ブックマーク / realsound.jp (44)

  • 筒井康隆、大江健三郎、村上春樹、阿部和重、小川哲……『百年の孤独』が日本文学に与えた絶大なる影響

    ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(新潮社)の文庫化が、出版界で一つの事件のように騒がれている。これらの名称をブランド、焼酎を意味するものとして記憶する人もいるだろうが、いずれもこの作家と小説に由来するものだ。コロンビアの作家ガルシア=マルケスが1967年に発表した長編小説『百年の孤独』は、1972年に新潮社より鼓直訳で日語版が刊行され、1999年に同じく鼓によって改訳された。2006年には「ガルシア=マルケス全小説」の1冊に組みこまれ、文庫化はその全集版を底としている。同作について「文庫化されたら世界が滅びる」と都市伝説的な冗談がいわれてきたのは、それだけ長く文庫化が望まれてきたということでもある。 『百年の孤独』は、1960年代以降に各国で起きたラテンアメリカ文学ブームの代表的な作品だ。1982年にガルシア=マルケスがノーベル文学賞を受賞し、集英社が1983-1984年に

    筒井康隆、大江健三郎、村上春樹、阿部和重、小川哲……『百年の孤独』が日本文学に与えた絶大なる影響
  • 菊地成孔×荘子it『構造と力』対談 「浅田彰さんはスター性と遅効性を併せ持っていた」

    浅田彰『構造と力 記号論を超えて』(中公文庫) 1980年代のニュー・アカデミズムを代表する一冊『構造と力 記号論を超えて』が中公文庫で文庫化され、大きな反響を呼んでいる。批評家の浅田彰がドゥルーズなどのポストモダン・現代思想を明晰に体系化した同書は、1983年の初版刊行当時、社会現象になるほどの大ベストセラーとなった。 40年ものあいだ読み継がれてきた名著の文庫化にあたって、リアルサウンドブックでは、音楽家・文筆家の菊地成孔氏とDos Monosのラッパー・トラックメイカーの荘子it氏が書について語り合う対談を行った。菊地氏は2003年、自身が主催するバンド・DC/PRGで『構造と力』と題するアルバムを発表するなど、浅田氏から影響を受けている。荘子it氏は、学生時代に菊地氏の著作などから遡る形で書『構造と力』を知って、読み耽ったのだという。第一線の音楽家の二人は、書をどのように読ん

    菊地成孔×荘子it『構造と力』対談 「浅田彰さんはスター性と遅効性を併せ持っていた」
  • 高橋源一郎が示す、「間違った歴史」との接し方 6年ぶりの大長編擬似歴史小説『DJヒロヒト』を読む

    〈そして私が話す番になった。〉(高橋源一郎『虹の彼方に』1984年) いまから123年前の1901年4月29日、日に「裕仁」、いわゆる昭和天皇が誕生する。そのほんの数ヶ月前の1900年12月23日、カナダの技術者レジナルド・フェッセンデンの手により、世界初の音声の無線放送が成功し、いわゆる「ラジオ」の原型が誕生する。ほとんど同じ時代に、遠く隔たった場所で生まれたそれらは、半世紀近い年月が流れた1945年8月15日、ようやく公式に初めて「対面」を果たすことになる。その前日深夜に宮中で録音された裕仁の肉声がラジオを通じて放送され、ポツダム宣言の受諾、つまりは終戦が国民に広く知らされた、いわゆる「玉音放送」がそれである。 そうした現実とはまったくちがう、だけどあり得たかもしれない(?)「対面」を描こうとする前代未聞の試みこそが、高橋源一郎により6年ぶりに上梓された全648ページもの大長編擬似歴

    高橋源一郎が示す、「間違った歴史」との接し方 6年ぶりの大長編擬似歴史小説『DJヒロヒト』を読む
  • 円堂都司昭 × 藤田直哉『ポスト・ディストピア論』対談「多様化が進んで軋轢も多くなるという図式になっている」

