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ブックマーク / honz.jp (46)

  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
  • 友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ

    ヒトの進化において「協力的なコミュニケーション」が大きな鍵を握ったであろうことは、たびたび指摘されるところである。人がひとりでできることは限られている。単独で野生動物を狩ろうとしても、得られるのはせいぜいウサギくらいだろう。しかし、ほかの人と協力すれば、わたしたちはシカだって野牛だって狩ることができる。また、ほかの人と情報交換すれば、わたしたちは新たな技術などについて伝えあうことができる。というように、その進化史において、協力的なコミュニケーションはヒトに多大なメリットをもたらしたと考えられる。 しかしそれならば、次のような問いがさらに生じても不思議ではないだろう。ヒトはどうやって協力的なコミュニケーションを行うことができるようになったのか。 書は、その問いに対してひとつの回答を与えようとするものである。そして、書が導き出す回答は、原書のタイトル(Survival of the Fri

    友好的なのが何より大事 『ヒトは〈家畜化〉して進化した──私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか』 - HONZ
  • 『公文書危機』政府の隠ぺい体質がもたらす公文書危機と民主主義の崩壊 - HONZ

    1997年に発覚した、民間金融機関などによる大蔵官僚への過剰接待事件以降、官僚の劣化が止まらない。中央官庁というのはブラック企業の典型であることが詳(つまび)らかになり、ルサンチマンを抱えた国民のバッシングを浴び、天下りも禁止される中、新卒採用での人気低下、止まらない若手の大量退職など、側から見ていても同情を禁じ得ないほど地盤沈下している。 こんな状態では官僚の士気は上がりようもないし、レベルの低い政治家に代わって能吏が組織として国を支えるという構造が崩れてしまったら、一体、日はどうなってしまうのだろうか。こうした心配が、今まさに現実のものになろうとしている。 自分の大学の同期の中でも、当時の大蔵省(今の財務省と金融庁)に入省したのは、飛び切り優秀で真面目で勤勉な連中ばかりだった。それにも関わらず、そうした中から、森友学園への土地売却交渉記録の改ざんを指示した上に、国会で「廃棄した」とか

    『公文書危機』政府の隠ぺい体質がもたらす公文書危機と民主主義の崩壊 - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

    『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
  • 『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』働き方「改革」は「改悪」になるのか - HONZ

    よくわからない事象でも、響きの良い名前が付くと、人は考えるのをやめ、特定のイメージを信じこむことがある。説明が要らないような錯覚に陥ることもある。 労働や経済に関わる政策は理解するのが難しいだけに、なおさらだ。4月に関連法が施行される「働き方改革」はその一例ではないだろうか。 政府は「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」を訴える。「働く人が自由に働ける」も、うたい文句になっており、これだけ聞けば諸手を挙げて喜ぶ社会人も多いだろう。 ジャーナリストとして労働現場の実態を調べ、声なき声を集めてきた著者は誰のための改革なのかと訴える。法案の成立した経緯を丹念に調べ、「働き方改革」のトリックを浮き彫りにする。 わかりやすいのが労働時間に関する規制だ。残業時間に「罰則付きの上限」が設けられるが、問題はその中身。企業は1か月で最長100時間、2〜6か月で月平均80時間までしか残業させてはいけないと定

    『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』働き方「改革」は「改悪」になるのか - HONZ
  • 『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 』こんなスケールの大きい日本人が本当にいた - HONZ

    『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 』こんなスケールの大きい日人が当にいた文庫解説 by 孫 正義 ドクター佐々木は、私とソフトバンクにとって大恩人中の大恩人です。ドクター佐々木と出会っていなかったら、ソフトバンクという会社はスタートできていなかったかもしれない。 最初に出会ったのは私が19歳のとき。私はカリフォルニア大学バークレー校の学生でした。電子翻訳機の試作機を作って、いろんなところに持って行ったのですが、どこにも相手にされなかった。その中でただ一人、真面目に話を聞いてくれたのが、シャープの専務だったドクター佐々木です。 その技術はのちに大ヒットしたシャープの電子手帳「ザウルス」につながっていくのですが、この時の契約で得たお金でソフトバンクはスタートを切ったわけです。 ドクター佐々木は電子翻訳機を評価してくれただけでなく、こうも言ってくれました。「孫君

    『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 』こんなスケールの大きい日本人が本当にいた - HONZ
  • 医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ

    京都大学の庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まり、日中が湧いている。この素晴らしい快挙の一方で、医療現場では混乱も生じているようだ。がん治療の現場で、医師が手術を選択したにも関わらず、患者側からオプジーボを使用したいと相談があるようなのだ。なぜ、患者側はそう考えるのか。書は、その「なぜ」に答えるである。 当然のことだが、医師はオプジーボの存在は知りつつ手術を選択している。冷静に考えれば、患者もそれはわかるだろう。しかし、生きるか死ぬかの瀬戸際で、毎日のように「オプジーボで命を救われました」という報道を目にしている患者の気持ちもわかるような気がする。 このような医療現場の意思決定について、現在の医療ではインフォームドコンセント(説明と合意)という手法が一般的にとられている。しかし、情報さえ提供すれば、患者は合理的な判断をできるのだろうか。書の執筆チームは、ここに昨年ノーベル

