ビタミンCのサプリメントを毎日取ることは、定期的な運動と同じくらい心血管に効果があると報告されている。 太り過ぎや肥満の大人で検証 米国コロラド大学のケイトリン・ドウ氏が、生理学系の学会である第14回国際エンドセリン学会において2015年９月に報告。米国生理学会が紹介している。 　研究グループは、太り過ぎや肥満の大人の血管では、小血管を収縮させるタンパク質である「エンドセリン１」と呼ばれるホルモンの一種の働きが高まっていると説明する。 　エンドセリン１の働きが高いため、血管はより収縮しやすくなる。血流がうまく確保できなくなるので、心臓病のリスクを高める状況になる。運動はエンドセリン１の活性を抑えるので、運動には意味がある。 　研究グループは、運動を続けるのが難しいときに、血管機能を高める役割としてビタミンCの効果に注目。エンドセリン１の働きを下げるか調べている。 血管の収縮を減らす ビタミ

社会的な地位とネットポルノの利用に関連性があるという。 現実社会での不利、仮想世界で解消か 米国パデュー大学の研究者が、性分野の国際誌であるアーカイブズ・オブ・セクシュアル・ビヘイビアー誌オンライン版で2015年９月14日に報告したもの。 　研究グループは社会的な地域に注目して、インターネットポルノの利用の状況を検証している。 　インターネット普及が一層進むなか、オンライン空間での行動が現実世界での格差を反映し始めているのではないか。そう仮定をしている。 　社会的地位の低さが性交渉の機会の少なさと関連し、はけ口としてのインターネットポルノ利用が高まっているのかというもの。 配偶者の有無も影響 社会的な地位は、インターネットポルノの利用に関係していると見られた。 　低所得、長時間労働、失業者、肉体労働者であることは、性交渉の機会の少なさは関連。低所得、低学歴、長時間労働では過去30日間のイン

治療を受ける人が助成した臨床試験は「益」よりも「害」が多いと警鐘が鳴らされている。 みんなで資金を出し合う 米国、カーネギーメロン大学のダニエレ・ウェナー氏らの研究グループが、生物学の国際誌であるセル・ステム・セル誌において2015年８月に報告している。同大学が紹介している。 　治療を受ける本人が助成した臨床試験は、米国国立衛生研究所（NIH）やその他機関による資金提供が限られる中で注目されているようだ。 　治療の恩恵を受けられる人でお金を出し合う仕組み。いわゆるクラウドファンディングの一つとなる。 科学的根拠のない治療、拙速に？ クラウドファンディングの問題は、科学に基づいている妥当な研究であるか確かめるメカニズムが欠けているところという。 　資金が多方向に分散してしまい、医学の進歩を遅らせる可能性もあるという。 　利益を求めているだけで、科学的根拠もない治療が行われる恐れがあると見る。

このたび、人間の胸の組織を分析したところ、「ウシ白血病ウイルス感染」と乳がんに関連性があると分かった。 ほぼ全ての牛乳に存在 米国カリフォルニア大学バークレー校／デイビス校の研究グループが、オンライン科学誌プロスワン（PLoS One）で2015年９月２日に報告。同大学も紹介している。 　研究グループによると、ウシ白血病ウイルスは、乳牛／肉牛の血液細胞や乳腺に感染して白血病やリンパ腫を引き起こす「レトロウイルス」と呼ばれるタイプのウイルス。世界中の畜牛で見られるという。感染した血液や牛乳を介して、感染するものではあるものの、牛で実際に病気になるのは感染した畜牛の５％未満と低い。 　牛乳は農場全体で集められるため、2007年の米国農務省の調査によると、乳牛500頭以上の農場では100％、100頭未満の農場でも83％が、ウシ白血病ウイルスに感染している「陽性」と確認できるという。 　研究グルー

ビタミンBを取ると夢をみる状態を高め、夢のコントロールに役立つという見方があるようだ。 　そんな研究が始まったという。 ビタミンB6で鮮明に？ オーストラリアのアデレード大学の研究グループが報告したもの。 　研究グループによると、人は人生の５年間を夢の中で過ごすといわれている。夢がよりはっきりしたものになり、夢のコントロールができれば、夢の時間をより生産的に使うことができる可能性がある。 　夢に関するこれまでの実験で、ビタミンB6を取ると、夢がより鮮明、カラフル、より風変りになる。その他のビタミンBを取ると、夢を思い出しやすくなり、明晰夢（夢のうちでも、自分で夢であると自覚しながら見ている夢）を見ることが増えることが分かっている。 　これまではビタミンB6と夢の関係を調べた研究は行われたが、今回の研究では初めて、ビタミンB6とその他のビタミンBを比較したものが大規模に行われる。 ビタミンB

