「白ちゃん。色々とやらかしてくれてるらしいね?」 開口一番、魔王の詰問。 いつもおちゃらけた雰囲気の魔王の声とは思えないほど、その声には暗く澱んだ重みがあった。 イヤ、これこそが本来の魔王の声なのだろう。 私の分体と混じり合い、変質する前の。 なるほど、そりゃ、バルトがビビるのも頷けるってもんだわ。 今の魔王を前にして、ビビらないでいられるのはほんのひと握り。 ビビる必要がないか、よほどの覚悟を決めてるか。 ビビらないのがいたら、どっちかだろうね。 私はビビる必要がない側だけど。 魔王の問いには答えず、目を開く。 魔王は一瞬顔をしかめたけど、それだけ。 私の目の恐怖に耐え切った。 「どういうつもりなのかな?」 底冷えするかのような声。 返答によってはタダでは済まさない。 その意思がありありと感じ取れる。 「隠し事」 私は魔王の圧力をひらりと躱し、黒を指さしつつそう言った。 魔王の標的がそれ