安全かみそりの先駆者はジレットではなくスター、インスタントカメラの先駆者はポラロイドではなくデュブローニ、パソコン向け表計算ソフトの先駆者はマイクロソフトではなくビジコープ-。(フジサンケイビジネスアイ) 南カリフォルニア大学教授のジェラルド・テリスらが書いた『意志とビジョン』によると、先駆的なイノベーション企業のうち、最終的に競争に勝ったのはたったの9%にすぎない。「先駆的なイノベーション企業」が「長期的な市場の覇者」になる確率は低いのである。それどころか、イノベーション先駆者の3分の2が完全に失敗している。 それを象徴しているのが「液晶テレビの先駆者」シャープだ。同社は2004年に亀山工場を稼働させ、大画面液晶テレビを大量生産する体制をいち早く確立した。07年には液晶工場としては世界最大級の堺工場の建設を決め、社運を懸けて総額1兆円もつぎ込んだ。 そのシャープが現在、深刻な経営危機に直