人には何のことやらわからないと思うが、これは「ノーベル物理学賞をアインシュタインが受賞した」というのと同じぐらい当たり前のことである。彼らは資本主義とは何かという大きな問題に、有力な答を出したからだ。 私の『資本主義の正体』の第1章のBOXには「不完備契約と所有権」という解説を書いた。たった3ページで数式も使ってないので、誰でもわかると思う。この本はHartが高く評価するマルクスの理論を契約理論で書き直したものだ。マルクスの時代のイギリスでは、工場の中で一定のまとまった工程を請負人と呼ばれる熟練工が管理し、その配下の職工を使って生産を行う「内部請負制」が多かった。しかしこ
ゲーム理論にメカニズムデザインという分野がある。これ自体は非常に数学的に高度なので、一般の読者にはおすすめできないが、基本的な考え方は福祉経済学を拡張した規範的ゲーム理論だ。普通のゲーム理論は、あるゲームのルール(利得行列)のもとで人々が合理的に行動するとどうなるかという結果を予想するが、メカニズムデザインでは逆に、望ましい結果を実現するゲームのルールはどのようなものかを考える。 最近、2週間ほどツイッターを使ってみて、意外にノイズが少ないことに気づいた。直感的には、断片的な「つぶやき」を全世界に発信できるとノイズだらけになりそうなので、私もアカウントをとったまま休眠状態だった。しかし先週のネットラジオで聴取者の反応を募集するために使ったら、意外にちゃんとした意見が集まった。これについて先週のASCII.jpで書いたら、いろんな反応がきた。 Dankogaiは「たとえ@celeb 三国
来週の週刊ダイヤモンドの特集は、現在の不況についての経済学者の見方を多面的に紹介している。「リフレ派」や「市場原理主義批判」は姿を消し、ケインズ派と主流派の論争が軸になっている(私も読書案内を書いた)。これは国際的な標準に近い。 印象的なのは、もっともケインズ派に近い吉川洋氏でさえ「需給ギャップを埋める」という伝統的なケインズ政策を否定して「持続的な成長」を説いている点だ。土居丈朗氏も「乗数効果は1未満」だとし、野口悠紀雄氏も北村伸行氏も「産業構造の転換が必要だ」という。福田慎一氏は長期国債を買うなどの非伝統的な金融政策も必要だとするが、政府紙幣や無利子国債などの「奇策」については肯定的な意見はゼロ。 雇用問題についても、川口大司氏は「規制強化は逆効果」と厚労省の政策を批判し、年金問題について鈴木亘氏は「巨大な世代間不公平が本質的な問題」とする。「北欧モデル」が検討に値するという点で、
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[お断り]当blogに書かれた内容はすべて矢野個人の意見であり、矢野が所属するいかなる組織とも関係ありません。 先日のエントリーの資料編です。 [A whiff of inflationary grapeshot] 「資料編」としてクルーグマン先生がblogに書いた「インフレターゲットのススメ」とも呼ぶべき記事“A whiff of inflationary grapeshot”の訳と関連情報のリンクも作ってみました。 A whiff of inflationary grapeshot (ポール クルーグマン) グレッグ・マンキューが、今回の金融危機への対処として「これからの10年間、確実にインフレを維持するとFRBが確約する(矢野注:インフレターゲット政策のこと)」ことを提案している。素晴らしいアイディアなので、私も少し考えみればよかった。うーむ、でも、ちょっと待てよ・・・ 実際のところ
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