中東情勢が混沌としてきている。東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授は「彼らは宗教が違うから分かり合えないわけではない。中東情勢を理解するためには、宗教というフィルターを外すことが大事だ」という――。(前編/全2回) イスラエルとイランで戦争になる可能性は極めて低い ――イスラエルとパレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織・ハマスの衝突から10カ月余りがたちました。8月には、ハマス幹部がイランの首都・テヘランで殺害され、イスラエルとイランの間の摩擦も高まっているように見えます。 【鈴木】実際には状況はコントロールされていて、状況がエスカレートしてイスラエルとイランの全面的な戦争になる可能性は低いとみていいと思います。 なぜかというと、イランはハマス幹部を国内で殺された程度では、イスラエルとの戦争に発展するほどの衝突をする理由がない。むしろ、そんなことで戦争になるのはメリットが何もなく、まっ