ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (25)

  • ヴァレンティノ炎上CMで、踏まれているのは「帯」なのか「布」なのか?

    寺山修司の映画版は「一巻の布」を着物の帯に変えてセクシャルなイメージを付加したが(画像は和服と帯のイメージ画像) banabana-san/iStock. <日文化へのオマージュだという前提情報がしっかり伝えられなかったことが問題> イタリアの高級デザイナーブランド「ヴァレンティノ」による、日の「着物の帯」を女性が踏んでいるという演出のウェブCFが「炎上」し、削除されたという事件は、極めて興味深い現象と思います。3点お話したいと思います。 まず1点目は、踏まれているのは「帯」なのか「布」なのか、という問題です。 まず、ヴェレンティノの日法人からは「日文化に敬意を込めて作成されたもので、日文化を冒涜するような意図は全くなく、このシーンで使われた布も、着物の帯ではありません」という説明がされています。前半はそうだと思いますが、後半は少々解説が必要です。 というのは、このCF全体が

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    spy_simon 2021/04/03
  • スキャンダル続きのクオモNY州知事、政治的サバイバルはできるのか?

    <一連のスキャンダル攻撃を仕掛けているのは共和党ではなく実は民主党内の左派> ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事といえば、2020年3月~5月にかけての、ニューヨーク州における新型コロナウイルス感染の第一波では、一度は英雄になりました。当時のトランプ政権と渡り合って医療体制を構築する一方で、毎日昼から州庁舎で行った定例会見は好評であり、危機管理のプロという評価が国内外から寄せられました。 ところが、2021年に入ると知事への州内での評価は激変しました。まず2月上旬には、前年3月におけるコロナ対策の見込み違いから、長期滞在型の高齢者施設において、避けられたかもしれないコロナ死亡が発生したという批判が出ました。これは、知事としては確保すべき病床数を多く見積もり過ぎたためであり、報告数字の操作をしているという疑惑を含めて、一部誤解も含まれていたことから沈静化しました。 2月下旬になると、こ

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    spy_simon 2021/04/01
  • 後味の悪かったワールドシリーズが象徴する米社会の重苦しさ

    ワールドシリーズではドジャースが32年ぶりの優勝を飾ったが Kevin Jairaj-USA TODAY Sports/REUTERS <大統領戦を目前に控えた現状では最終戦にもつれ込むことはできないという判断が、試合途中で働いた可能性がある> 2020年のアメリカ大リーグは、春先からのコロナ禍拡大の中で開幕が先送りされ、結果的にシーズンがスタートしたのは7月で、公式戦は60試合のみ、しかも無観客という変則的な開催となりました。その後には拡大されたポストシーズンが行われ、ロサンゼルス・ドジャースが、32年ぶりにワールドシリーズを制覇して、今季の全日程は終了しました。 問題が起きたのはその直後です。テレビ中継では、最終第6戦が終って表彰式に移るCMタイムになって突然、ドジャースのジャスティン・ターナー三塁手がコロナ陽性となり、直ちに隔離されたことが発表されたのです。そこから、様々な報道や憶測

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    spy_simon 2020/10/30
  • 今の韓国との関係は45年前の危機に比べればまだコントロール可能

    <金大中拉致から朴正煕暗殺未遂へと続いた流れで対日不信が高まった、74年当時の日韓関係を振り返って見ると......> 日韓関係が悪化しています。日韓国の多くのメディアは、日韓関係は最悪だという表現をしていますが、私は少し違うと思います。45年前の1974年に日韓が陥った状況は、この程度のものではありませんでした。 今回の危機は、いわゆる戦後補償の請求権の問題に始まり、それが貿易手続きの問題、さらには安全保障の問題と論点が重なってきています。その点だけ見れば、関係の悪化が深まっているように思われますが、74年の場合は違います。論点が重なったのではなく、関係を悪化させる事件が3つ重なり、そのために両国関係が完全に立ち往生したというのが74年の状況でした。 事件の1つ目は、その前年、1973年8月8日に発生した金大中事件でした。後に韓国大統領となって通貨危機を収拾することになる金大中は、こ