    文芸/音楽評論家の円堂都司昭氏が最新批評集『ポスト・ディストピア論 逃げ場なき現実を超える想像力』(青土社)を刊行した。パンデミック、異常気象、監視社会などが身近な現実となりつつある現代にあって、小説、舞台、音楽、映像などを幅広く読み解く、「その先」のディストピア論となっている。 書刊行を記念して、円堂氏とSF/文芸評論家・藤田直哉氏の対談が実現した。藤田氏は『シン・エヴァンゲリオン論』、『新海誠論 』、『東日大震災後文学論』といった一連の著作で、同じくディストピアとフィクションについて論じてきた。お互いの著作内容を起点に、現代世界とディストピア、新海誠論、生殖とジェンダーなど、幅広いテーマを縦横無尽に語り合った。(編集部) 円堂都司昭『ポスト・ディストピア論 逃げ場なき現実を超える想像力』(青土社) ーー円堂さんの10冊目の単著『ポスト・ディストピア論』が刊行されました。まずは藤田さ

    円堂都司昭 × 藤田直哉『ポスト・ディストピア論』対談「多様化が進んで軋轢も多くなるという図式になっている」
  • 追悼 チバユウスケ TMGE、The Birthday……鮮烈なロックを追求し続けた極上のフロントマン

    カッコいいヤツだったな。 モデルのようないわゆるイケメンでもないし、俳優のようにスマートでもない。ちょっと背の痩せっぽちで、何だか迂闊なところもある。けれど、あの嗄れた声で歌い出すと途轍もない存在感を発して聴く者を圧倒する。ロードムービーのようにイメージを飛ばしていく歌詞と切れ味抜群のロックンロールは、空気をビリビリと震わせた。それを極上のバンドのフロントで歌うのだ。カッコいいと言うしかない。チバユウスケは、アーティストというより常にバンドマンだった。 揃いのブラックスーツで、パンクでホットなガレージロックを鳴らしたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(以下、TMGE)、元BLANKEY JET CITYの照井利幸(Ba)とASSFORTのMASATO(Dr)と組んだROSSO、そして骨太かつメロディアスなロックを貫くThe Birthday。どれも最高のライブバンドだ。

    追悼 チバユウスケ TMGE、The Birthday……鮮烈なロックを追求し続けた極上のフロントマン
  • 京極夏彦、17年ぶり百鬼夜行シリーズ『鵼の碑』は破格の作品だーーじわじわと不安を持続させる832頁

    京極夏彦の百鬼夜行シリーズの『鵼の碑』(ぬえのいしぶみ)が、ついに発表された。なんと17年ぶりの新作である。この期間に『百鬼夜行 陽』(2012年)、『今昔百鬼拾遺 鬼』(2019年)など、同シリーズの短編集や外伝的長編は、複数刊行されていた。しかし、古屋を営むとともに陰陽師の拝み屋でもある中禅寺秋彦が活躍するシリーズの筋である長編の新作は、『邪魅の雫』(2006年)以来となる。同作刊行時、次作のタイトルは『鵼の碑』とすでに告知されていたのだから、ずいぶん長く待たされたものだ。 1954年(昭和29年)の物語である。榎木津礼二郎が開いた薔薇十字探偵社で仕事する益田龍一は、勤め先の薬局の主人・寒川が失踪したので捜してほしいと御厨冨美から依頼される。寒川は、20年前に日光で事故死した父について調べていたらしい。日光から一度戻った際に彼は、「碑が燃えていた」と謎めいたことをいったという。 一

    京極夏彦、17年ぶり百鬼夜行シリーズ『鵼の碑』は破格の作品だーーじわじわと不安を持続させる832頁
  • 後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」

