シリコンバレーでは、今年は人間の脳を解明する年になるといわれている。研究者の関心が高まる中、女性の脳を分析した本が現れた。Louann Brizendineによる The Female Brain である。彼女はカリフォルニア大学バークレー校で神経生物学を専攻し、エール大学で医学博士号をとり、その後ハーバード大学付属の精神医学センターで精神医学の訓練を受けた専門家である。長年、女性専門の精神科医として活躍している。著書を掻い摘んでまとめると次のようになる。 人間は約3万個の遺伝子を持っているが、男女でほとんど違いはない。性を区別する1%の遺伝子が違うだけである。近年PETや機能MRIの発達で、脳の内部を生体観察できるようになった。その結果、脳の構造、化学物質、遺伝子、ホルモン、機能において男性の脳と女性の脳には際立った違いがあることがわかってきた。 受精時に、女性はXXの染色体を持つのに対
タミフルと異常行動の因果関係については、現時点でははっきりしたことは言えない。はっきりさせるには、年齢・性別・重症度等を一致させたインフルエンザ患者を2群に分け、一方にのみタミフルを使用し、異常行動の出現頻度に差があるかをみればよい。差はないかもしれないし、タミフルによって異常行動が増えるかもしれないし、もしかしたらウイルスの増殖を抑制することで異常行動を抑制するかもしれない。実際には厳密な研究は困難であるので、当面はタミフル非投与のインフルエンザ患者にどれくらい異常行動が起こるのかの報告待ちといったところである。因果関係が不明であっても、可能性がある以上、原則禁止にする判断もありだ。また、製薬会社や厚生労働省に頼らず、薬害を監視する団体があってもよいと思う。 しかしながら、「薬害タミフル脳症被害者の会」*1という名称はいただけない。現時点では、薬害と決まったわけではないし、タミフル脳症と
第102回 タミフルに隠された真実 第二の薬害エイズに発展か タミフル服用による異常行動死問題で、厚生労働省の対応が急展開した。 タミフルによる異常行動死の問題は、2年前の05年11月から学会では報告されていた。その頃から、一部の医療関係者からその因果関係を強く疑う意見が公にされていたのに、厚労省はその因果関係をずっと否定しつづけてきた。 一貫して因果関係を否定し続けた厚労省 06年10月には、この問題を無視しきれなくなった厚労省が、研究班を作って、その因果関係を調べたところ、特別の因果関係は発見できなかったと発表した。その骨子は次の通りである。 インフルエンザにかかって、その特効薬として知られるようになったタミフルを服用して、異常行動を起こした患者は確かにいる(その結果死んだ者、死ななかった者、両方含めて)。 しかし、もともとインフルエンザにかかった結果として、異常行動をきた
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 心不全というのは、最初は「ポンプが作動しなくなる」病気だと理解されていた。 いくつかの発見があって、「ポンプ不全モデル」で説明できない事実が出てきて、今度は 「血管抵抗モデル」という新しい概念が提出されて、心不全という病気は、 今では「内分泌の異常」と理解されるようになった。 ポンプ不全の時代 70年代ぐらいまで、心不全というのは「心臓というポンプが駄目になる病気」と理解されていた。 「心不全の患者さんに水が貯まって苦しくなるのは、心臓が弱ってしまったから」 このモデルに従うならば、用いるべき薬は利尿薬と強心薬。 この頃の代表的な治療手段は、強心薬であるジギタリス急速飽和療法。 「さじ加減」の言葉は、 ここから生まれた。 この頃すでに、ACE
レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 水痘肺炎の患者さんのこと 水痘肺炎の若い方を診療する機会があった。 水痘の発疹が全身に出ていて、40度以上の高熱があって、単純写真真っ白。 そのレントゲンを見た主治医の頭も、同じく真っ白。 成人の水痘は肺炎を合併する可能性があることは知っていても、 本当にそうなった人をみたのははじめて。 とにかく具合が悪くてすぐに入院、空気感染だから個室隔離、ナースのシフトを 水痘既感染者に限定してもらって、とりあえずゾビラックス点滴。 そこまでは手持ちの知識で時間稼ぎ。 状態は相当悪くて、このまんま何もしないで診るの無理。教科書調べても、水痘肺炎のことは ほとんど書いていなくて、ゾビラックスと水痘免疫グロブリンと、あとは致命率が高いことと。 経験の裏づけが
【インタビュー】 高まるニーズに応える クリティカルケア看護を 山勢博彰氏(山口大学大学院教授・臨床看護学) 重症患者の医療を担うクリティカルケア。医療技術の進歩により,かつては死を待つばかりだった病態でも命が救われるケースが増えてきたが,そこでのケアにおいては,高度先進治療や全身管理についての豊富な知識,経験が要求される。かつてはICUや救急センターのものと考えられてきたクリティカルケア看護だが,近年,日本クリティカルケア看護学会の設立(2004年)に象徴されるように,その知識,ノウハウが一般病棟を含め,さまざまな場所で求められる傾向が出てきた。病棟での急変時はもちろん,終末期や在宅医療の現場など,クリティカルケア看護の知識・技術が活かされる場面は少なくない。弊社刊行『クリティカルケア看護のQ&A』著者であり,2007年6月に北九州国際会議場において開催される第3回日本クリティカルケア看
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<注意書きの追記> 【コメント欄より】 id:photoyours 2012/01/06 18:56 私はアトピーでもアレルギーでもなく、今まで化粧品にアレルギー反応が出たことがありませんでした が、ここに書かれているヴァセリンをほっぺた塗った途端、 目の下とまぶたにプツプツが出来始め、 どんどん痒く赤くなりました。 即座に使用をやめましたが、一ヶ月経っても赤み痒みがぶり返し、完全に治る気配がありません。 私のように、化粧品にアレルギーを持っていない人でも 突然アレルギーのような反応が出ることがあるのです。 もちろんヴァセリンが効く人も沢山いるとは思いますが 乾燥肌にはヴァセリン!が誰にでも 合うとは限りませんので 皆さんお気をつけ下さいね。 結論はタイトルのとおりである。 それ以上でもそれ以下でもない。 何度となく皮膚科に通い、そのたびに、直らない量の薬を処方され、そして学習した成果であ
1997年10月に脳死での臓器提供を認める「臓器の移植に関する法律」が施行され、約8年になります。 患者団体や行政、医療関係者のご努力で、臓器提供から移植に至るまでの仕組みが構築され、移植成績も移植先進国に勝るとも劣らぬものであり、着実に前進しています。また、移植を受けられた患者さんの社会復帰の状況や、生活の質についても明らかになりつつあります。 しかしながら、脳死臓器移植の数は、関係者のご努力にも関わらず依然として年間3〜8件にすぎず、一般医療となるには程遠いものがあります。さらには、15歳未満の方からの脳死臓器提供が受けられないという問題もあり、多くの困難をかかえて外国に移植を受けに行く患者さんが絶えません。 今年は国会で法律の見直しが行われようとしています。一日も早く、社会の理解のもとで、患者さんの願いがかなうような形での法改正が行われることを期待しています。 このファクトブ
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