グループインタビューの音声だけが流された首相官邸の記者会見室=2020年10月5日、畠山理仁さん撮影・提供 日本学術会議の新会員候補6人の任命拒否について菅義偉首相が1カ月あまり前、初めて「総合的・俯瞰的」という言葉を持ち出したのはどのような場だったか、読者は覚えておいでだろうか。それは記者会見ではなく「グループインタビュー」だった。限られた報道機関の記者が首相に質問し、やりとりの音声だけを他の記者が別室で聞く形式で、ネット上では「なぜ記者会見をしないのか」「異常だ」などの批判が広がった。なぜそのような情報発信が行われたのかを検証した。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】 誰もいない会見室の「異様な光景」 グループインタビューがあったのは10月5日と9日だった。5日は北海道新聞、読売新聞、日経新聞、9日は毎日新聞、朝日新聞、時事通信の記者が約30分間、首相にインタビューした。首相官邸の