衆院選の投票締め切りの約1時間前。大阪市内のホテルの一室で顔を突き合わせた日本維新の会幹部は、出口調査の数字を見て青ざめた。代表代行、橋下徹の地元・大阪府豊中市でも、橋下の高校の同級生でともにラグビーで汗を流した候補が、自民候補と激しく競り合っていた。 「今すぐ豊中の友達に電話せえ。数百差票で負けるか勝つかや!」。幹部の一人が橋下に向かって声を張り上げた。「友達は3人しかいないんですけど…」。橋下は苦笑いし、その場で電話をかけたという。 維新は大阪19選挙区のうち14区で候補を立て、うち12人が当選。残る2人も比例で復活した。だが、全選挙区候補151人のうち、大阪以外で当選したのは、旧太陽の党の平沼赳夫(岡山3区)と園田博之(熊本4区)の2人だけだった。 大阪でも、維新が効果を上げたとみているのは、橋下が嫌う古い手法の“どぶ板選挙”だった。 苦戦が伝えられた終盤、幹事長の松井一郎は、選挙活