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    spy_simon 2019/08/27
  • 戦争による膨大な死の記憶とどう向き合ったらいいか、8月15日に考える

    8月15日が終戦の日となったことで、この日に膨大な戦没者への思いが重なることになった Kim Kyung-Hoon-REUTERS <日国内では戦争の犠牲をめぐる対立があるが、それが極端に強まれば将来の不安要素になりかねない> 8月15日には、どうしても重苦しい思いがしてしまいます。何よりも、膨大な死の記憶が蘇る日だからです。この8月15日をもって「終戦記念日」とするのは、実は世界的に見ると一般的ではありません。国際社会としては9月2日に東京湾内船上で終戦協定に署名がされた日が法的な終戦であり、「VJ(日への勝利)デー」とされます。 ですが、日ではどうしても8月15日という日付が重いのですが、そこには二重の理由があると思います。一つには、この日をもって日の陸海軍は戦闘を停止したと同時に、連合国も日への攻撃を停止した、つまり大規模な殺戮が物理的に停止した、というのは当時を生きた人々

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    spy_simon 2019/08/16
  • 北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い

    プーチンはあくまで外交交渉のカードとして主張しているだけなのか Alexei Druzhinin/Sputnik/REUTERS <日ロ交渉でロシアは、第二次大戦の結果として北方領土がロシア領になったと認めさせたいようだが、その理屈には根拠がない> 領土問題の前進と、平和条約締結を目指した日ロシアの交渉において、歴史認識の問題があらためて取り上げられています。ロシアが「第二次大戦の結果として南千島はロシアのものになった」ということを「日に同意させたい」と躍起になっているからです。 この点については、毅然として反論すべきです。何故ならば、このロシアの論法は二重三重に間違っているからです。 まず、日は第二次大戦を戦いました。これは動かし難い事実です。ですが、ロシアは違います。第二次大戦を戦ったのはソビエト社会主義共和国連邦でした。マルクス・レーニン主義を口実とした独裁政権であり、民主主

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    spy_simon 2019/01/18
  • アメフト悪質タックル事件を、アメリカから考えると

    アメリカでも一線を越えた悪質なラフプレーをすれば選手は将来を絶たれる(画像はコラム内容とは直接関連していません) Winslow Townson-USA TODAY Sports/REUTERS <アメリカのNFLでもラフプレーは問題視されているが、今回のように露骨にやることはあり得ない> 問題の日大選手のタックルについては、何度もビデオで確認したのですが、アメリカでプロや大学、高校の試合を見てきた自分としては、全く見たことのないプレーだと感じました。悪質といえばもちろん悪質なのですが、行為として危険だという意味の悪質性に加えて、あんな風に露骨にやるというのが非常に不思議です。 あくまで推測ですが、ラフプレーを命じられてやったというだけでなく、「確かに自分は堂々とやった」というアピールをしなくてはならない、タックルを行った選手はそのような圧力を受けていた可能性が感じられます。とにかく、あの

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    spy_simon 2018/05/17
  • 朝鮮半島危機の現状下、日本は政局に走っている場合ではない

    北朝鮮の核開発問題の解決に向けて南北、米朝の首脳会談へと動き出したこの局面で、日は一瞬たりとも外交上の判断に遅れがあってはならない> 森友問題への安倍政権の対応は稚拙でした。第一次安倍政権の「格差よりイデオロギーを優先した」イメージが失速の元凶となったように、今回も「イデオロギーの同志と思って」いた籠池夫に騙されたり、問題への批判に居直ったりしたのですから、「イデオロギーの罠」にハマったのは否定できません。こういうことを繰り返すというのは良くありません。 ですが、朝鮮半島情勢が緊迫している現在、政局のゲーム感覚を楽しむ余裕はないと思います。首相夫人の国会招致とか、首相経験者の麻生財務相に辞任を迫るとか、そんな紙芝居のような「劇場」をやっているヒマはないのです。 もちろんいくらトランプ大統領が、「米朝首脳会談に応じる」と発表したからと言って、当に会談が実現するかどうかは不確定です。で

    朝鮮半島危機の現状下、日本は政局に走っている場合ではない
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    spy_simon 2018/03/14
  • 「正義」を冷笑して権力を手にしたトランプ

