怪獣保護協会 作者:ジョン スコルジー早川書房Amazonこの『怪獣保護協会』は、『老人と宇宙』など数多のSF作品・シリーズで知られるジョン・スコルジーの最新邦訳長篇である。スコルジーはもともとSF愛好家であり、作品にもSF小説・映画・アニメネタが(時として)あふれかえることでも知られる作家だが、本作がテーマにしているのは書名にも入っているように「怪獣」だ。 怪獣がもし、並行宇宙の地球に存在したら、それを保護し、研究する人々もいるだろう──という発想で、本作でスコルジーは怪獣が実在する世界をいきいきと楽しそうに描き出していく。しかしなぜ彼は怪獣の小説を書くことになったのか? スコルジーは売れっ子の作家なので何作もの出版契約を結んでいるのだが、常に物事がうまく進むとは限らない。2020年のはじめに執筆予定だった長篇は新型コロナウイルスの到来により書ける状態ではなくなってしまい、一年近く苦しん