■「人の流動」こそ新成長の鍵 今年に入ってから、本欄で米グーグルと米アップルのことを取り上げてきた。IT産業界を長く支配してきた米マイクロソフトの覇権が、グーグルとアップルへと移行する「時代の大きな転換点」に差し掛かっているからである。6月末時点での世界の時価総額上位企業ランキングでも、時価総額2289億ドルのアップルは、マイクロソフトを抜いて第3位に躍り出た。アップルより上には、石油関連の米エクソンモービルと中国ペトロチャイナしかいない。 グーグルもアップルもシリコンバレーの会社である。いいタイミングなので、ここ数カ月、私はこの地の仲間たちと、シリコンバレー史を振り返りつつこの覇権移行の本質について語り合う、という試みを続けてきた。対話を経て印象に残ったのは、インターネットという新しい成長分野が定義された後の歴史において「人が流動すること」こそ決定的に重要だったということだ。 新しい成長