    医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ
  • あなたは「神」を信じますか? 『科学者はなぜ神を信じるのか』 - HONZ

    あなたは神を信じますか?こう訊ねられたらどう答えるだろう。日だと、神様は存在しないと思うけど神頼みはする、というのが多数派だろうか。こので問われるのは、我々が普段思い浮かべるようないたるところにいる神様ではない。キリスト教の神、創造主としての神である。 科学者のスタンスはどうだろう。『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキンスは『神は妄想である』という著書で、科学的合理性こそが重要で、宗教はそれに反するものであると痛烈に批判した。この、宗教的背景からか日ではあまり話題にならなかったが、世界中で百万部を越すベストセラーになった。もちろん賛否激論である。 一方、ヒトゲノム計画を率いた一流の生命科学者、米国・国立衛生研究所(NIH)所長のフランシス・コリンズは、無神論者の家庭に育ったが、後に敬虔なクリスチャンとなった。そして、科学的真理と信仰的真理は矛盾しないと確信し、『ゲノムと神;科学者

    あなたは「神」を信じますか? 『科学者はなぜ神を信じるのか』 - HONZ
  • 『自衛隊失格 私が「特殊部隊」を去った理由』完全燃焼を目指した男がぶつかった官僚組織という壁 - HONZ

    著者、伊藤祐靖は自衛隊初の特殊部隊である海上自衛隊の「特別警備隊」の創設に携わり、部隊創設後は先任小隊長として技術の向上に努めた人物である。書は日初の特殊部隊を創設した男の半生を綴った自伝であり、自衛隊という国防の最前線のリアルを描いたノンフィクションでもある。 そもそも日は旧帝国陸海軍の時代から特殊部隊という特殊戦の専門部隊というものを持ったことがない。そんな日がなぜ特殊部隊を創設する事になったのか。しかも、白兵戦を旨とする陸上自衛隊よりも先に海上自衛隊で。実はその発端となる事件の現場に伊藤祐靖自身がいたのである。 その事件とは1999年3月23日に発生した能登半島沖不審船事件である。イージス艦「みょうこう」は富山湾において「特定電波を発信した不審船の捜索」を命じられる。湾の中にいる何百隻という漁船の中から、北朝鮮の特定電波を発信した工作船を見つけるのである。不可能なように思われ

    『自衛隊失格 私が「特殊部隊」を去った理由』完全燃焼を目指した男がぶつかった官僚組織という壁 - HONZ
  • 『政治の衰退 上 フランス革命から民主主義の未来へ』 民主主義は政府運営を非効率にするのか? - HONZ

    著者フランシス・フクヤマは『政治の起源』で、人類誕生以前からフランス革命までの歴史を振り返りながら、「国家」、「法の支配」、「政府の民主的説明責任」という3つの重要な政治制度がどのように生み出されたのかを巧みに説明した。この『政治の衰退』は『政治の起源』の姉妹編であり、フランス革命以降の過去2世紀の間にこの3つの制度がどのように相互作用しながら発展してきたかを論じていく。そして最後には、先進民主主義国でこれら3つに衰退の兆候が見受けられることが示される。ポピュリズム、排外主義や核の脅威など、政治の不安定がいや増す現代社会の未来を見通すために必読の一冊だ。 なぜ西洋が大きく発展し他の地域を大きくリードしているのか、という問いは18世紀以降の経済学者の最大の関心事項の1つである。アリストテレスからルソーまで、地理と気候が政治制度に大きな影響を与えたと論じてきた。ところが、植民地帝国が解体され発

    『政治の衰退 上 フランス革命から民主主義の未来へ』 民主主義は政府運営を非効率にするのか? - HONZ
  • 『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ

    作者:ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・ハンゼン 翻訳:森内 薫、赤坂 桃子 出版社:紀伊國屋書店 発売日:2018-06-21 ヒトラーの時代を考える ヒトラーと、その右腕ゲッベルス宣伝相が作り出した大衆的熱狂の先には、戦争と破壊、そして未曾有の大量殺戮が待ち受けていた。偏狭な自民族中心主義と極端な反ユダヤ主義、人種差別主義(レイシズム)が第二次世界大戦と結びついて、ヨーロッパを「暗黒の大陸」へと変えたのだ。戦後、世界は解放された各地の強制収容所に累々と積み上げられた犠牲者の屍に絶句し、「二度と繰り返してはならない」と誓ったのである。 それから73年が経過した今、ドイツ、オーストリアを始め世界各地でポピュリズム、排外主義の動きが不穏な高まりを見せている。人権と民主主義を軽んじる政治的指導者が名乗りをあげるなか、あらためてヒトラーの時代を考えることには大きな意味があるだろう。ヒトラーは大衆民

    『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ
    sotokichi
    sotokichi 2018/06/22
    副首相が『ナチスを見習え」と言っただけあって、メディア・ネット工作とか差別・排外主義を扇動とか、かなり安倍政権は見習ってる。
  • 『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで - HONZ

