宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2003年5月に打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」。そのミッションは、小惑星「イトカワ」に接近、着陸し、表面の岩石をサンプル採取して地球へと帰還するというものだ。イトカワは、短径約200m、長径約500mほどの不規則な形状の小天体で、火星と木星の間にある小惑星帯から地球軌道近くまで接近する変速楕円軌道をとる。小惑星帯で円軌道に近い楕円軌道をとる通常の小惑星とは異なった微小天体だ。2005年11月にイトカワに着陸したはやぶさは、姿勢制御リアクションホール2基の機能を失うアクシデントを乗り越えて、現在地球への帰還途中にある。2010年6月には地球に帰還し、イトカワ表面の岩石サンプルの入ったカプセルを放出、はやぶさ自体は大気圏再突入で燃え尽きる予定だ。こんな過酷な旅路を経てまでも、小惑星イトカワに探査機を送った理由とは何か──。 はやぶさのイトカワ探査ミッション