昨今、専門的知見にもとづき社会的発言をおこなう本学の研究者たちに対する、検証や根拠の提示のない非難や、恫喝や圧力と受け取れる言動が度重ねて起きています。その中には、冷静に事実と向き合って社会を分析し、根拠にもとづいて対応策を吟味すべき立場にある国会議員による言動も含まれます。 日本は今、前代未聞の少子高齢化社会に向かっています。誰も経験したことのない変動を迎えるにあたって、専門家としての責任においてデータを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任です。その責任を十全に果たすために、適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません。 世論に多様性がなくなれば、働く現場は疲労困憊し、格差はいっそう拡がり、日本社会は硬直して出口を失うでしょう。柔軟性をもって意見を