    <オバマの掲げた「正義」を冷笑してのし上がったトランプに対して、全面的に「正義」を振りかざすヒラリー。これではアメリカ社会の分断は緩和されない> 先週から日のツイッター上で「正義」に関する議論が盛り上がっています。1つのきっかけとしては、まずある作家の「暴走するような正義が、この地上のどこにあったって言うんだよ。」という投稿があり、これに対して原理主義の掲げる正義への批判や、「正義の味方」という言葉の「正義」と英語の「ジャスティス」の違いとか、様々な議論が寄せられました。そうした一連の議論を受けて佐々木俊尚氏が、 「正義の側から見ると正義は暴走するようには見えないんだけど、そうじゃない側から見ると暴走していると見える。しかし指摘すると冷笑的と怒られる。理解し得ない悩ましい問題」 と応じたのは興味深いと思いました。この問題では、「絶対と信じて正義を掲げつつ、それを信じないグループからは暴走

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    spy_simon 2017/09/20
  • トランプ外交の方針転換は「正常化」の兆しなのか

    <シリア・アサド政権の化学兵器使用疑惑をめぐって、トランプ政権が外交方針を180度転換。しかしこれまで異例だった外交方針が「正常化」に向かう兆候と考えれば、納得はいく> 今週4日から5日にかけて、「シリア内戦でアサド政府軍が化学兵器を使用か」というニュースが世界を駆け巡りました。5日朝には、例えば三大ネットワークの一つであるNBCテレビでは、中東特派員として長年シリア内戦を取材してきたリチャード・エンゲル記者が、「サリン攻撃の被害者とみられる人々を治療する様子」の動画を紹介しながら、事態の深刻さを解説していました。 これに関してトランプ大統領は、「オバマの弱腰な姿勢がこうした事態を招いた」という意味不明なツイートをしていました。意味不明というのは、つい先週、トランプ政権は「アサド政権のシリアには政権交代を求めない」という「新方針」を発表したばかりだったからです。 一方で、今週3日にロシア

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    spy_simon 2017/04/10
  • アレッポ陥落、オバマは何を間違えたのか?

    <アレッポ陥落に際して対シリア外交の失敗を認めたオバマ。アサド政権に対するもっと強力な外交攻勢が必要だったが、それが可能だったかどうか現時点で評価するのは困難>(写真:反政府勢力が支配する別の地域を目指して東アレッポから避難する家族) シリアのアレッポ東部では、アサド政権に抵抗する反政府勢力に対して、政府軍やロシアによる空爆が続いていましたが、今月14日前後にほぼ組織的な抵抗は終了し、事実上陥落したアレッポは政府軍のコントロール下に置かれました。 その時点で、問題は東アレッポの住民を「安全に脱出させる」ことに移っています。つまり、政府軍やその同盟軍であるシーア派武装組織、ヒズボラなどの暴力から保護して、シリア北部もしくはトルコ領内へ移動させる作戦です。 この「脱出作戦」に関しては、アサド政権は「テロリストを逃がすことは許容できない」と反対していました。確かにアサド政権に抵抗した人間は、アサ

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    spy_simon 2016/12/20
  • 安倍政権の攻めの対米外交は自主防衛拡大への布石なのか?

    トランプ新政権の誕生を前に積極的な対米外交を展開する日の安倍首相。その根底に自主防衛強化の意図があるとすれば、懸念を抱かずにはいられない>(写真:先月ニューヨークでトランプ次期大統領との会談後に会見した安倍首相) 時差の関係で今月7日が真珠湾攻撃の記念日となるアメリカでは、今年が「75周年」とあって、大きく取り上げられています。報道のトーンとしては、90代から100歳代になるという攻撃を体験した元兵士がクローズアップされ、日の地上波に当たる3大ネットワークのニュースでも、安倍首相の真珠湾訪問について紹介されました。 この真珠湾訪問ですが、7日の直前という発表のタイミングが、やはり良かったようです。 ここへ来て、安倍政権の対米外交は極めて積極的です。11月の「トランプ当選」というサプライズに対しては、直後に次期大統領との会談を行い、その上で12月の末にはハワイで、オバマ大統領との共同献

