連休中のある日,本屋をブラブラしていると刺激的なタイトルの本に目がとまった。『新帝国主義論~この繁栄はいつまで続くか~』(武者陵司著,東洋経済新報社)である。なにげなく手にとって,パラパラとページをめくってみて「共同体内分業と共同体間分業」という小見出しが目に飛び込んできたので(同書p.163),さっそく購入した。このコラムでも何回かとりあげてきたグローバルな分業について,面白い知見が得られるのではないかと思ったからである。 本書自体は,不況に陥っている国がほとんどないという好調な世界経済の原因を「帝国主義」というキーワードを軸に解明しようとするものである。本書をひと通り読んでみて,経済学に明るくない筆者でも,なぜグローバル化が進み,なぜ中国やインドが急速な発展をとげることができたのか,理由の一端が分かったような気がした。本書は様々な示唆に富んでいるが,ここでは先ほど注目した,共同体内分業