    暗黒批評家・後藤護が著した書籍『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社)は、耳慣れない「アフロ・マニエリスム」なる概念を軸に、これまでにない切り口で黒人音楽史を捉え直した一冊だ。アフロ・マニエリスムとは、ドイツのジャーナリストで文筆家のグスタフ・ルネ・ホッケが1950年代に再評価した後期イタリア・ルネサンスの美術様式「マニエリスム」の理論を換骨奪胎し、ブラック・カルチャーに応用したもの。後藤護は、このアフロ・マニエリスムによって、奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代までを総括しようと試みた。 ジャズ・ミュージシャンにして文筆家の菊地成孔は、書『黒人音楽史』をどのように読んだのか。リアルサウンド ブックでは、ふたりの初対談をお届けする。(編集部) 後藤護 菊地:いわゆる黒人音楽史についてのは20世紀にたくさん出ています。特にジャズ批評の多くは、歴史主義で書かれてい

    後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」
  • THA BLUE HERBとは異なる、tha BOSSにとってのHIPHOPーー自らの人生とリンクした音楽を作り続けること

    THA BLUE HERBとは異なる、tha BOSSにとってのHIPHOPーー自らの人生とリンクした音楽を作り続けること ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)のソロプロジェクト、tha BOSSが、4月12日にニューアルバム『IN THE NAME OF HIPHOP II』をリリースした。今作は、初のソロアルバムとなった前作より約7年半ぶりの作品となる。今回のインタビューの中で「キャリア26年の中でも常に変化を繰り返してるし、基的には昔の自分を超えていく、常にアップデートして自分のフレッシュさを保っていく、そのテーマをずっと追ってるから」と語っているtha BOSS。自らの人生、関係性の中から生まれ、更新され続けるtha BOSSのHIPHOPについてじっくりと聞いた。(編集部) ずっと今の自分を表し続けてる 一一ここ数年はずっと制作が続いています。コロナ禍でのミニ

    THA BLUE HERBとは異なる、tha BOSSにとってのHIPHOPーー自らの人生とリンクした音楽を作り続けること
  • 坂本龍一はラップとどのように向き合ってきたか 荏開津広氏に聞く“音楽”とは異なる捉え方

    龍一が、3月28日に逝去した。イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)としての活躍はもちろん、ソロでも数々の名作を生み出してきた彼について、各メディアで様々な功績が語られている。映画『戦場のメリークリスマス』メインテーマ「Merry Christmas, Mr. Lawrence」に代表される名劇伴から、忌野清志郎との「い・け・な・いルージュマジック」といったポップスのプロデュースまで幅広い音楽を手がけてきた坂。長きにわたる活動において、様々な気鋭アーティストとのコラボや新たな音楽ジャンルを取り入れてきた。その中で韓国のMC Sniperを迎えた「undercooled」などラッパー/ヒップホップアーティストとコラボした楽曲はメッセージ性が強いものが多いように思う。坂はこれまで、ラップ/ヒップホップにどのように取り組んできたのか。ライター/DJの荏開津広氏に話を聞いた。 坂は自

    坂本龍一はラップとどのように向き合ってきたか 荏開津広氏に聞く“音楽”とは異なる捉え方
  • 佐野元春に聞く、最高を塗り替えていく音楽家であり続けるための秘訣 欠かせないバンドの存在も

    佐野元春が7月にリリースした最新作『今、何処』が、各所で反響を呼んでいる。4月にリリースされた『ENTERTAINMENT!』と合わせて完成までに約3年を要したという作には、パンデミック前に書かれた曲が収められているのだが、数年前には想像もできなかった混沌とした現在の世相にフィットした楽曲たちが並んでいるのには驚く。個を尊重するということ、どう“今”と向き合い“明日”を迎えるのかといった、世代問わず今を生きる人々の心に軽やかに、しかし深く語りかける言葉の数々が印象的だ。また、ライブを重ねる中で磨かれてきた小松シゲル(Dr)、高桑圭(Ba)、深沼元昭(Gt)、藤田顕(Gt)、渡辺シュンスケ(Key)らTHE COYOTE BANDと鳴らすサウンドも円熟の極みに達していて、バンドとしての充実ぶりも伝わってくる。 今回リアルサウンドでは、聞き手に音楽ジャーナリストの宇野維正氏を迎え、佐野元春に

