アメリカを代表する新聞「ニューヨーク・タイムズ」は、ノーム・チョムスキーを「その思想の威力、広がり、斬新さ、影響力において、彼は現存する中で最も重要な知識人だ」と絶賛した。 言語学におけるアインシュタインと称されるチョムスキーの紹介にあたって、よく引用される記事なのだが、実は続く段落でこう記されている。「なのに彼の米国外交批判はひどすぎる」。 9.11以降、アメリカを批判するチョムスキーの書籍が日本でも数多く刊行された。 イラク戦争についていえば、戦後明らかになった事実が、「アメリカこそテロ国家の親玉」という彼の批判の正しさを証明した。開戦前、私たちは「イラクは3万発のミサイルに500トンの化学兵器、2万5000リットルの炭疽菌などの大量破壊兵器を所有している」といった、アメリカのメディアが発する情報を繰り返し耳にした。 だが、いまとなっては、それらはまったくの虚偽であることが判明した。一