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ブックマーク / www.aozora.gr.jp (12)

  • 中原中也 我が生活

    私はほんとに馬鹿だつたのかもしれない。私の女を私から奪略した男の所へ、女が行くといふ日、実は私もその日家を変へたのだが、自分の荷物だけ運送屋に渡してしまふと、女の荷物の片附けを手助けしてやり、おまけに車に載せがたいワレ物の女一人で持ちきれない分を、私の敵の男が借りて待つてゐる家(ウチ)まで届けてやつたりした。尤も、その男が私の親しい友であつたことゝ、私がその夕行かなければならなかつた停車場までの途中に、女の行く新しき男の家があつたことゝは、何かのために附けたして言つて置かう。 私は恰度、その女に退屈してゐた時ではあつたし、といふよりもその女は男に何の夢想も仕事もさせないたちの女なので、大変困惑してゐた時なので、私は女が去つて行くのを内心喜びともしたのだつたが、いよいよ去ると決つた日以来、もう猛烈に悲しくなつた。 もう十一月も終り頃だつたが、私が女の新しき家(うち)の玄関に例のワレ物の包みを

    sirocco
    sirocco 2018/11/25
    その後、小林秀雄と知り合い、泰子は小林秀雄のもとへ行く。中原中也は泰子の荷物を小林秀雄のもとへ運んでやったという。その心境が書いてある。うーん。
  • 坂口安吾 堕落論

    半年のうちに世相は変った。醜(しこ)の御楯(みたて)といでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋(やみや)となる。ももとせの命ねがはじいつの日か御楯とゆかん君とちぎりて。けなげな心情で男を送った女達も半年の月日のうちに夫君の位牌(いはい)にぬかずくことも事務的になるばかりであろうし、やがて新たな面影を胸に宿すのも遠い日のことではない。人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ。 昔、四十七士の助命を排して処刑を断行した理由の一つは、彼等が生きながらえて生き恥をさらし折角(せっかく)の名を汚す者が現れてはいけないという老婆心であったそうな。現代の法律にこんな人情は存在しない。けれども人の心情には多分にこの傾向が残っており、美しいものを美しいままで終らせたいということは一般的な心情の一つのようだ。

    sirocco
    sirocco 2018/11/08
    力のあるものが天皇を奉り利用する。自分はその地位につかない。それが私にピッタリ。参謀にはなりたいがトップは望まない。"私は天皇制に就ても、極めて日本的な(従って或いは独創的な)政治的作品を見るのである"
  • 石原莞爾 最終戦争論

    戦争は武力をも直接使用して国家の国策を遂行する行為であります。今アメリカは、ほとんど全艦隊をハワイに集中して日を脅迫しております。どうも日は米が足りない、物が足りないと言って弱っているらしい、もうひとおどし、おどせば日支問題も日側で折れるかも知れぬ、一つ脅迫してやれというのでハワイに大艦隊を集中しているのであります。つまりアメリカは、かれらの対日政策を遂行するために、海軍力を盛んに使っているのでありますが、間接の使用でありますから、まだ戦争ではありません。 戦争の特徴は、わかり切ったことでありますが、武力戦にあるのです。しかしその武力の価値が、それ以外の戦争の手段に対してどれだけの位置を占めるかということによって、戦争に二つの傾向が起きて来るのであります。武力の価値が他の手段にくらべて高いほど戦争は男性的で力強く、太く、短くなるのであります。言い換えれば陽性の戦争――これを私は決戦戦

    sirocco
    sirocco 2018/07/26
    石原莞爾は、最終的に日本とアメリカの戦争になると考えた。アメリカと戦うためには満州が必要であり、そのために満鉄爆破の自作自演、吉林で暴動を起こして出兵させ、兵が足りないと朝鮮の日本軍へ応援を要請した。
  • 新渡戸稲造 平民道

    sirocco
    sirocco 2015/09/13
    新渡戸稲造は「武士道」を書いているが「平民道」も書いている。
  • 喜田貞吉 融和問題に関する歴史的考察

    さて文に入るに先だって、私はここにいささか、歴史的考察の必要を述べておきたいと思います。 私は多年この歴史的知識の普及の必要を感じまして、機会あるごとにこれが宣伝を試みているのであります。しかるに近ごろは、しばしばこれに対して非難の声を聞くようになりました。その非難の主なるものは大体左のようなものであります。 これらはいずれも一面の理由があります。中にも現実の問題に直面して、その対策を講ずることは、今日の場合もっとも急を要することであり、またもちろんもっとも必要なことではありますが、しかしそれはいわゆる対症療法ともいうべきもので、熱の高い患者に氷をあてがい、心臓の弱った患者に強心剤を与えるようなものであります。それを怠ってならぬことはむろんでありますが、その一方に病気の原因を調査して、根的治療を施すことがどうして不必要でありましょう。今日の差別観念は、一つに因習から来ているもので、その