    佐野元春に聞く、最高を塗り替えていく音楽家であり続けるための秘訣 欠かせないバンドの存在も
  • 千葉雅也×荘子itが語る、芸術的な人生の作り方 「異端的でありながら明るく生きる」

    千葉雅也『現代思想入門』(講談社現代新書) 哲学者の千葉雅也が、デリダ、ドゥルーズ、フーコーといった現代思想の代表的な哲学者の思考術をわかりやすく解説した新書『現代思想入門』(講談社現代新書)がヒット中だ。「人生が変わる哲学。」をキャッチコピーとした同書は、現代思想を扱いながらも実生活に即した考え方のヒントを与えてくれるものとなっている。また、作家としても活動する千葉の、創作に対する姿勢が垣間見れるのも読みどころの一つだろう。 リアルサウンド ブックでは、かねてより千葉の著作の読者であり、Hip HopクルーDos Monosのトラックメイカー/ラッパーとして活動する荘子itを迎えて対談を行った。現代思想とヒップホップが交差する、知的かつユニークな対談となった。(編集部) 「Shit」的な状態をそのまま肯定的なものに 千葉:荘子itさんは2019年、僕が「新潮」に小説『デッドライン』を発表

    千葉雅也×荘子itが語る、芸術的な人生の作り方 「異端的でありながら明るく生きる」
  • 高橋幸宏が後世に与えた多大な影響 高野寛が証言する、70年代から現代に至るイノベーターとしての真価

    のロック黎明期である1970年代から現在に至るまで、およそ50年の長きに渡って第一線で活躍し続けてきた音楽界のリビング・レジェンド、高橋幸宏。サディスティック・ミカ・バンドやYellow Magic Orchestraをはじめ、THE BEATNIKS、SKETCH SHOW、pupa、METAFIVEなど様々なバンドやユニットで彼が作り上げてきたレガシーについては改めて言うまでもないだろう。 そんな彼の1980年代前半のソロワークに光を当てるリイシューシリーズ「ユキヒロ×幸宏 EARLY 80s」の一環として、4作目『WHAT, ME WORRY?』(1982年)と5作目『薔薇色の明日』(1983年)が再発されることになった。いずれもファンの間では元より人気の高い作品だが、近年のシティポップリバイバルの流れの中で再評価の気運が高まっている名作である。 リマスターを手掛けたのは、昨年リ

    高橋幸宏が後世に与えた多大な影響 高野寛が証言する、70年代から現代に至るイノベーターとしての真価
  • 窮地に立たされたゴールデングローブ賞 数々の暴露やボイコット、批判などを時系列で解説

    今年2月にロサンゼルス・タイムズがスクープしたハリウッド外国人記者協会(HFPA)の内情記事が波紋を呼び、5月10日にはHFPAが主催するゴールデングローブ賞をテレビ中継しているNBCが「2022年度の授賞式の放送中止」を言い渡し、窮地に立たされている。その間に起きた数々の暴露、ボイコット、批判などをまとめてみる。 そもそものきっかけは、ロサンゼルス・タイムズのスクープより半年前、2020年8月にノルウェー人ジャーナリスト、クリスティ・フラー氏がロサンゼルス連邦裁判所に提出した独占禁止法違反訴状に遡る(参考:ゴールデングローブ賞を決める87名の外国人記者協会 老舗組織に突きつけられた独占禁止法違反訴状)。 非営利団体であるHFPAの活動趣旨は、「南カリフォルニアを拠点に活動する国際的な約90名のジャーナリストが会員となり、世界中の様々な出版物を通じて、映画テレビに関する情報を世界に発信。

    窮地に立たされたゴールデングローブ賞 数々の暴露やボイコット、批判などを時系列で解説
  • 映画評論家・小野寺系がまさかの漫画家デビュー 『小野寺系の“逆襲”』01:異世界で俺は

