年が明けたのに、相変わらず卑弥呼の朝は遅かった。 年末に、 「元旦は早朝から決意表明などをするので絶対に早起きして集合、集まらなかった者は煮て肥料にする」 と言い放っていたというのに。彼女は揺すっても絶対起きることがない。 単に振動を与えただけでは物足りないと思っているのかもしれない、体を前後に揺すられるだけで機嫌良く起きてしまうなんて、邪馬台国の王を名乗るには安すぎると考えているのだろう、と思って、普段は飾りとして置いてある銅鐸を鳴らしてみた。飾り用の銅鐸なので、魚の内臓を連想させる濁った音が出るのだけれど、その不快な音に驚くこともなく、彼女は目を閉じたまま微笑みを返すだけだった。 人間の体というものは不思議なもので、連続して九時間以上眠ると、「もうこの体は終わりだ」と体自身が判断するらしく、徐々に腐り始め、ほんのりと死臭が漂い始める。卑弥呼は起きているときは神経質で、奴卑とすれ違ったと