2013年8月、英国ロンドンで世界初の「人工肉バーガー」の試食会が開かれたのを知っているだろうか。素材は牛の幹細胞をシャーレで培養して人工的に製造されたものだ。試食会の参加者は「肉のジューシーさは無いが、食感は完璧だ」、「脂肪分がなく赤身の肉という感じだが、普通のハンバーガーを食べているようだ」と語った。 この人工肉(培養肉)バーガーを作ったのは、オランダ・マーストリヒト大学教授のマーク・ポスト医学博士。ポスト氏は世界的な食肉生産の需要に応えるための技術として、「カルチャード・ビーフ(牛肉の培養)」を提案している。 カルチャード・ビーフは理論上、数個の幹細胞から1万~5万トンの肉が得られるという。適切な栄養を与えることで、細胞が健康的な脂肪酸を作り出す能力を利用すれば、培養肉は家畜から得た肉よりヘルシーなものとなる。幹細胞から培養した牛肉はエネルギー効率が高く、環境、大地、水への負荷が少な