    リアルサウンド映画部でおなじみの映画評論家・小野寺系が、まさかの漫画家デビュー! 『小野寺系の“逆襲”』と題して、書き下ろし新連載を開始する。記念すべき第1話では今、ライトノベルやアニメで大人気のシチュエーションである“異世界転生モノ”にチャレンジ。クラスメートの女子とファンタジーな冒険世界へと旅立った主人公の運命やいかに!?(編集部) 異世界で俺は(続きを読むには画像をクリック) 漫画の続きはこちらから ■小野寺系(k.onodera) 映画評論家。映画仙人を目指し、作品に合わせ様々な角度から深く映画を語る。やくざ映画上映館にひとり置き去りにされた幼少時代を持つ。作『小野寺系の“逆襲”』で漫画家デビュー。Twitter映画批評サイト

    映画評論家・小野寺系がまさかの漫画家デビュー 『小野寺系の“逆襲”』01:異世界で俺は
    songsfordrella
    songsfordrella 2022/01/05
    8コマで済みそうなマンガだった。つうか揶揄や皮肉だけで8ページの間、読者の興味を持続させるのは無理だよ。
  • 宇野維正×つやちゃん特別対談 ザ・キッド・ラロイから(sic)boyまで繋ぐ“ラップミュージックによるロックの再定義”

    2021年7月にリリースされたThe Kid LAROIとJustin Bieberによる「Stay」。日頃TikTokをはじめとする動画投稿アプリをチェックしている人であれば、間違いなく耳にしたことがあるはずだ。そんな彼の存在は、単なるポップスター以上にロックスターとしての熱を帯びているように感じられる。 そしてThe Kid LAROIの作品でもフィーチャリングされているMachine Gun Kellyもまた、ラッパーとしてデビューしながら、昨年発表した最新アルバムではポップパンクを主とするスタイルを披露。アルバムは全米1位を獲得し、彼もまた新たな時代におけるロックスター像を打ち出してみせた。 そんなThe Kid LAROIとMachine Gun Kellyの活躍に注目した上で、リアルサウンドでは「ラップミュージックによるロックの再定義」と題した対談をセッティング。これまであまり

    宇野維正×つやちゃん特別対談 ザ・キッド・ラロイから(sic)boyまで繋ぐ“ラップミュージックによるロックの再定義”
  • 「名前」で客が呼べない外国映画 『DUNE/デューン』の不発が突きつけるもの

    先週末の動員ランキングは、『燃えよ剣』が土日2日間で動員15万4000人、興収2億1400万円をあげて初登場1位となった。初日から3日間の累計は3日間で動員20万9502人&興収2億8734万5250円。東宝とアスミック・エースの共同配給、司馬遼太郎原作、監督・脚は原田眞人、岡田准一主演という座組での作品は2017年8月公開の『関ヶ原』以来。『関ヶ原』の公開時期は夏休み中、さらにその当時の国内メジャー作品は金曜日公開ではなく土曜日公開だったので単純な比較はできないが、初週土日2日間の成績では、今回の『燃えよ剣』は『関ヶ原』(最終興収24億円)の約54%という数字。当初の公開予定日だった2020年5月22日から、約1年半という大幅な延期を経ての公開となったことも、少なからず影響しているだろう。 外国映画ファンにとって肩透かしの成績となってしまったのは、土日2日間の動員が9万1000人、興収

    「名前」で客が呼べない外国映画 『DUNE/デューン』の不発が突きつけるもの
    songsfordrella
    songsfordrella 2021/10/22
    『DUNE/デューン』観たいな。日曜日にでも地元のIMAXの劇場に観に行こうかな。……問題は今抱えてる仕事が片付くかどうかだな……。
  • 小袋成彬の歌詞表現はなぜ我々を揺さぶるのか 新作『Strides』に色濃く刻まれたドキュメント

