NTTドコモの「らくらくホン」シリーズには、大きな特徴が三つある。ボタンを押すだけで電話がかけられる三つのワンタッチボタン、輪郭が明瞭で読みやすい大きな文字、凹凸が強調された操作ボタン。一見すると、普通の「シニア向け携帯」だが、じつは一般的な「若者向け携帯」の先を行く技術が詰まっている。ドコモの土台を支えてきた大ヒット商品の裏側を探った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁) 「最初は、シニア向け携帯電話のデザインと聞いて、ガッカリした。同じデザイナー仲間たちは、若者向け携帯のデザインを手がけていたからね。でも、NTTドコモの担当者の話を聞くうちに、『おもしろそうだ』と思うようになった」 2007年4月に発売されて、一時的に売り切れ店が出るほどにヒットした「らくらくホンベーシック」(入門機種)のデザインディレクションを担当したデザイナーの原研哉は、ニヤリと笑って振り返る。 原といえば、デ