第1次世界大戦中、フランスのエクス=レ=バンに設営された米軍キャンプ病院のインフルエンザ病棟のベッドに横たわる患者たち。(PHOTOGRAPH BY CORBIS) 1918年に始まった「スペインかぜ」と呼ばれるインフルエンザのパンデミック(世界的な大流行)は、世界中で5000万人の命を奪い、史上最悪の疫病の1つとされている。 この流行の発生地については、科学者の間で何十年も論争が続いていて、フランス、中国、米国中西部など、さまざまな場所が提唱されている。起源を特定できないため、科学者はいまだに、ウイルスを生み出した条件や、将来同じようなパンデミックを起こしうる要因といった、この病気の実像をつかめずにいる。 スペインかぜは、パンデミック発生と同じ1918年に終結した第1次世界大戦よりも多くの命を奪った。近年の研究により、その第1次世界大戦中の忘れられたエピソードが、スペインかぜの拡大の発端