  • 作家別作品リスト:長谷川 伸

    公開中の作品 一刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名、作品ID:56081) 討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名、作品ID:55793) カン (新字新仮名、作品ID:56601) 奇術考案業 (新字新仮名、作品ID:55835) 沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名、作品ID:56083) 中山七里 二幕五場 (新字新仮名、作品ID:56085) 母 (新字新仮名、作品ID:56602) 瞼の母 (新字新仮名、作品ID:56089) 身の上や (新字新仮名、作品ID:55836) 幽霊を見る人を見る (新字新仮名、作品ID:55837) 作業中の作品 →作業中 作家別作品一覧:長谷川 伸 荒木又右衛門 (新字新仮名、作品ID:56138) 刺青奇偶 (新字新仮名、作品ID:56941) 勘太郎月の唄 二幕四場 (新字新仮名、作品ID:56082) 相馬大作と津軽頼母 (新字新仮名、作品ID:5

    sirocco
    sirocco 2014/04/09
    青空文庫「長谷川 伸」。
  • 伊藤左千夫 八幡の森

    sirocco
    sirocco 2013/11/09
    「野菊の墓」の伊藤左千夫が書いた市川市役所前の「八幡の森  http://goo.gl/maps/1jI60 」の文書発見。
  • 人形の家 (イプセン ヘンリック)

    人物トルルト・ヘルマーノラ(ヘルマーの)醫師 ランクリンデン夫人ニルス・クログスタットヘルマー家の三兒アンナ(三兒の保姆)エレン(女中)使の男  場所ノルウェーの首都クリスチアニアにあるヘルマーの…

    人形の家 (イプセン ヘンリック)
    sirocco
    sirocco 2013/10/27
    凄い。イプセンの「人形の家」が青空文庫にある。
  • 芥川龍之介 藪の中

    さようでございます。あの死骸(しがい)を見つけたのは、わたしに違いございません。わたしは今朝(けさ)いつもの通り、裏山の杉を伐(き)りに参りました。すると山陰(やまかげ)の藪(やぶ)の中に、あの死骸があったのでございます。あった処でございますか? それは山科(やましな)の駅路からは、四五町ほど隔たって居りましょう。竹の中に痩(や)せ杉の交(まじ)った、人気(ひとけ)のない所でございます。 死骸は縹(はなだ)の水干(すいかん)に、都風(みやこふう)のさび烏帽子をかぶったまま、仰向(あおむ)けに倒れて居りました。何しろ一刀(ひとかたな)とは申すものの、胸もとの突き傷でございますから、死骸のまわりの竹の落葉は、蘇芳(すほう)に滲(し)みたようでございます。いえ、血はもう流れては居りません。傷口も乾(かわ)いて居ったようでございます。おまけにそこには、馬蠅(うまばえ)が一匹、わたしの足音も聞えない

    sirocco
    sirocco 2013/09/22
    橋本忍さんは芥川龍之介の「藪の中」を元に「羅生門」の脚本を書く。原作は初めてみたがこれだけの短いものだったことに驚く。橋本忍さんは伊丹万作さんが亡くなる前に原作から脚本を書くときの極意を伝授されている
  • 作家別作品リスト:富田 倫生

    広島市生まれ。早稲田大学政治経済学政治学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、ライターに。ノンフィクションのさまざまな分野を取材対象としてきたが、次第にパーソナルコンピューターの比重が高まる。ボイジャーのエキスパンドブックを見て電子出版の可能性を気で信じ込むようになり、「パソコン創世記」と名付けたタイトルを、コンピューターで読むことを前提に制作。このブック上の記述を、インターネット上のさまざまなホームページにリンクさせていくという作業を体験してからは、電子への確信をさらに深めている。 紙で出してきた著書に、「パソコン創世記」(旺文社文庫版、TBSブリタニカ版)、「宇宙回廊 日の挑戦」(旺文社)、「電脳王 日電の行方」(ソフトバンク)、「青空のリスタート」(ソフトバンク)、「の未来」(アスキー)がある。

    sirocco
    sirocco 2013/08/17
    青空文庫で公開されている富田倫生さんの著作。富田倫生さんの簡単な紹介。
  • アクセスランキング

    sirocco
    sirocco 2012/09/24
    井上ひさし「この人から受け継ぐもの」ユートピアを求めて・宮沢賢治の歩んだ道。今(1989.5.3の講演会)非常に読まれているのは夏目漱石、宮沢賢治、太宰治だそうで、この3人は100年後も読まれるだろうと言っている。
  • 青空文庫 Aozora Bunko

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