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    spy_simon 2016/12/12
  • ヒラリー「第二のメール疑惑」の誇大報道

    <大統領選直前に飛び出した、「FBIがヒラリーのメール問題の捜査を再開」という報道。実際の捜査対象は人が送受信したメールではないが、誇張された報道によって選挙情勢は大きく揺さぶられている>(写真:今回のメール問題の発端となったウィーナー〔左〕とのアベディン) アメリカ大統領選は、泣いても笑っても、8日の投開票まで残り1週間になりました。3回のテレビ討論を終え、一連の女性蔑視発言で共和党の主流派とも冷戦状態となったドナルド・トランプ候補に対して、ヒラリー・クリントン候補は大差をつけていると思われていました。 ところが、先週28日(金)前後から情勢が再び流動化しています。ヒラリー・クリントンに「第二のメール疑惑」が再燃し「FBIが捜査を再開した」という報道が流れ始め、「トランプ大逆転か?」などという調子に乗った解説まで出ているのが現状です。 もちろん、まだ大差はついているのですが、「主戦場

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    spy_simon 2016/11/02
  • 伊勢志摩サミットの「配偶者プログラム」はとにかく最悪

    <日でサミットなどの国際会議が開催されるたびに繰り返される、首脳配偶者を「豪華に」おもてなす勘違いプログラム。特に今回の伊勢志摩サミットでは参加者も少なく、内容も最悪だった>(写真は伊勢志摩サミットのプログラム) 2008年の洞爺湖サミットの際に福田貴代子首相夫人(当時)が主宰した「配偶者プログラム」で、十二単の着付鑑賞や豪華な茶会という内容が悪評を買ったのに続いて、2010年のAPECでも菅伸子首相夫人(当時)による「坐禅体験」とか「ハイテク丹後ちりめんファッション」など、「社会性の欠如」した企画が続いたことについては、このコラムで厳しく批判してきた通りです。 伊勢志摩サミットでは安倍昭恵夫人が何らかの改革してくれるのではと期待しました。しかしサミット参加首脳9人のところ、配偶者プログラムへの参加者は主宰の安倍夫人を含めて4人だけという結果に終わりました。安倍昭恵氏の他には、EUの事実

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    spy_simon 2016/06/11
  • なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?

    今週のアイオワ党員集会では、自称「民主社会主義者」のサンダースがヒラリーに肉薄した Rick Wilking-REUTERS 各州の予備選が始まったアメリカの大統領選では、民主党のバーニー・サンダース候補に若者の支持が集まっています。今月1日のアイオワ党員集会では、盤石と言われたヒラリー・クリントン陣営に1%未満の差まで詰め寄る一方で、今月9日に予定されているニューハンプシャーの予備選では自身の選挙区バーモントの隣ということもあって、大差での1位が見込まれています。 このサンダースですが、60年代から「反戦・反格差」を主張として掲げており、自分は「民主的な社会主義者」という立場を一貫して通しています。さらに大統領選で「政治による革命を目指す」としています。政策としては「空前の大増税を行って富裕層の富を吐き出させ」、「スウェーデンや日のような政府一元化の健康保険制度」を導入、さらには「公立

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    spy_simon 2016/02/11
  • 日本の経済政策は、なぜ右派と左派でねじれているのか?

    では保守派がリベラルな経済政策を、左派が保守的な経済政策を志向する「ねじれ」がある Thomas Peter-REUTERS 前回のエントリ「なぜ日には『左派勢力の旗手』が出現しないのか?」には多くの反響をいただきました。その中であらためて考えさせられたのは、日では「右派がリベラルな経済政策」を取り、「左派が保守的な経済政策」を取っているという「経済政策のねじれ」です。 現在進行中のアベノミクスがいい例です。自国通貨の価値を毀損してまで流動性を供給するとか、公共投資を増やしてケインズ的な効果を狙うというのは、国際的な常識から見れば極めてリベラルな経済政策に属します。ですから、現在の安倍政権というのは政治的には保守ですが、経済政策は相当に左寄りだということが言えます。 反対に、「目先の景気よりも、中長期的な財政規律」を心配する態度であるとか、自国の通貨を防衛しようという立場、あるいは