    育児には神話がある。また、周囲の友人や口コミサイトからの情報に溺れ、真偽を判断する余裕もない。情報に溺れることなく、なるべく子どもと過ごす時間を増やしたいのだが、子どものためにやるべきことは尽きない。ギリギリまで手抜きしてズボラに育児がしたいが、それで、ちゃんと育児やっているんだろうか、できていると思えるのだろうか、悩む。 そんなふうに自分もなるんだろうなと、悲観的なシナリオを子どもの誕生前に考えていた。そんなときに原書『Thirty Million Words』を発見した。私の育児はこのに書かれた科学と実践によって、楽しむことができ、シナリオ通りに育児は大変だが、のらりくらりと乗り越えることができている。前置きが長くなったが、書について、紹介したい。 魅力はたった一つである。多忙な育児の中でも、0円で、すぐに、誰でも行動に移せることだ。 背景にある研究は、トッド・リズリーとベティ・ハ

    『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで - HONZ
  • 九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ

    この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつくるなど、その技術を次々と世の中にために活かし始めている。書は、そんな少年のこれまでの歩みについて書かれた一冊であり、同時にそうした「少年の両親が、いかにしてのびのびと成長し、核融合炉をつくれる環境を構築してき

    九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ
  • 『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ

    去る1月中旬、こんなメールが筆者のもとに届いた。「追加取材をしませんか」 柏書房の編集部からのものだった。文面によれば、筆者が年初にHONZで書いた『「日の伝統」の正体』(藤井青銅/柏書房)のレビューを皮切りに、正月中にAmazonは在庫切れ、紀伊国屋新宿店では完売、記事を見た他書店からも追加注文がぞくぞくと入ってきている……という状態だったそうだ。SNSを中心にびっくりするくらい拡散されていたのは気づいていたが、こうして実際に売れ行きが好調だと聞くと、レビュアーとしては嬉しいばかりだ。 それはともかく、初詣や恵方巻き、平安神宮の歴史が実は長くないという事実を含め、「日の伝統」と聞いて、なんとなくモヤモヤした思いや感情を持っている人がそれなりにいることも反響を見ながら感じていた。そんなわけで、柏書房に赴き、著者の藤井青銅さんにインタビューを行った。作家・脚家・放送作家とマルチに活躍

    『「日本の伝統」の正体』著者インタビュー - HONZ
    sotokichi
    sotokichi 2018/02/08
    “伝統って、変わってきて今の形があるのに、変えちゃいかんという人たちがいるから、それはおかしいだろうと” “伝統というツールを使ってマウンティングをする連中”
  • 『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて - HONZ

    ガソリン携行缶10リットルを2缶、救急セット(傷薬、消毒薬、包帯、ガーゼ、絆創膏など)、非常用料(カロリーメイト、乾パン、栄養ゼリー、アルファ米など)、非常用飲料水(2リットルを4)、結束バンド、ダクトテープなど車両トラブルの際の応急修理用品。 まるで被災地に救援に向かうような持参品だ。その他にも簡易トイレやトイレットペーパーや乾電池などなど。実際、著者は2016年のゴールデンウイークに九州に旅発った。半月前に熊地震が起きたばかり。ただ、著者が九州に向かったのは被災地支援でなく、エロやエロDVDを販売する自販機を探しにだ。 インターネットが普及した今でも、九州は大阪と並ぶエロ自販機が多い地域とか。準備万端に映る装備は、震災から2週間が経ったとはいえ、現地の物資不足を考慮して、迷惑をかけられないとの判断からだ。 震災直後の著者の行動に自称良識派の人々は激怒するかもしれないが、全国のエ

    『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて - HONZ
  • 『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』悲劇への道は、共感の心で敷き詰められている - HONZ

    SNSに功罪はあれど、「共感をベースにした評判社会」という言葉には何か否定できないものがある。他人の喜びや悲しみといった感情に寄り添うことができ、周囲からどのように思われているか可視化される状態であれば、さぞかし理想的な社会になるはずだ。 しかし、実態はどうだろうか。人々のつながりは誹謗中傷や負の感情を運ぶ時の方が勢いが強く、よりスキャンダラスな方向へと向かっているような印象も受ける。ならば、世の中は「共感をベースにした評判社会」とは違う方向へ進んでいるのだろうか? 書はこのような疑問に対して、明快に回答する。むしろ、これは共感をベースにしているからこその動きであると説くのだ。驚くのはそのメカニズムを、1942年と1950年に起きた2つの冤罪事件(浜松事件と二俣事件)、そして1759年に出版されたアダム・スミスの『道徳感情論』という2種類の要素から解き明かしていることだ。 なぜ、SNS

    『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』悲劇への道は、共感の心で敷き詰められている - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    あなたの留守中に家に勝手に人が入って生活していますよ?それが『ヒ... 2018年09月20日 あなたが朝起きて学校や会社に行く時に鍵をちゃんと閉めて出て行って。 一日を終えて夜に帰宅した時に違和感を覚えた事無いですか? “あれ?前日の夜にシャワー浴びた後のタオルってここに置いたっけ?”...

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