陰謀論に関する調査や執筆をしているとよく聞かれる質問がある。「陰謀論にハマった友人や家族を目覚めさせるにはどうしたら良いですか?」というものだ。これに答えるのは非常に難しい。筆者は陰謀論の成立過程や背景については調べているものの、心理やカルト脱会の専門家ではないからだ。このためそうした質問を頂いた際には、一般的な対応策である「傾聴姿勢を崩さず、繋がりを失ってしまわないようにすること」と答えるようにしている。 とはいえ新型コロナと共に陰謀論が広まっている昨今、家族や友人が陰謀論に染まってしまったという話もよく聞くようになり、解決へのより具体的な手がかりが求められているように感じられる。そこで筆者は具体的なケースを集めることでヒントを得られるのではないかと考え、陰謀論を強く信じてしまっていたものの、そこから脱出した方にインタビューを行うことにした。 今回取材した川井さんは両親ともに陰謀論を信じ