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    spy_simon 2016/02/11
  • 日本で盛り上がる「反知性主義」論争への違和感

    の言論では「反知性主義」がイデオロギー批判の感情論として使われているのが目立つ(写真は昨年末の衆院選で選挙演説を聞く人たち) Yuya Shino-REUTERS 日で「反知性主義」という言葉が流行していることも、また、その言葉の使い方について論争があることも承知していました。ですが、その議論の全体に「どこかピンと来ない」感じがあって論評を控えていました。年末に差し掛かるこの時期になって、一部のメディアで「今年の流行語」として取り上げられるなど、さらに多くの議論を呼んでいるようですので、私なりに整理してみたいと思います。 そもそも「反知性主義」という言葉については、例えば森あんり氏が、著書『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』で取り上げたように、アメリカ家であって、特にアメリカのプロテスタンティズムが持っている「アンチ・エリート」の伝統を指した言葉という理解があります

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    spy_simon 2015/11/13
  • トランプの「アジア外交」絡みの暴言は無視できない

    一連の女性蔑視発言に加えて「不法移民は全員強制退去」、「イラクへ派兵して油田を占領」、「地上軍派遣でISIS殲滅」、「借金大国アメリカには借金王の俺が必要」......とにかく共和党の大統領候補に名乗りを上げているドナルド・トランプの暴言は止まるところを知りません。 その「主張」というのは全く実現不可能なものですが、アメリカの保守派が漠然と感じている「願望」とか「ホンネ」を言葉にしているという点では見事です。 というのは、ライバルの候補たちにしてみれば、トランプの「暴言」を「不可能だ」とか「非現実的だ」と批判すれば、「自分はそんなことはできない」という一種の「無能」を訴えることになるからです。見事というのは、いくら内容が「空っぽ」でも、そのような「政治的なワナ」としての「仕掛け」にはなっているということです。 その「トランプ暴言」ですが、ここへ来てアジア外交まで「ネタ」にするようになってき

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    spy_simon 2015/08/28
  • イラン核合意が日本の安全保障に与えるインパクト

    いわゆる「集団的自衛権の行使は合憲」という解釈の上での、一連の「安保法制」を成立させようという日の動きは、アメリカでは大きく報じられてはいません。何よりも14日にウィーンで発表された、「イランとの核協議合意」のニュースが大きな話題になっているからです。 非常に簡単に言えば、今後15年間にわたって、イランは核兵器の製造につながる濃縮ウランの製造を制限されます。また、この点に疑念が生じた場合にはIAEA(国際原子力機関)による査察をイランは受け入れることになりました。その見返りとして、国際社会はイランに対する経済制裁を解除するというのが要点です。 今回の合意は「EU+E3(英独仏)+3(アメリカ中国ロシア)」とイランによるもので、オバマ大統領はウィーンでの発表の直後の臨時会見を行い、「これはあくまでイランを信頼するということではなく、イランを監視する仕組みを作ったものである」として、早速

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    spy_simon 2015/07/18
  • 韓国と「価値観を共有しない」となぜ今宣言するのか?

    最初は外務省のHP、そして閣議決定の文言、さらには「2015年版の外交青書」でも、日政府は韓国を「価値観を共有する国」という表現を削除するようです。具体的には4月7日の閣議に報告がされる予定ですが、すでに報道されているところでは「自由、民主主義、基的人権などの価値を共有」という2014年版までの表現は削除されており、「最も重要な隣国」と表記するにとどまっているそうです。 これは大変な問題だと思います。 第2次大戦が終結し、中国には共産党政権が成立して台湾の国民党政権と対立、そして38度線によって韓国の南北が分断されたことで冷戦が始まりました。ただ、その冷戦における台湾韓国は、いずれも厳しい途上国独裁の政体であったわけであり、悪くいえば「左の独裁と右の独裁が対決していた」だけでした。 80~90年代にかけて欧州では、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が解体されることで、冷戦は終結していきました

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    spy_simon 2015/04/08