    小袋成彬の新作に触れるたびに、覚醒と焦りの感情が同時にやってくる。そろそろパンデミック後の世界を自立的に生きたいと思いつつも、不安やストレスを緩和・解放してくれる表現に頼る現実もある。だが、小袋成彬は人間に勝ち目のない戦いにはほぼ目もくれず、個人の戦いに淡々と挑んでいるーー約1年半の彼の歩みが色濃くドキュメントとして刻まれている新作『Strides』が引き起こす動揺はある種、心地よい。 また作は現行のヒップホップに接近・突入し、しかも彼の言語とボーカル表現でしかなし得ないスタイルを実現した新たなフェーズでもある。「Route」にKANDYTOWNからMUDが参加している他、MELRAW、HSU(Suchmos)、Aru-2らの名前が小袋のツイートで確認できる。確かに生音に彼らと思しきプレイやラップが散見され、そのアレンジも作のテクスチャーを決定づけている要因だ。そしてやはり、今回もまた

    小袋成彬の歌詞表現はなぜ我々を揺さぶるのか 新作『Strides』に色濃く刻まれたドキュメント
  • ISHIYA × TOSHI-LOWが語る、ハードコアパンクのつながり 「本当はみんな、自分の心の中にある大事なものでつながりたい」

    ISHIYA × TOSHI-LOWが語る、ハードコアパンクのつながり 「当はみんな、自分の心の中にある大事なものでつながりたい」 『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史』(blueprint) FORWARD/DEATH SIDEのボーカリスト・ISHIYAの著作『ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史』が、1月10日の発売以降、各所で話題を呼んでいる。重版を記念して、過日に掲載した後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)によるレビューに続き、今回は著者ISHIYAと書の帯コメントを書いたTOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)の対談記事を掲載。さらに、同書の特設サイトも公開した。 TOSHI-LOWはハードコアシーンをどのように見つめ、ISHIYAにどんな影響を受けてきたのか。また、書を通じてなにを感じたのか。ビールを酌み交わしな

    ISHIYA × TOSHI-LOWが語る、ハードコアパンクのつながり 「本当はみんな、自分の心の中にある大事なものでつながりたい」
  • いしわたり淳治×狩野英孝 特別対談:作詞家が分析する、50TAの歌詞の面白さとは?

    いしわたり淳治『言葉にできない想いは当にあるのか』(筑摩書房) コラム集『言葉にできない想いは当にあるのか』を刊行した作詞家/音楽プロデューサー・いしわたり淳治と、アーティスト“50TA”こと狩野英孝の初対談が実現した。 きっかけは、昨年に『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で発表された50TAの3年ぶりの新曲「ラブアース」をコラムの中でいしわたりが称賛していたこと。いしわたりは、今年初頭に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)の人気企画「2020年のマイベスト10曲」でも、同曲を7位に選出している。 初対面の2人のクロストークは、いしわたりが考える50TAの魅力、格好よさと面白さの関係、音楽とお笑いに共通する「言葉の使われ方の進化」など、抱腹絶倒なやり取りの中にクリエイティブなヒントがたっぷり詰まった対話になった。(柴那典) 「ラブアース」の衝撃 狩野英孝 ――狩野さん

    いしわたり淳治×狩野英孝 特別対談:作詞家が分析する、50TAの歌詞の面白さとは?
  • Spotify、念願の韓国上陸も“苦戦”強いられるか 現地在住ライターが分析

    でもサービスを開始して約4年半が経過した世界最大手の音楽ストリーミング・サービス、Spotifyが、2月2日に韓国でようやくローンチされた。K-POPの世界的な成功などにより注目の集まる韓国音楽市場において、Spotifyの参入は大きなインパクトとなるだろうか。現地に在住する筆者が、韓国国内企業が運営するストリーミング・サービスが長らく市場で定着していた“韓国独特の事情”も紹介しながら、今後の可能性を展望してみる。 韓国における音楽ストリーミングのこれまで 「韓国上陸に向け、著作料配分に関連した協議が始まった」という報道が出てから約2年、Spotifyが今月2日にようやく韓国でサービスを開始した。これまで韓国では主に国内企業が運営するサービスが数多く存在し、日よりもずっと早くストリーミングで音楽を聴く文化が定着していた。最も歴史のあるBugsは2000年に、韓国で最大のシェアを誇るM

    Spotify、念願の韓国上陸も“苦戦”強いられるか 現地在住ライターが分析