自殺予防のためにあらかじめ自殺を察知する方程式が効果を発揮するようだ。 　医者の診察で特定できないリスクの高い人を特定する効果もあるようだ。 自殺リスクをあらかじめ知る 米国退役軍人健康庁の研究グループが、米国公衆衛生協会の機関誌アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス誌2015年９月号に報告した。 　研究グループは、退役軍人省病院の電子カルテのデータに基づいて、自殺リスクを予測するアルゴリズムを開発している。カルテは2008年10月１日～2011年９月30日のデータを使っている。 　病院を利用する人のうち自殺した人全員に加えて、2010年９月30日の時点で生存している病院の利用者100万人の中から１％の人を無作為に抽出。 　自殺予測の方程式を作り出して、さらに検証も進めた。 診察では分からず 方程式に基づいて「自殺リスクあり」と分かった人のうち、元から自殺しそうだと分かっている人は

貧乏ゆすりが多い女性は死亡リスクが低くなるという報告が出ている。 　英国のロンドン大学を含む研究グループが、アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシン誌2015年９月23日号で報告した。 貧乏ゆすりと死亡率に関連？ 貧乏ゆすりと死亡率をつなぐのは、座っている時間。 　これまでの研究で、座る時間が長いと、死亡リスクを上昇させることが知られるようになっている。この２つは運動の程度とも関係なく独立して関連があると分かってきている。 　研究グループは、英国の37歳から78歳までの女性約１万3000人を対象に、平均的な１日の座位時間、貧乏ゆすり、身体的活動、食事、喫煙の状態、アルコールの飲用について調査。さらに平均12年間の死亡率について追跡調査をしている。 37％低下の効果を確認 貧乏ゆすりと死亡率とがつながってくるという結果だ。 　貧乏ゆすりの少ない女性だけで座る時間と死亡率上昇と

抗菌薬が効かない耐性菌の増加が世界で問題になっている。 　このたびの調査で、低中所得国では、正規ルートで薬を得るときに払う価格が上がるほど、耐性菌の増加につながっていると判明した。 　どうやら、裏ルートで利益目的で抗菌薬を処方しまくる闇医者が一枚かんでいるようだ。 耐性菌によるダメージ大 米国スタンフォード大学を中心とした研究グループが、感染症分野の有力医学誌ランセット・インフェクシャス・ディジーズ誌で2015年７月８日に報告した。 　抗菌薬が効かない「耐性菌」によるさまざまな感染症の拡大は、世界的に公衆衛生上の大きな問題となっている。 　特に、衛生状態が良くない低中所得国では、耐性菌が出現した場合に感染が広がりやすい。また、耐性菌を殺せる新しい薬は高くて手が届かないなど、耐性菌によるダメージを受けやすい。 なぜ耐性菌が出現するのか？ 研究グループは、低中所得国で耐性菌が出現する理由につい

昨年、C型肝炎の特効薬「ハーボニー（Harvoni）」が米国で承認された。日本でも今年承認された薬だ。 　１日１錠で９割以上の人が完治するという優れた薬だ。ところがこの薬、米国では１錠10万円以上、日本では８万円となる。 　このたび米国で治療の現状調査が行われ、価格が原因で、思ったように治療が行えないという現状が明らかになった。 インターフェロン治療はつらかった 米国エール大学医学部を中心とした研究グループが、オンライン科学誌プロスワン（PLoS ONE）誌で2015年８月27日に報告した。 　「C型肝炎」はC型肝炎ウイルス（HCV）の感染で起こる肝臓の病気。放っておくと慢性肝炎、肝硬変、肝がんと進行する場合がある。肝がんの原因の約８割は、C型肝炎となっている。 　HCVは、血液を介して感染するが、ほぼ半数の感染者の感染源は不明となっている。 　つい最近まで、C型肝炎の治療は主に、「インタ

小学校を週４日制にした場合の成績への影響を調査した結果、算数はかえって成績が上がり、読解力については変化はなかった。 　米国ジョージア州立大学の研究グループが、学校教育政策の専門誌エデュケーション･ファイナンス・アンド･ポリシー誌の2015年夏号で報告した。 経費削減のための週４日制 研究グループによると、米国では週４日制がじわりと広がっているようだ。 　経費削減を目的として、コロラド州、ニューメキシコ州、ワイオミング州などの農村部の学区の多くで行われているほか、オレゴン州、ミズーリ州、フロリダ州、ジョージア州などでも検討されているという。 　週４日制にするには、教育時間要件を満たすために、１日の授業時間を延長する必要がある。生徒の成績に影響を与えるか情報がこれまでなかったことから、比較調査している。 「驚く結果」 研究グループは、コロラド州で小学４年生のリーディングと５年生の算数の成績に