スズメバチの攻撃を防ぐため、ミツバチは工夫をこらした多様な戦術を編み出してきた。(PHOTOGRAPH BY SATOSHI KURIBAYASHI, MINDEN) 東アジアのミツバチは、天敵であるスズメバチの際限のない攻撃を迎え撃たなければならない。スズメバチは集団でミツバチの巣に襲いかかり、まず、遭遇したすべてのミツバチの頭部をかみ切る。それから巣を占領して、ミツバチの幼虫を時間をかけて食べつくすのだ。 スズメバチから身を守るため、トウヨウミツバチ(Apis cerana)は、進化の過程で工夫をこらした多様な戦術を編み出してきた。侵入者を取り囲んで熱で蒸し殺す「熱殺蜂球」も、そのひとつだ。 だが、ベトナムで行われた新たな調査では、さらに風変わりな戦術が発見された。巣の入り口に動物の糞を塗るという方法だ。 黒い物体の正体 この「糞の塗りつけ」は、スズメバチを撃退するだけではない。これは